グレートデーンの調査から犬の恐怖に関連するゲノム領域が明らかに!

グレートデーンの調査から犬の恐怖に関連するゲノム領域が明らかに!

犬が感じる恐怖に関連するゲノム領域と不安に関連する遺伝子の候補が研究によって判りつつあります。研究内容の今わかっていることと今後の課題をご紹介します。

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犬が感じる恐怖や不安に関する研究

怯えている様子の犬

犬の中にはとても怖がりだったり、不安が強かったりする個体がいます。このような気質は環境的な要因の他に遺伝的な要因もあるという仮説のもとに、フィンランドのヘルシンキ大学の生物科学の研究者が犬の恐怖に関連するゲノム領域と、不安に関連する遺伝子の候補を特定しました。

これらをさらに分析することで、恐怖に関連する新しい神経メカニズムが明らかになる可能性があります。

怖がりのグレートデーンが研究のスタートに

驚いた様子のグレートデーン

この研究プロジェクトは、グレートデーンの飼い主と研究チームが対話の機会を持ったときに「うちの犬はとても怖がり、特に知らない人に対してその傾向が強い」と多くの飼い主が話したことでスタートしました。

超大型犬に分類されるグレートデーンは、その大きな体と裏腹に怖がりだったり不安症であったりという声がよく聞かれます。

犬が何かを怖がることは自然であり必要なことでもあるのですが、過度の恐怖は行動障害につながる可能性もあります。特に大型犬では恐怖や不安から来る行動障害は物理的な影響も大きくなるため問題になりがちです。恐怖は攻撃行動にもつながるため、犬と周囲の人々の安全のためにも、犬の不安や恐怖について知ることは重要です。

犬が何かを怖がったり不安を感じたりすることは、遺伝的な要素だけでなく子犬時代の社会化や環境的な要素も大きな影響を与えます。この研究では社会化や環境などの影響を排除して遺伝的素因のみを観察することを目的としています。

研究チームは124匹のグレートデーンの飼い主に愛犬の行動調査に回答してもらいデータを収集し、犬の恐怖の強さに応じてスコアが付けられました。
124匹の犬からは血液サンプルも採取され、DNA分析が実施されました。

不安や恐怖に関連するゲノム領域

グレートデーンとDNAの3Dモデル図

リサーチと分析の結果、不安や恐怖に関連するゲノム領域は11番染色体であることが特定されました。今のところ恐怖を感じやすい特定の遺伝子変異を特定することまではできていないのですが、特定されたゲノム領域自体は神経の発達と機能や不安症に関連付けられた多くの遺伝子が含まれているそうです。

また人間の恐怖症や不安障害に関連するゲノム領域は、犬の恐怖に関連する領域に対応しています。人間のこのゲノム領域は神経症状と小児期の急激な成長を特徴とする症候群とも関連しています。

この点に関する研究はまだ初期段階で慎重な解釈が必要ですが、超大型犬種について言えば恐怖に関連するゲノム領域が神経学的な役割だけでなく、小児期の成長にも関連しているというのは興味深い問題であると研究者は述べています。

まとめ

伏せた姿勢のグレートデーン

グレートデーンの恐怖や不安に関連するゲノム領域が特定されたという研究をご紹介しました。犬の行動研究における遺伝子の発見はまだ数が少なく、この度特定されたゲノム領域は以前は恐怖と関連付けられていなかったそうです。

以前の研究結果と併せて今回の研究結果も、恐怖と不安は遺伝形質であるという仮説を裏付けるものとなりました。研究チームは、より詳細な要因を特定していくためにリサーチと分析を繰り返していくと述べています。

犬の恐怖や不安とそこから来る行動の問題は一般の飼い主にとっても影響の大きいテーマなので、今後の研究がさらに注目されます。

《参考URL》
https://www.nature.com/articles/s41398-020-0849-z
https://www.helsinki.fi/en/news/life-science-news/fearful-great-danes-provide-new-insights-to-genetic-causes-of-fear

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    30代 女性 かほ

    去年愛犬のグレートデンを亡くした元デン飼い主です。

    ずっと気になっていた事が研究され始めとても嬉しく思います。
    我が家のデンも臆病な性格で、釣り人カメラマンの格好をした男性、そして音に対して特に怖がりでした。(サイレンなど)
    他のデン飼い主さんのSNSを見ていると、一定数怖がりのデンがいてずっと何故なのだろうと疑問に思っていました。
    愛犬の場合、私の育て方接し方で更に怖がりになってしまった部分もありますが、産まれてから我が家に来るまでの4ヶ月間の話をブリーダー から聞く限り、生まれ持った気質なのかなと感じております。

    今回雁秋生さんの記事を拝見し「人間のこのゲノム領域は神経症状と小児期の急激な成長を特徴とする症候群とも関連している」という部分を読んで、まだ初期研究ではありますが私の中のにあったモヤモヤした霧が少し晴れました。
    と、同時にやはり超大型犬の断耳はパピー期の成長、成犬になってからの音への反応に大きな問題が出て来てしまうものなのでは?という新たな疑問?というか心配事も出て来ました。

    愛犬は耳血腫のリスクから断耳をオススメされ断耳をしたのですが、断耳をすると耳の軟骨が立ち耳の形になるまでの間ほぼずっと耳道に大きな綿棒形の支柱が入り、自然な音が聞こえない状態でパピー期を育つ事になります。
    私が愛犬の音響シャイぽさに気がついたのは耳が立ち始めた7〜8ヶ月の頃で、張り替えのために耳のテーピングを外して散歩に出た時でした。
    耳を切ってまでやった事を途中で辞めるという事が正しいのかどうかでとても悩みましたが、愛犬の音に対する反応の様子から9ヶ月の時に思い切って耳立のテーピングをやめました。
    そこからいきなり音に慣れる事は勿論なかったのですが、4歳くらいの時には遠くのサイレンであればパニックにならずにすむようになりました。

    断耳をしなければもしかしたらあそこまで音に対して怖がりにならなかったのではないか…という思いが、後悔が今でもあります。


    雁秋生さんいつもとてもためになる記事をアップして下さりありがとうございます。
    この研究がこれからも継続され、沢山の事が分かってくるといいですね。
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