犬を褒めることの意味とは
愛犬家のあなたならしつけ本やインターネットなどで「犬を褒めましょう」という言葉をよく目にするかと思います。
僕も「犬を叱ったらその3倍は褒めてあげてください。そして叱ることがなくなっても生涯褒め続けてあげてください」とセミナーやカウンセリングで奨励しています。それを皆様忠実に、ご自身の愛犬に実践されているでしょう。
ここでは何故犬を褒めないといけないかについて解説致します。
褒める=認めるということ
我々人間も、褒められて伸びるタイプの人が殆どではないでしょうか。僕も含めて。
褒められたらまんざらでもないし、嫌な思いをする人はそんなにいないと思います。その部分は犬も人間と同じ心理なのです。
嬉しくて「もっと頑張ろう!」と奮闘し「もっと褒められたい」という感情が芽生えますよね。
しかし人間と犬には大きな違いが一つあります。人間は褒められていても「こりゃ煽てられているなぁ」とか「この人本心じゃないな」とか「いやぁーそれほどでも〜♪」と謙遜したり、褒められている内容自体を分析し、善し悪しを判断する能力があるのですが、犬にはそれが無いんですね。
要は褒められると、どストレートに喜び、悪い事でも勘違いしてしまうのです。
だから褒めるタイミングを間違えてしまうと悪いことをしたとしても、
「いや〜喜んでくれてる♪もっと頑張ろ〜!」
と認識してしまう『超ポジティブシンキング自己有利解釈自分大好き型』なのです。
だから犬との日常生活に於いてその真意を理解しないまま、
「〇〇ちゃん♪お利口だねぇ♪」
「お〜ちょうなの〜そんなに嬉ち〜の〜♪」
「いい子だねぇ♪よちよち♪」
なんて褒めまくるのはあまりよろしくない訳なんです。
矛盾に思われるかも知れませんがそれは後ほど説明しますね。
僕は常々、『褒め方について』依頼者やトレーナー志望者に説明する時に、
「褒める意識を捨てて認める意識を持ちましょう」
とアドバイスします。
それはどういうことかというと、「褒める」という言葉をイメージした場合、先ほど書いた赤ちゃん言葉になったり、飼い主さん自身のテンションが上がったりする事がよくあります。
しかし「認める」というと「よくやったな。偉いぞ!」とか「完璧だなぁ♪」「君はやれば出来る!」みたいに、飼い主さん自身も落ち着いたイメージが持ちやすいかなと思うのです。
それに我々人間も、上司や仲間から褒めてもらうのも確かに嬉しいですが「あの人に認められた!」と思える方が信頼されている感が大きく、充実感や満足感が味わえると思いませんか?
良い褒め方、間違った褒め方
犬を褒めることは素晴らしいことです!愛情がなければ出来ません。
しかしまかり間違えば問題行動を助長しエスカレートさせてしまうのです。褒めまくれば良いわけではなくそこには根拠のある場面でしか褒めてはいけませんし、時には叱り正すことも必要になりますよね。
間違った褒め方
これはあなたが愛犬に、案外知らず知らずに、ついついやってしまうことかもしれません。
どういうことかというと『犬の感情が激しく動いている時に褒めてしまう事』です。
一番多いのが興奮癖や吠え癖をつけてしまうパターンですね。
例えばあなたが帰宅した時サークルの中で犬が飛んだり跳ねたり、キャンキャンクンクン鳴いていると、
「はいはいただいま♪そうなの〜♪そんなに嬉しいの〜♪お利口さんだったねぇ」
と笑顔で甲高い声で身体を撫でたり抱っこしたりしますよね?
トドメに「お利口だったねぇ♪」とオヤツをご褒美として与える。
これを繰り返すとどうなるか?
例えば散歩に行こうと用意をし、リードを持ったら犬がそわそわウロウロしだし足元でぴょんぴょんしだします。
「はいはい♪そかそか♪行きたいの♪お散歩行こうねぇ♪」
と甲高い声で飼い主さんもテンションアゲアゲで犬に話し掛ける。
これを繰り返すとどうなるか?
犬は興奮することを「良いことなんだ♪」と認識してしまい、どんどん興奮がエスカレートし、吠えが始まったりしてしまうのです。
犬の喜びの表現は、飛んだり跳ねたりキャンキャンクンクン鳴くのではありません。それはただの興奮状態なのです。それに輪をかけて甲高い声、笑顔となると犬は『一緒に遊んでくれているんだ♪わーいわーい♪』と思っています。
一つ苦言を言わせてもらえば一番タチが悪いのが、パピーの頃はぴょんぴょんするのが「喜んでる〜可愛い〜♪」と褒めて許していたのに成犬になってから「ダメ!そんなことしちゃ!」と叱り出す方がおられますが、これはいけません!
「あなたがそうさせたんですよ!」
犬があなたに不信感を持つ大きな原因です。
犬の喜びランゲージは穏やかに歩き尻尾がゆっくり横に左右に振られ耳が後ろに引かれマズルがやや下向きな時です。
良い褒め方
犬を褒める時の原則は『犬が穏やかで従順な時に穏やかな声で』です。この時は撫でてあげてもオヤツをご褒美として与えても問題ありません。だからコツは犬が興奮しかけたら落ち着くまで待つんです。
犬の感情が動いている時は知らん顔して下さい。そして落ち着きオヤツの一つでもゲットさせれば効果抜群なんですよ♪
犬も感情の生き物、遊びも大好きなので当然興奮もします。しかし発散させるのに興奮しても良い時と落ち着かせる時のメリハリを付けてあげないと犬が常に興奮しようとするので犬も大変なのです。興奮することであなたが喜ぶと思っているからです。犬の本質として『犬はマッタリとして穏やかな時間を好む』のです。
タイミング良く褒めてあげてくださいねぇ〜。
犬を褒める時の原則
犬が穏やかで従順な時に穏やかな声でさいごに
言うまでもなく犬を褒める、叱るには本当の愛情が不可欠です。そこにプラスしてあなたが犬の本質を理解し、犬との絆を深める事が出来れば、あなたと愛犬にとってこれ程幸せなことはありません。
犬の心が寛大である様に、あなたもそれ以上の寛大な心で愛犬を包んであげてください。幸せな飼い主さんと犬を少しずつでも増やせるなら、僕は精一杯、犬の本質を伝え続けますから。
犬を褒めるコツ
- 「褒める」のではなく「認める」という意識を持つ
- 興奮時は褒めない。落ちつくまで待ち、穏やかな声で褒める
ユーザーのコメント
女性 桃姫
私自身は、褒めることや叱ること以前に大切な段階、「飼い主である私は、心の底からあなたを愛している」ということを愛犬に伝えることにもっとも心を割きました。
何でも楽しい、構って欲しいお年頃のパピーちゃんですが、本当の意味で心を許してくれはじめた、新しい場所を家と認識しはじめたかな?と実感しだしたのは1週間ほどたってからのことです。この頃から、「褒める」「叱る」のメリハリをつけた表現が、愛犬に伝わるようになったことを覚えています。
すぐに馴染む子、臆病でなかなか心を開かない子、色々な性質がありますから、あせらずに、まずは、愛犬が飼い主さんの言うことを聞きたい、聞くことが嬉しいと思える環境を整えることが大切だと思います。