良かれと思ってタイプのあなた
犬に嫌われる人、には2つのタイプがありますね。
ひとつは、犬が好きではないために仕草に出てしまっている人。もうひとつは、犬が大好きなのになぜか犬に嫌われてしまう人。
このタイプの方は「良かれと思って」している接し方が、実は犬が嫌がる行為だったということも。ここからは、そんな「良かれと思って」タイプの方に焦点を当てていきます。
NGその1. 目と目で通じ合う?
これは半分正解です。アイコンタクトこそが犬との意思疎通のバロメーターであることは確かだからです。しかし、それはお互いにいい気持ちのときに限ります。
愛犬に「イイね!」「その調子!」といったポジティブな意思を伝えたい場合です。
問題なのは叱るとき。犬にメッセージを伝えたいばかりに「コラ!これはやっちゃだめでしょう?聞いているの?〇〇ちゃん!こっち見なさい!」と、犬の目を見ながら叱っている方がいらっしゃいます。
これはNG。怒りや緊張、悲しさなどの気持ちを持つ者と視線を合わせるという行為は、犬はとても苦手なのです。目を背けるのは、叱られるのが嫌だからというよりも、争いを避けるための本能的な行動なのです。
NGその2. からかうとカワイイ?
愛犬が食事をしている姿は、なんとも愛おしいものです。しかし「ほらほら、早く食べないと食事を下げちゃうよ」。などと食事中の犬にちょっかいを出し、そのあわてた姿を見て楽しむのはいかがなものでしょうか。
他に、動画サイトなどで時々目にするような「人用のステーキをあげるよ。なーんて嘘です!爆笑」といったような犬をからかいすぎる行動。これらを犬とのコミュニケーションだと勘違いしている方がいるのは驚きです。
オロオロと戸惑う犬の姿を見たいがためにこうしたことを続けていくと、犬はどうなるでしょうか。もう答えはわかりますね。
NGその3. 体罰をするふりはセーフ?
ご一緒に考えてみてください。これはセーフ案件でしょうか。
「強く叩くわけではないですよ。いい加減にしなさい!という意味で、軽くポンとげんこつをするマネをしたり、大きい音を出して叱るだけですからセーフですよね。いけないことはいけないと体で覚えさせたほうがいいと聞きました」。
さて、みなさまはどのように感じられたでしょうか。私はNGだと思います。犬への体罰とは、叩く、殴る、蹴る、などの他に、大きい音を立てて威嚇することで、犬を萎縮させ支配するというしつけ方法を指します。
体罰が犬に有効なしつけ方法だと言われていたのは昭和の時代までのこと。
詳しいことはまた別の機会にお伝えします。(断言してしまうのは少々の誤解を招きそうですが、体罰を肯定するわけにはいきません。家庭犬に体罰が必要かと聞かれれば、はっきりとその必要はないと私は言います)
このケースの場合は、実際には犬を叩いていないとしても、萎縮させることでコントロールするという目的ですから、体罰に近いものがあるのではないでしょうか。
まとめ
飼主さんは愛犬のために頑張っています。良い犬になりますようにと願いを込めながら、毎日の散歩やしつけなど、決して楽なだけではないお世話に励んでいらっしゃいます。
初めて飼った犬だから色々勉強しながら育てています、とか、何代目かの犬だけど個性が全然違うから手探りで、など、本当に悩みながら犬育てをしています。
一生懸命だからこそ、良かれと思ってしていることがあまりうまくいかなかった場合には、とてもつらくなってしまうのですね。
そんなときは一度気持ちをリセット。視線や手を止めて愛犬に巡り合った日を想い出してみます。初めて抱っこをした日の温かさ、重さ、におい。初めて家に来た日の表情。初めてトイレが上手にできた日。きっと昨日のことのように感じることができるでしょう。
じんわりと胸のあたりがあたたかくなってきたらリセット完了の合図。これまでの「良かれと思ってやっていたけど犬にとってはNGだった行動」とはサヨナラをして、次のステージへと進みましょう。その先にはみなさまと愛犬の新しい絆が結ばれているはずです。