犬は普段、飼い主のどこを見ているの?よく観察しているポイント4選
犬が「飼い主を観察している」という本記事上の定義
「観察」とは、辞書によると「物事の状態や変化を客観的に注意深く見ること」とあります。つまり、「じっと見ること」は観察とは言いません。今回の記事上では、「犬が飼い主を観察している」ということを「犬が飼い主さんに対してなんらかの興味を持って、なんらかの変化をちゅういぶかく、かつ客観的に見ている」ことと定義します。
犬は普段、飼い主のどこを見ているの?よく観察しているポイント4選
1.お互いの意思を理解出来ているか?
犬には「カーミングシグナル」と言って、犬同士で意思を伝えあう時に使うコミュニケーションの手段です。和訳すると、「お互いの気持ちを落ち着かせるための信号、合図」と言うことです。
例えば、「尻尾を振る」「眼を逸らす」「伏せる」と言った日常的に見せる犬の仕草が犬の「カーミングシグナル」であり、犬にとっては「会話」なのです。犬と人間は、言葉を交わして意思を伝えあうことは出来ませんが、
もし、私たち人間が犬が発する「カーミングシグナル」をキャッチし、理解出来れば、繊細な感情を伝えることは出来なくても、ある程度の意思疎通は可能です。
愛犬が、飼い主さんを観察しているかのようにじっと見ているのは、「カーミングシグナル」によって、飼い主さんが自分の意思をくみ取ってくれているのかを見極めようとしているのかも知れません。
あるいは逆に、飼い主さんの行動や仕草から、飼い主さんの意思をくみ取り、学習しているとも考えられます。
2.冷静におだやかに接してくれるか?
人に飼育されている犬は、私たちが想像している以上にいろいろな影響を多く受けています。人の感情を理解したり、言葉を覚えたり、自分の食事の嗜好すら、人に影響を受けます。
2000年代に入ってから今日に至るまで、世界中の動物を研究する大学などで犬が人に対してどれだけ高い理解力を持っているか、さまざまな実験、調査がなされています。その結果、犬の能力についていろいろなことが発見され、実証されています。
そのうちの一つに、2019年イギリス・リンカーン大学とブラジル・サンパウロ大学の共同研究によって、犬が人間の表情からネガティブな感情とポジティブな感情を読み取ることが出来ることが分かりました。
そして、私たち人間も怒りや悲しみの感情を持っているネガティブな人と一緒にいるよりも、いつも朗らかで笑顔で、優しくポジティブな人を好むように、犬もポジティブな感情を好むことが判明しました。
飼い主さんのことを観察するようにじっと見つめるのは、なぜなのでしょう。飼い主さんの心がおだやかで、優しくおだやかに自分に接してくれるだろうか?と私たち飼い主の心の中を覗き込むような気持で、私たちの表情を観察しているのではないでしょうか。
3.生活していく上で覚えるべきルールに一貫性はあるか?
例えば、人間の子どもを育てる時に、養育している大人が複数いて、その人たちの意見がバラバラだったらどうでしょうか。おそらく、どんな行動が正しいのかわからずに戸惑うでしょう。
犬は、人間でいえば3~4歳の子どもと同じくらいの知能があると言われているので、犬も同じでしょう。褒められること、叱られることに一貫性がないと、犬は混乱します。
そして、混乱した感情を抱いているとストレスも溜まります。そのストレスを解消したり、また、そう言ったストレスを感じなくて済むように、家の中のルールを正しく覚えるようと、飼い主さんの行動を観察しているとも考えられます。
4.いつでも、安全を確保してくれるか?
犬にとって最も信頼できるのは、「自分の命を守ってくれる存在」です。飼い主さんが、自分にとって「命を守ってくれる存在」として信頼するかどうかは犬にとっては、とても大切なことです。
食事を与えてくれること、運動のために散歩に連れて行ってくれること、清潔な寝床を整えてくれること、いつでも笑顔で話しかけてくれること…と言った要因から、家族となって日が浅い犬なら、自分の飼い主となった人間が、安全を確保してくれるかどうか、飼い主さんの行動から探ろうとし、じっと観察します。
時には、反抗的な態度を取り、飼い主さんを試してまで、飼い主さんを観察することもあるようです。
まとめ
私たち人間は、犬と言葉を交わしてお互いを理解することは出来ません。ですから、愛犬が私たち飼い主のどこを見て、なにを観察しているのか、本当のことはわかりません。けれども、愛犬に観察されているかも…?と私たちが感じるのなら、本当に愛犬達は私たちを観察しているのかも知れません。
まるで、片想いをしている相手のことを余さず知りたい、と思う感情にも似ているようにも思えます。そして、観察する、と言うことは飼い主さんに対して常に興味を持っている、と言うことでもあります。
愛と信頼感があるからこそ、興味は尽きることはありません。生涯、私たちが愛犬を愛し続けていれば、愛犬達はずっと私たち飼い主に興味を持ち続け、観察を続けてくれることでしょう。