それはある日のこと。
コーダが祖母を突き飛ばして転ばせてしまったのです。
祖母は転倒して足の骨にひびが入り入院することになってしまいました。
家族には「馬鹿犬」と言われるし、責任を感じた私は近所の人が紹介してくれたドッグトレーナーを雇う事にしました。
はじめて出張ドッグトレーナーを雇う
トレーナーを雇うにはかなり高額な月謝が必要でした。
しかし、無料電話相談を受け付けてくれると言う事だったので、何もわからないまま電話をすることに。
「犬になめられている」
「犬の方が上になってしまっている」
「犬をいい子にしたいんだったらすぐにドッグトレーニングを始めるべきだ」
と言われ、しつけの方針も以前から知っていたシーザーミランに似ていたので、言われるがままに紹介されたドッグトレーナーの女性を雇う事にしました。
まず初めに、トレーナーはわが家にくると3時間ほど居座り、どんなことで困っているのかと質問してきました。
困っている事をひとつ言うと、それは上下関係がしっかりできていないとか、ダメな事はダメと言わなくてはならないとか、リーダーとして認められていないだとか、ハイパーな犬種だからとか、信頼関係が出来ていないだとか、難しい犬を飼ってしまっただとか、とにかく私がずっと説教をされます。
でも、『飼い主が変わらなくては犬は変わらない』それはそうだと思いました。
具体的解決には至りませんでしたが、ドッグトレーニングは軍隊のようにとても厳しく、それを行うドッグトレーナーは熟練されたパワーや特別な力を持っている人なのだという印象でした。
それにオーストラリアの学校で4年学び、10年以上の経歴がある本場のトレーナーだからきっと凄いんだろうと、なんの確証や根拠もないのに勝手に尊敬していました。
本当にそれは天罰?
サークルに3時間位入って退屈なコーダが少しでも鼻鳴きなどすると、ティッシュの箱で床を叩いて大きな音を出したり、クレートを手で思いきり叩いて脅かしたり。
これは「天罰方式」だと言われ、床や机を叩いたり大きな声で怒鳴ったり壁を叩いたりするのでコーダは驚き委縮しました。
回数を重ねて行くなかで、トレーナーの訪問があるとコーダのテンションも尻尾も下がり、大人しい良い子になったように見えました。
…犬から見えている時点で天罰ではありませんよね。
このトレーナーは天罰と言っていましたが、はっきり言ってこれは直接罰です。
人にに大きな音で威嚇されたという事を犬はわかっています。
人に嫌悪刺激を与えられたという事になり、よって、このトレーナーを見るとテンションが下がるのは、トレーナーが来ると嫌な事があると学習したからです。
トレーナーはプライベートレッスンの時は実技の指導はなく、ともかく家に来てしゃべって行きます。
シーザーミランの事は良く知らないようでしたが、超能力みたいな威圧のオーラで犬を支配下に置こうとするところはとても似ていました。
ドッグトレーナーは一般人には無い特別な力があるのかと、その時は本気で思っていました。
一般人には難しいプロのやり方
口頭ではありますが、犬がしてほしくない事をしたらマズルをグッと掴んでキャンと言わせるマズルコントロールと言う方法や、歯向かったら横向きに羽交い絞めにして動かなくなるまで押さえつけるドミナンスダウンと言う方法、仰向けに倒して上から押さえつけるアルファロールと言う方法を、1歳にも満たないコーダに、
『こんな事可哀想だけどいい子になって欲しいから』
と、泣きながらやっていました。
トレーナーはこれを暴力ではなく、しつけなのだと言いました。
手や物で叩いたり、足で蹴ったり、でこピンや鼻ピンは暴力で、彼女が提案する方法は暴力ではなくプロのやり方だと言うのです。
…結構ハードな事をやるのに一切実技を教えてくれないと言うのも危険です。
一歩間違えば愛犬の命を奪ったり怪我をさせたり、咬傷事故に陥ったり、とりかえしのつかない事が起きる可能性があるのでおすすめしません。
どうにもこうにも、私にはこの『プロのやり方』は向いていないようでした。
その後、日に日にコーダとの関係が悪化していきます。
~闇雲トレーニング時代の巻③~につづく
▼【連載】コーダのテイクわん!記事紹介
前:コーダのテイクわん!~闇雲トレーニング時代の巻①~
今:コーダのテイクわん!~闇雲トレーニング時代の巻②~
次:コーダのテイクわん!~闇雲トレーニング時代の巻③~
一覧:コーダのテイクわん!