犬の甘噛みを放置すると起きること
1.成犬になっても直らない
子犬の甘噛みは成犬になれば自然と無くなる、なんて考えている飼い主さんがいらっしゃるようです。確かに、成長すると共に、自然と甘噛みをしなくなる犬もいます。しかし、自然と直るケースはそれほど多くはありません。
飼い主さんが意識することなく、自然と甘噛みをやめさせるための行動をしていた、ということがほとんどです。一方で、子犬の甘噛みを放置してしまった結果、成犬になっても甘噛みが直らず、甘噛みどころか、本気噛みに近いくらい力強く噛むようになってしまった、というケースもあります。
2.噛むことを悪いことだと知らない
子犬の頃、飼い主さんや家族の手にじゃれつき、甘噛みをする犬は多いものです。しかし、子犬の頃は噛む力の弱かった犬も、成犬になれば、人がケガを負うほどの強い力を持つようになります。決して本気噛みはしないものの、犬にとっては甘噛みでも、人の皮膚が傷ついてしまうほどの噛む力を持つということです。
人の手を噛むことが悪いことだと知らないまま成長した犬は、飼い主さんや家族の手だけではなく、他人の手にもじゃれつき、甘噛みをし、ケガを負わせてしまうことがあります。大人だけではなく、幼い子供や高齢者も対象です。ほんのかすり傷であっても、犬が他人にケガを負わせたとなると、大問題です。
3.家中がボロボロになる
甘噛みをやめることなく成長し、噛むことを悪いことだと知らない犬は、何でも噛むようになります。家中のありとあらゆる物を噛み、ボロボロにし、破壊するようになります。さすがに叱るとは思いますが、噛む行為そのものが悪いことには気づくことができません。
“これまで噛んでも叱らなかったくせに、なぜ今さら叱るのか?”と、疑問に感じる犬もいるかもしれません。そうすると、反抗的な態度をとるようになったり、噛む行為がエスカレートしてしまう可能性もあります。
甘噛みはやめさせるべきなのか
甘噛みは、犬にとって、本能であり自然なことです。母犬や兄弟姉妹犬とのコミュニケーションのひとつでもあります。子犬の頃、お互いに噛み合うことで力加減を学びます。母犬が甘噛みと本気噛みの違いを学ばせるために、子犬を強く噛むことがあります。
そうやって、自然と成長していくものです。しかし、飼い主さんや家族によって、その学びが崩されてしまうことがあります。“これ以上は噛んではいけない!”ということを母犬から学ぶことができたのに、人間が噛むことを許してしまったために、噛む力をコントロールすることができなくなってしまうことがあるんです。
飼い主さんや家族の手にじゃれつき甘噛みをしたとき、飼い主さんが楽しそうに笑っていたら、犬はそれを嬉しいと感じます。もっと飼い主さんや家族に構ってもらいたくて、喜んでもらいたくて、遊んでもらいたくて、噛む力がどんどん強くなっていくかもしれません。
せっかく母犬から“噛むことはよくないこと”と学んだのですから、それを飼い主さんや家族が覆してしまってはなりません。もし甘噛みをしてきても、母犬と同じように叱ってあげるべきです。
どうしても甘噛みがやめられないとき
犬にとって、噛むという行為は、本能であり自然なことです。噛むことでストレスの発散にもなります。人の手を甘噛みしてしまうときは、必ず叱らなければなりません。
そして、噛んでも良いもの、噛んではいけないもの、この区別を教えてあげなければなりません。噛んではいけないものを噛んでしまったときは、しっかり叱ること。自分のおもちゃなどの噛んでも良いもので遊んでいるときは、上手に遊べてえらいね、と褒めてあげると良いです。飼い主さんのスリッパや靴下は噛んではいけないものですので、必ず叱るようにしましょう。しっかり区別することが重要です。
まとめ
犬が甘噛みをすることは、本能であり自然なことです。しかし、問題行動に発展してしまう可能性が高いものでもあります。
犬の甘噛みを放置すると、
- 成犬になっても直らない
- 噛むことを悪いことだと知らない
- 家中がボロボロになる
このようなことが起きる可能性があります。起きてから正そうとしても、なかなかそう簡単には直りません。根気強さが求められます。