約半数の犬は飼い主と同じベッドで眠っている!オーストラリアでの調査結果

約半数の犬は飼い主と同じベッドで眠っている!オーストラリアでの調査結果

オーストラリアの飼い主を対象にしたアンケート調査から、約半数の犬は飼い主と同じベッドで寝ているという結果が発表されました。調査の内容についてご紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

人間と犬が一緒に眠ることについての研究

飼い主の足の間で寝ているジャックラッセルテリア

人間と犬の関係が身体や心に及ぼす影響については数多くの研究が行われています。しかしその多くは昼間の、起きて活動している時間帯についてであり、睡眠時間中の犬と人間の関係についての研究は少数しかありません。

また、犬と人間が一緒に寝ることについてこれまで行われている研究の多くは、アクチグラフィーを用いて寝ている人の動きをモニターしたり、アンケートに基づいて飼い主の睡眠の質を判断したりしたものであり、なぜ、どういう時に犬と人間が一緒に寝るのかについて研究されたものはなかったそうです。そのような研究において、アクチグラフィーによって測定された結果などからは犬と一緒に寝ている飼い主の睡眠は妨害されている可能性があるのに、飼い主へのアンケート結果からは犬と一緒に寝ている飼い主の方が心理的に良い時間を持てている可能性が示されているそうです。

今回の研究を行ったアメリカのカニシャス大学とオーストラリアのセントラルクイーンズランド大学の研究者らは、人間と犬が一緒に眠ることについて過去にも研究を発表していますが、この度またオーストラリアの飼い主を対象にした大規模なアンケート調査を行いました。

アンケート結果には、フェスブックやツイッターなどで募集したオーストラリアで犬を飼っている人のうち、全ての質問に回答してくれた18〜78歳の1136人の回答が用いられました。その目的は、どのような場合に犬と一緒に眠っているのか、そしてなぜ犬と一緒に寝る飼い主は犬と一緒に寝ることを良い体験だと感じているのかについて理解するため、そして犬と一緒に寝ることと人間の睡眠の質に関連が見られるかどうかを知ることです。

犬と一緒に寝る飼い主は多数派という結果

ベッドで並んで眠る犬と男性

まず「犬はどこで眠るか」という質問では、約49%の人が犬は自分と同じベッドで寝ていると回答しました。ほぼ半数の人が犬をベッドに入れているという結果です。

約20%の人は犬は同じ部屋で寝ているがベッドは別であると回答しました。そして残りの約31%の人が犬は飼い主のベッドルーム以外の部屋で寝ていると回答しました。つまり約7割の人が夜寝ている間も犬と一緒にいるというわけです。

また以下のような場合は犬と同じベッドで寝ると答えた率が高いグループでした。

  • 年配の飼い主(飼い主の年齢があがるにつれて)
  • 小型犬の飼い主(中、大型犬の飼い主に比べて)
  • 一緒に寝る人間のパートナーがいない飼い主
  • 犬と飼い主の関係性についてのスコアが高い場合
  • 犬の性格についてのアンケートから、犬の性格が「主張が強い」、「自立している」、「粘り強い」などと評価された場合

ベッドのサイズも犬と一緒に寝るかどうかを左右する要因の1つでした。もちろん大きいサイズの方が一緒に寝ると答えた人が多くなりました。

また1つのベッドを共有するのが人間2人と犬である場合、犬は人間の足元またはベッドの真ん中で寝る傾向がありました。人間1人と犬の場合は犬は人間の隣、つまり人間のパートナーがいるであろう位置で寝ていることが多いという結果でした。

飼い主と一緒にベッドで寝る犬のうち、約3分の1の犬は掛け布団の中で眠り、残りは掛け布団の上で眠るという結果が得られました。

犬と眠ることの影響

一緒に眠る女性とコーギー

犬と一緒に寝ることが睡眠の質に与える影響はどうだったのでしょうか。

今回の研究でアンケート調査から分かった睡眠の質については、犬は別の場所で寝ると答えた回答者では、犬が同じベッドで寝る人の1.45倍多く、疲れて目を覚ますことがあると答えました。

この調査での「睡眠の質」は自己申告によるものですが、同研究者たちは以前に飼い主の体にセンサーを取り付けて犬と一緒に睡眠を取ってもらい、睡眠中の行動と睡眠に対する本人の評価を比較したことがあります。

その調査では睡眠中に犬が動くと人間も寝相を変えており睡眠が邪魔されているにも関わらず、起床した時には睡眠が邪魔されたという感覚は持っておらず安眠できたと答えた人が多かったということです。

これは過去の他の研究者による研究や今回の調査の自己申告と一致しており、犬と一緒に眠ることで「安心を感じる」「心理的ニーズを満たしている」という可能性を示しています。

犬と飼い主の関係性についてのスコアが高いほど、犬と一緒に寝ている人が多かったことも、その可能性と一致します。

しかし、「犬がベッドで寝たがり、それを断ると犬が吠えたり、何度でもベッドにのってきたりするから」などと、飼い主は犬と一緒のベッドで寝たくはないのに犬と一緒に寝ている飼い主がいる可能性も示されています。

まとめ

ベッドに寝転ぶビーグルと男性

オーストラリアの犬の飼い主1000人以上が参加したアンケート調査で、7割の人が犬と同じ部屋で、5割の人が犬と同じベッドで寝ていると回答したこと。犬と一緒に眠ることは飼い主の睡眠について心理的なメリットがある可能性を示したという調査結果をご紹介しました。

以前は犬と一緒に寝ることはしつけ上良くないという説が多く聞かれたのですが、近年はそれを否定する犬の専門家も多くいます。

各家庭それぞれの考え方や事情のあることですが、このような調査結果があると頭に置いておくのも大切ではないかと思います。

《参考URL》
Human Animal Interaction(アメリカ心理学会 Division 17, Section13)学会誌の記事の紹介
https://www.apa-hai.org/human-animal-interaction/haib/download-info/human-animal-co-sleeping-practices-among-australian-dog-owners/

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