1.間に割って入る
犬はケンカを察知すると、ケンカをしている人たちの間に割って入るような行動を見せることがあります。これは犬同士のケンカでも見られる行動で「カットオフ・シグナル」と呼ばれています。
カットオフシグナルはオオカミにも見られる行動
カットオフ(=遮断)は犬のカーミングシグナルの1つで、自分がケンカの間に割って入ることで争いを遮断し、取っ組み合いの本気のケンカに発展するのを防ぐために行います。カットオフシグナルはオオカミにも見られる行動で、1950年代にはすでにカットオフシグナルについて学術的に記述されていたと言われています。
2.おもちゃを持ってくる
白熱した口論の最中にいる人にとっては「こんな時になんでおもちゃを持ってくるのだろう…」と、嬉々としておもちゃをくわえている愛犬に拍子抜けしてしまうかもしれません。実はこれが愛犬の思惑通りの効果と言えます。
犬にとって「おもちゃ=楽しい気分」と関連付いている
犬は言葉を話しませんので、人間に何かを伝えたい時には伝えたいことと関連付いた物や場所を利用して主張することがあります。犬は物事を関連付けて記憶するため、おもちゃ=楽しいことと認識している可能性が高いです。そのため、犬は争っている人たちにおもちゃを提示することで「楽しい気持ちになろうよ」と伝えていると考えられます。また、ケンカをしている人を遊びに誘うことで争いから意識を逸らそうとしているとも考えられます。なんとも健気な行動です。即刻ケンカはやめて楽しく愛犬と遊びましょう。
3.あくびをする
人間のケンカが始まってしまった後、犬がおもむろにあくびをすることがあります。犬があくびをするのは眠たい時だけでなく、カーミングシグナルとしてもあくびをします。
犬は場の空気が読める動物
犬は争いごとを目の前にしたりその場の空気が悪くなると、不安と緊張状態になりやすいです。犬の持っている野生の感覚では、群れの中での仲違いは群れの存続および自分のこれからの生活にかかわる重大な事件であるためです。
あくびをすることで自分や相手を落ち着かせようとする
カーミングシグナルとしてのあくびは私たちが緊張状態で行う深呼吸のようなもので、ドキドキしてしまっている自分を落ち着かせようとする目的があります。また、そのあくびを相手にも見てもらうことで「あなたも落ち着こうよ」と伝える役割もあります。「まーたケンカしてるよ、やれやれ」という呆れではなく、カーミングシグナルとしてのあくびをしている犬にはかなりのストレスがかかっている恐れがあります。
まとめ
今回は「犬が人間のケンカを仲裁する時の行動」について3つご紹介いたしました。
犬同士や猫同士のケンカを、犬がカットオフして仲裁する動画をご覧になったことがある方も多くいらっしゃることと思います。犬は犬同士だけでなく、猫や他の動物、人間のケンカまでも仲裁しようとするところが群れで生きる犬らしい特徴であると感じます。
犬は人間のケンカを仲裁する時に
- 間に割って入る
- おもちゃを持ってくる
- あくびをする
などの行動を取ることがあります。
間に割って入るのは最も分かりやすい仲裁の方法で、ケンカをしている人たちがこれ以上過激な争いに発展しないように遮断していると考えられます。
一方、おもちゃを持ってくるという行動は少し分かり辛い行動ですが、楽しい記憶の強いおもちゃを持ち出すことで「ケンカを止めて一緒に遊ぼう」「楽しい気分になろう」と伝えていると考えられます。あくびをするのも分かり辛い行動ですが、犬のあくびには自分や相手の興奮を鎮めるカーミングシグナルとしての目的もあります。
カーミングシグナルとしてのあくびをしているわんちゃんにはストレスがかかっていることが考えられます。犬は私たち人間のこともよく観察し、場の空気を察知しています。愛犬の健やかな心を守るためにも、ケンカはできるだけ穏やかに治めるべきですね。