1.花火や雷などの大きな音
大きな音や破裂音、金属音などは、聴覚に優れている犬にとって恐怖の対象になることがめずらしくありません。大きな音を聞いても平気な犬もいますが、花火や雷、太鼓、工事現場の音など突然響き渡る音を怖がる犬は多いでしょう。
特に、花火や雷のように、どこから聞こえているのか犬では理解できない音や、なぜなっているのかわからない音は、余計に恐怖心を高めます。人間でも同様ですが、「何かわからない」「どうなるかわからない」という未知のものに対して、怖いと思うのは防衛本能としてごく自然な反応だと思います。
このような大きな音がしたとき、怖がって強いストレスを感じる犬もいますし、正体不明の音から離れたくて脱走してしまう犬もいます。様々なトラブルにつながる可能性があるので、色々な音を聞かせながらほめたりおやつをあげたりして、音に慣らしておくようにしましょう。
2.動物病院
犬の生活にとって、動物病院は切り離すことができないものでしょう。病気をしたときだけでなく、言葉を話せない犬の体の状態を確認するための健康診断や、毎年のワクチン接種、害虫予防のためのケアなど様々な場面で動物病院のお世話になることがあると思います。
しかし、愛犬を守るための病院であっても、犬にとっては恐怖を感じさせる場所になることがあります。動物病院では、知らない人(獣医師や看護師など)に押さえつけられたり、痛みを感じる処置や治療を受けたりするでしょう。そのため、犬は動物病院に対して「痛いことをする場所=怖い場所」と思い込んでしまうのです。
動物病院を嫌いにならないようにするため、健康な状態で病院に行く際には行くたびにおいしいおやつをあげたり、獣医師の先生からおやつをあげてもらったりと「病院に行くといいことがある」と学習させるといいでしょう。また、普段の散歩で動物病院の前を通って、そこでおやつをあげるのもおすすめです。
3.掃除機やドライヤー
子犬や家庭に迎え入れたばかりの犬に多く見られるのが、掃除機やドライヤーなどの家電を怖がるというものです。特に、掃除機はゴーゴーと大きな音を立てるだけでなく、あちこちに動き回り、犬に近づいていくこともあるでしょう。わけのわからないものが近づいてくる様子に、恐怖を感じるのはおかしなことではないと思います。
また、自宅でシャンプーをしたり足を洗ったりした後、ドライヤーで犬を乾かすこともあるでしょう。ドライヤーも大きな音がしますし、上手にかけてあげないと皮膚の薄い犬は熱い思いをすることもあります。
これらに対しても、嫌な印象がつかないように音を出しながらすぐ近くでおやつやご飯を与えるなどして、家電自体にいいイメージをつけてあげるといいでしょう。
4.傘やビニール袋
私たちに人間にとって、傘やビニール袋というのは生活の必需品であり、恐怖の対象になるとはあまり考えつかないと思います。
しかし、雨の日に散歩に行くときなど、犬の隣で傘をバサッ!と開くと、犬がとても驚いてしまうことがあります。突然音がするだけでなく、大きなものが目の前に現れるのでびっくりしてしまうのでしょう。
そのように驚いた経験があると、傘そのものを警戒するようになり、傘が置いてある場所や傘を持っている人を避けるようになることもあります。
これと同様に、ガサガサと音の鳴るビニール袋に対しても、警戒心を抱く犬がいます。特に、大きなごみ袋は、音が大きいだけでなく膨らんで大きな物体になるので、犬のそばでバサバサと振りかざさないようにしてあげてください。
5.走行中の車やバイク
体の小さな犬にとって、スピードを出して走る車や大きな排気音がするバイクというのは、恐怖を感じさせるものです。特に、歩道と車道の間にガードレールがない道を歩いていると、すぐ隣を車やバイクが通り過ぎて行くことになります。
突然近づいてきたり、通り過ぎて行ったりする車やバイクに驚いて、車道側に飛び出してしまうなどの事故が発生してしまう危険性も。犬を連れて道路を歩く際は、犬と車道の間に飼い主さんが入るようにしたり、リードを短く持ったりして事故を防ぐようにしましょう。
まとめ
犬は聴覚や嗅覚などが鋭敏なため、人間よりも様々なものに対して敏感に反応する傾向があります。さらに、大きな音や予測がつかない動きをするものなど、言葉が通じないからこそ理屈が理解できないものに対しても不安や恐怖を感じてしまいます。
怖がるものが多いほど、日常生活でストレスを受けやすかったり生活に支障が出たりします。そのため、小さな頃から社会化を行い、様々なものに慣らしておくことがとても大切です。そうすることで、いつでもどこでも安心して大らかな気持ちで過ごせるので、生活の質もぐっと高まるでしょう。
社会化は子犬期だけでなく、大人になってからでも十分にできます。時間をかけて少しずつ慣らしていくようにし、苦手なものを減らしてあげるようにしてくださいね。