犬にとって散歩は生活の一部
犬は元々、運動したいという欲求を持っており、犬の散歩は、この欲求を満たすことで犬の精神的な安定と健康な肉体を維持させます。
また、犬は自然や建造物などに残されたにおいを嗅ぎ、どんな動物がどう暮らしているのかを知ります。そして、自分もおしっこをかけることで情報を発信します。犬は散歩を通して外の世界とのつながりを持っているのです。
このように、犬にとっての散歩は生活に欠かせない大切なものです。そのため、暑い夏の時期でも、できる限り愛犬に散歩をさせたいと思う飼い主さんは多いでしょう。そこで、暑い夏の時期の散歩で注意すべき3つの事項について、説明します。
1. 熱中症
犬が暑さに弱い理由
犬の皮膚には人のような汗腺がほとんど無く、鼻の先と肉球だけでしか汗をかけません。そのため犬は、暑くても汗をかいて体温を下げることができません。
代わりに犬は、パンティングといって口を開け舌を出してハァハァと息をすることで、体温を下げます。
しかし人の発汗と比べると効率が悪く体力も消耗するので、犬にとって夏の暑さはダメージが大きいのです。
しかも背の低い犬たちは、アスファルトの路面から受ける輻射熱で、気温以上の高温にさらされてしまうのです。
犬の熱中症対策
高温多湿の日本の夏は、熱中症になりやすい気候です。熱を体内に溜め込みやすい犬の夏の散歩には、必ず熱中症対策が必要です。
具体的には、次のようなことに気をつけましょう。
(1) 気温や路面温度が高い時間帯を避ける
夏の散歩は時間をずらし、日の出前に出かけましょう。どうしても無理な場合、次善の策は日没後の夜間です。
夕方は少し気温が下がりますが、まだ路面温度が高いため犬にとっては危険です。
(2) 愛犬の体温が上がり過ぎない工夫
愛犬の体温が上がり過ぎないように、散歩時間を短縮しましょう。
不足分は、室内でたくさん遊んであげることで補いましょう。
(3) こまめな水分補給
脱水は熱中症の重症化を引き起こします。
パンティングにより愛犬が脱水しないように、こまめに水分を補給しましょう。
熱中症対策に便利なグッズ
犬の熱中症対策として、前述の対策と併せて市販のグッズを上手に利用しましょう。熱中症対策グッズには、下記のような商品があります。
- 身に付けて体温の上昇を防ぐ商品(クールウェア、保冷剤付きのバンダナやエプロン等)
- 上がった体温を下げるための商品(冷却ミスト、冷却タオル等)
- 携帯用給水器
2. やけど
夏の散歩で肉球がやけどする理由
アスファルトは60℃以上になることもあるため、アスファルトの路上での散歩は、肉球をやけどする危険が高いです。
私たちが入るお風呂の適温は38〜40℃。45℃の物への1時間の接触で低温やけど、70℃の物だと1秒でやけどします。
そう考えれば、アスファルトの路面が愛犬の肉球に与えるダメージの高さが分かるでしょう。
肉球のやけど対策
肉球のやけどを避けるためにも、散歩の時間をずらすことが有効です。
散歩の時間帯は早朝や夜間が良いですが、飼い主さんが実際にしばらく路面に手を当てていられる温度であることを確認してから出かけるのが、なお良いでしょう。
愛犬の足に合ったサイズの靴を履かせるのも良いでしょう。ただし、通気性の良い素材の靴を選びましょう。
3. 水中毒
愛犬のための水遊びで後悔しないために
夏になると、散歩コースに水場を組み込むとか、わざわざ遠出をして水遊びをさせるという飼い主さんもおられるでしょう。
実際水遊びが好きな犬は多く、水に入ってフェッチ遊びを繰り返したり、ホースで撒いた水を大きく開けた口で受け止めたりする遊びに夢中になる犬も多いです。
しかし犬が水を飲もうとしなくても、口の隙間から胃の中に水が流れ込み、水中毒を起こす危険が伴います。水中毒は命に関わる場合もあるため、十分な注意が必要です。
水中毒への対策
愛犬に楽しく水遊びをさせるためには、飼い主さんが愛犬の様子をよく観察し、程々のタイミングで切り上げさせることです。
元気がない、足元がふらつく、震えているなどの異変がみられる前に、切り上げましょう。
まとめ
愛犬との散歩は、飼い主さんと愛犬が強い絆を結ぶためにも大切な時間です。夏でも愛犬へのリスクをできるだけ抑え、楽しく有意義な散歩を楽しんでください。
ただし、パンティングも苦手な短頭種の犬たちはさらに熱中症のリスクが高く、危険です。愛犬自身が散歩を嫌がる場合には、散歩をしないという選択も必要です。その際は、温度湿度を管理した室内で、たくさん遊び、運動させてあげましょう。