犬の動体視力ってどのくらい?
動体視力とは
「動く物を見る力」のことを『動体視力』と言います。能力の高さは神経や脳の働きによって決まるとされています。
人間の場合、「KVA動体視力」と「DVA動体視力」の2つがあります。
遠く離れた場所から自分に向かって近づいて来る物体を認識する能力をKVA動体視力と言います。
上下や左右に動く物体を認識する能力をDVA動体視力と言います。
犬は動く物を追うのが得意!
犬は静止している物を見ることよりも動いている物を見ることの方が得意です。
1kmほど先で動く物を標的としてとらえ、追うことができるとされています。狩猟犬や牧羊犬であれば、1.5kmほど先で動く物をとらえることができるとされています。
犬の視力は0.1~0.5ほどしかないとされており、静止している物を見ることが苦手です。
人間の目と比べると水晶体が2倍ほど厚いため、ピンとを合わせるための毛様体筋(筋肉)が弱いことが理由です。
犬の動体視力との比較
犬と猛禽類(鳥)の動体視力
1kmほど先で動く物を標的としてとらえることができる犬に対して、猛禽類である鷲(わし)は3kmほど先で動く物を標的としてとらえることができるとされています。
例えば、獲物となるウサギのような小動物です。
中には5kmほど先の獲物を発見することができる個体もいるとされています。
犬と猫の動体視力
犬と同じく視力が0.1~0.5ほどしかないとされている猫ですが、動体視力は意外と高くありません。
動く物を標的としてとらえることができる距離は30mほどとされています。
猫は犬よりも暗闇の中で物を見る力に優れています。
猫が暗闇の中で物を見ることができる力は人間の7倍~8倍ほど、犬が暗闇の中で物を見ることができる力は人間の5倍ほどであるとされています。
動体視力の優れた犬種
犬の中でとくに優れた動体視力を持つとされているのが「視覚ハウンド」です。世界最古の猟犬であると言われています。
- アイリッシュ ウルフハウンド
- アフガン ハウンド
- イタリアン グレーハウンド
- グレーハウンド
- スパニッシュ グレーハウンド
- ディアハウンド
- ボルゾイ
- スルーギ
- サルーキ
- ウィペット
- アザワク
視覚ハウンドの中でも動体視力の高さと走力や脚力に優れているのが「サルーキ」です。時速70kmを超えるスピードで走ることができることから人間の走力ではとても追いつくことができません。
遠くで動く物を発見し、捕らえようと走り出してしまっては大変です。興奮してしまった時に落ち着かせられること、逃げ出した時に呼び戻しができることなど、飼い主への重大な課題になること間違いないでしょう。
警察犬の動体視力
警察犬として活躍するジャーマン シェパード ドッグは、800m~1kmほど先で動く物をとらえることができるとされています。
1.5kmほど先で動く物をとらえることができるとされている狩猟犬や牧羊犬と比べると、他の犬種と同じくらいの動体視力のようです。
視力に関しては近視である傾向で、犬の中でも視力は低い方なんだとか。
注意深い性格で訓練しやすいこと、勇敢で闘志を燃やしやすいこと、体の丈夫さが警察犬として活躍する理由なのかもしれません。
まとめ
犬の動体視力はどのくらいなのか、イメージしていた通りでしたか?
犬の動体視力が優れていることは分かっていても、どのくらいなのかまではなかなかイメージしづらいですよね。
お散歩中、急に立ち止まった愛犬が遠くの方をジーッと見つめていることはありませんか?
人間の動体視力では確認することのできない動く物体をとらえ、その正体を知るために見つめているのかもしれません。
人間の動体視力は40歳を過ぎた頃から衰え始めるとされています。犬の場合も同じで老犬になると視力も動体視力も衰えます。
シニア犬の頃から動く物を見せる習慣を与えてあげると動体視力が衰えるスピードを緩めることができると思います。