1.外出が少ない
社会は家の外に存在しています。
犬の社会化とは、
- 飼い主さん以外の人間
- 他の犬
- 街の音
- 車や自転車
などの外部刺激に順応し、慣れ親しんでいくことを指します。外出する機会が少ないと、外の世界に身を置いて触れ合う経験が少なくなります。経験が少ないと、犬は外部刺激に対して恐怖心を強く抱く恐れがあります。
犬の問題行動は極度の恐怖心や警戒心によるものがほとんど
飼い主さん以外の人や他の犬に執拗に吠えかかったり、工事の音や車の音に極端に反応したりするなどの問題行動は恐怖心や警戒心の強さが原因であることがほとんどです。もちろんどの犬にも恐怖心や警戒心は存在しますが、丁寧な社会化が出来ているかどうかによってその度合いに差が出てきます。外部刺激に触れ合う機会が少ないと経験値も少ないため、些細な外部刺激にもすぐに「怖い」と感じやすくなります。
2.無理強いする
他の犬や飼い主さん以外の人に対して「仲良くさせなきゃ!」と無理に触れ合わせるのも危険です。子犬でまだ他の犬や人に慣れていない状態で、いきなりドッグランを利用するのもあまりおすすめできません。
初っ端で怖い思いをさせないようにする
犬の社会化で大切なのは「慣れること」です。しかし、最初に怖い思いをしてしまうと犬は外部刺激を拒絶してしまう恐れがあります。初っ端で怖い思いをさせないように、段階を踏んで徐々に外部刺激に慣れていく必要があります。他の犬とトラブルになりそうな場合は距離を取ったり様子を見守ったりするなど、飼い主さんが丁寧にフォローしてあげる必要があります。
「仲良くなる」よりも「平気になる」を目標に
全部の犬がフレンドリーな性格というわけではなく、わんちゃんの性格によってはクールな子もいます。犬の社会化は「どんな人や犬とも仲良く接する」ということではなく、「社会に慣れて順応すること」です。「外の世界には知らない人や犬がいる」ということを知り、慣れていくことなのです。
そのため、無理に他者と仲良くするよりも知らない犬や人がいても平気になることが大切です。知らない犬に敏感な子の場合、まずは威嚇して吠えずにやり過ごすことを目標にしてみましょう。
3.過保護にする
2で「無理に触れ合わせるのは良くない」と記述しましたが、過保護すぎるのも良くありません。「この子は怖がりだから」となんでもかんでも遠ざけてしまうと、愛犬は外部刺激に触れ合う機会を失ってしまいます。経験値が少ないと、愛犬にとってすべてが未知の恐ろしい存在となってしまう恐れがあります。
触れ合って対応する過程も大切
犬の社会化では「愛犬自身が考えて対応する力」を養うことも大切です。外部刺激=怖いもの、という単純な反応にならないように、愛犬がその恐怖をどう対処していくか、どう距離を取るのかという対応の過程も大切なのです。他の犬や飼い主さんとトラブルにならないよう見守りながらも、愛犬に経験を積ませてあげることが重要です。
成犬からでも社会化できる?
犬の正当な社会化期は生後3週~12週(生後3ヵ月)ほどの子犬の頃ですが、犬の社会化は一生続きます。成犬から社会性を改善していくには、飼い主さんの丁寧なフォローと根気強さが必要です。子犬の頃の社会化期はさまざまな物事に順応しやすい時期ですが、その社会化期を過ぎて成犬になった後では外部刺激に対する順応性が低くなっているためです。
社会化は海外旅行のようなもの
イメージとしては、幼い頃から海外旅行に行き慣れている人と、大人になってから初めて海外に行く人の違いのようなものです。幼い頃から海外旅行やホームステイなどになれている人は、たとえ困ったことがあっても自分で対策を考えて対応することができます。それは幼い頃から海外に「慣れているから」です。
しかし海外に行ったことのない人の場合、現地の言葉も知らずにいきなり1人で海外にぽつんと置かれたら不安と恐怖でいっぱいになってしまいます。そこで困ったことがあればどうしていいのか分からず「やっぱり海外なんて怖い…日本に帰りたい」と思ってしまうでしょう。
飼い主さんの丁寧なフォローが大切
そこで必要なのが飼い主さんの丁寧なフォローです。見たことのないもの、触れたことのない文化を一緒に案内してあげることで、不安でいっぱいだった海外旅行が徐々に楽しい経験となるのです。そして、わんちゃんが「意外と怖くないじゃん」という自信を積み重ねることで、未知の世界に耐性がついてくるのです。
まとめ
今回は「犬の社会化に良くない行動」について3つご紹介しました。
犬の社会化とは、自分や飼い主さん、自宅といったパーソナルな領域以外の「外の世界」に慣れ親しんで順応していくことを指します。
- 外出する機会が少ない
- 触れ合いを無理強いする
- 過保護になる
この3つは犬の社会化にとって良くない影響を及ぼす恐れがある行動です。
犬の社会化には「経験」と「飼い主さんのフォロー」が必要です。外の世界のあらゆる刺激を知って身を置くという経験によって、犬は他者との関わり方や人間の世界にあるものに慣れていきます。しかし、最初に「怖い」と思ってしまうと外の世界を拒絶してしまう恐れがあります。
そのため、飼い主さんが愛犬の様子をよく観察して見守るというフォローをしながら、愛犬に「怖くないよ」ということを理解してもらう必要があります。