赤ちゃんと同じく、犬も問い合わせています
フランスのマルセイユ大学の研究機関に所属している動物行動学者デュラントン氏らは、犬は知らない人に対して飼い主の態度を見て自分の行動を変えるのかという実験を行いました。
具体的な内容は、”飼い主が知らない人に対してとる態度を見て、犬の対応も変わるのか”というものです。
実は、1歳前後の人間の赤ちゃんはどう行動すればいいのか迷ったときに親の表情などから判断すると言われています。
では、同じような行動を犬もとるのでしょうか。
これまでにも飼い主の声や表情によって犬が態度を変えるのかという検証は行われ、論文も発表されています。
今回行われた実験は、飼い主が知らない人に会った時の動きだけで犬の行動は変わるのかという内容です。
飼い主の行動によって、犬も知らない人への対応を変える
実験に参加したのは、パリでスカウトされた36匹のシェパード種と36匹の大型犬。
オスとメス半々にして、性別でも反応が異なるのか試しています。
実験内容
レスキューセンターの一室に、飼い主さんとワンコが部屋に入る
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ワンコは室内ではノーリードで自由に動くことができる状態で、飼い主さんは所定の位置で待機する
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飼い主もワンコも知らない人が入室して、飼い主さんに近づいたら所定の位置で止まる
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飼い主は知らない人に「近づくor動かないor後ろに下がる」のどれかの行動をとる
この間、声を出したり、犬を見たり、ジェスチャーをしたり、表情を変えることはしないようにします。
実験結果
76.4%のワンコは知らない人と飼い主さんを交互にチラ見し、72.2%は相互にガン見しました。
犬たちは知らない人をよーーく観察しているということがわかります(笑)
- 飼い主さんが後ろに下がった時は近づいた時と比べ、犬が知らない人に目を向けるまでの時間が短い
- 飼い主さんが後ろに下がった時は近づいた時と比べ、犬が知らない人に自分の体の一部をくっつけに行くまで時間がかかる
- 飼い主さんが後ろに下がった時は近づいた時と比べ、犬が飼い主さんに自分の体の一部をくっつけている時間が長い
つまり、犬は知らない人を見て「こいつは何者だ!?」とすばやく相手に目を向け、「ちょっと近づいてみよう・・・」となるまでには時間がかかるということですね。
見たことある人には目を向けるのが遅いってことは視覚より嗅覚が働いてたりするんでしょうか?
飼い主さんが後ろに下がる行動を見て、犬たちはこの人は危険かもしれないと認識しており、犬は飼い主の行動に合わせるような対応をするのではないかと推測されています。
さらに今回の実験で判明したことは、
- オスに比べるとメスの方が飼い主さんを見る時間が長い
- シェパード種よりも大型犬の方が知らない人を見る時間が長い
- 大型犬の方が知らない人に対して自分の体の一部をくっつける時間が長い
人間と同じで女の子の方が慎重なんでしょうか(笑)
また、シェパードもあんなにイカツイ見た目してるのに、大型犬の方が見知らぬ人に対して怖いもの知らずな行動をすることもおもしろい結果ですね!
まとめ
飼い主が少しでも恐怖を感じているような態度を取ると、愛犬も警戒することがわかった今回の実験。
愛犬が飼い主のことを信頼し、頼ってくれていることがわかると、より一層愛おしさを感じますよね。
トレーニングをするときに、”飼い主が自信のないような態度を取ると犬も言うことを聞かない”とよく言われていますが、今回の実験でもわかるように、初めてのことで戸惑っている愛犬は飼い主の態度を見て、自分がどうすべきなのか判断していることがわかります。
飼い主さんが人見知りせず誰にでもフレンドリーに接する人であれば、愛犬も人や犬にもフレンドリーに接することができるようになるのかもしれません。
愛犬を不安にさせないように、飼い主さんも自信を持った行動をとれるようにしたいですね。