犬がグルグル回る理由①うれしい、興奮している
犬は「うれしい!」「楽しい!」という気持ちを全身で表現します。尻尾をぶんぶんと大きく振ったり飼い主さんに飛びついたりすることが多いと思いますが、興奮が抑えきれずその場を走り回ったりグルグル回ることもあるでしょう。
テンションが上がって気持ちを抑えきれずにグルグル回っているときは、その表情やボディランゲージ、その場の状況などから飼い主さんが判断できることが多いと思うので、あたたかく見守ってあげてください。ただし、室内など狭い場所でぶつかると危ないものがあるときなどは動きを止めて落ち着かせるようにしましょう。
犬がグルグル回る理由②寝床作り
犬がはしゃいでいるわけではなく、足元を見てゆっくりグルグルと回っているときは寝床を整えようとしているのかもしれません。犬は自分が寝る場所を心地よく整えるために、クッションや毛布などの上をグルグルと歩き回ったり、掘ったり蹴ったりするような仕草をすることがあります。
飼い主さんがきれいに整えた寝床であれば「なんでぐちゃぐちゃにするの!?」と思うかもしれませんが、犬には犬なりに寝心地の良い場所を作りたいという気持ちがあるので優しく見守ってあげてください。
ただし、時々うまく整えることができず毛布が遠くに飛んで行ってしまったり、ベッドが明らかに寝づらい形になったりすることもあるので、犬が困っているようであれば手助けしてあげてくださいね。
犬がグルグル回る理由③ストレス、常同行動
うれしい気持ちが抑えきれない場合や寝床作りの場合は、そのまま放っておいて問題ありませんが、グルグル回るという行動には注意が必要な場合もあります。
犬が自分の尻尾を追いかけるようにグルグルと回る行動を「テイルチェイシング」と呼び、子犬や好奇心旺盛な犬が遊びの一貫として行うことがあります。しかし、この行動はストレスが原因で起こることもあるので注意が必要。一心不乱に尻尾を追いかけるだけでなく、毛が抜けたり血が出るほど尻尾を噛むような様子が見られたら不安や寂しさ、ストレスが原因かもしれません。
このような行動が頻繁に起こっているときは、ストレスの原因を突き止めて解決するか、散歩や遊びでストレスを発散するなどしてあげるようにしましょう。
犬がグルグル回る理由④認知症、病気
グルグルと回る行動は犬の意思に関係なく起こることがあり、その原因として脳神経系の異常や病気が考えられます。
脳炎や脳腫瘍、中耳炎、前庭疾患などが原因で平衡感覚を失ってしまいグルグルと回り続ける行動が見られることがあります。このようなときは気持ちが高ぶってグルグル回るときとは明らかに様子が異なり、うつろな表情や首の傾きに違和感があるでしょう。
その他にも食欲不振や嘔吐、痙攣発作などが見られることがあるのでそうした症状についても注意深く観察するようにしてください。このような様子が見られたときは深刻な病気の初期症状や前兆である可能性があるので、できるだけ早く動物病院を受診するようにしましょう。
また、近年増えてきている犬の認知症の症状としてグルグル回る行動が見られることがあります。認知症を発症すると脳細胞が徐々に減っていたり、脳に必要なホルモンが減ってしまったりすることで自分の居場所がわからなくなるなどの見当識障害を起こすことがあります。
そうしたことから同じ場所をグルグルと回り続けたり、壁にぶつかったまま動けなくなってしまったりすることがあるのです。高齢犬でグルグル回る行動や障害物にぶつかっても前に進もうとするような様子が見られたら認知症を疑い、犬の安全を確保するよう室内環境を整えるようにしましょう。
まとめ
犬がグルグルと回る行動は暇つぶしのための遊びや感情表現、寝床づくり、ストレス発散などさまざまな意味を持っています。その多くの場合、犬の様子やその場の状況によってなぜ回っているかは判断することができると思いますが、ストレスによる常同行動となってしまっている場合や脳神経系に関する病気が疑われる場合はできる限り早い対応が必要です。
犬の健やかな心身の状態を保ち、安全で快適な生活を守るためにも犬の行動の意味や理由をしっかり把握してあげるようにしたいですね。