犬が狂暴な性格になるNG行為2つ
犬に恐怖を感じさせる
飼い主に対して忠実な犬にするために、犬に体罰を与え、力で服従させようとし、その加減を間違えれば、犬は「人間から危害を与えられている」と感じます。また、犬は人間の表情から感情を察知する能力を持っています。
けれども、その能力がある分、余計に人間から棒やムチを使って体を痛めつけられたら、理解出来るはずの人間の意図を理解出来ず、混乱するはずです。そして、命の危険を感じるでしょう。
例えば、好意を持っていた相手からいきなり棒やムチで毎日叩かれて、狭い檻の中に閉じ込められて言葉も交わせなかったら、どんな風に感じますか?おそらく、底知れない恐怖を感じるのではないでしょうか。
そして、もしも、武器が手に入ったら自分の身を守るためにそこから逃げることを考え、相手に攻撃を仕掛けるでしょう。つまり、人間によって犬が攻撃的になるのは犬に恐怖を感じさせているからです。
犬が嫌がることを頻繁に強いる
人間でも、しつこく不快に思うことをされたり、馬鹿にするような言葉を浴びせ続けられたりすると、例え親しい友人や家族であっても、そんな不愉快なことを頻繁にされたら、ムカムカと腹が立つでしょう。犬も同じで、人間の都合で犬の気持ちを考えずに嫌がることを頻繁に無理強いしているとイライラし、ストレスが溜まります。
例えば、「足を拭かれるのがイヤ」「食事中に体を触られるのがイヤ」「ゆったりしたい気分の時にしつこく体を撫でまわされるのがイヤ」など、人間の子どもにも個体差があるように、犬にも当然、「イヤなこと」の個体差も、我慢の度合いの個体差もあります。
そして、「イヤなことをされるかも知れない」と予想する知能も持ち合わせているので、自分に対して「イヤなことをするかも知れない相手」が近づいただけで唸り、牙を見せて「近づくな!」と威嚇することもあります。
「狂暴な性格の犬」は人間が作る?
先天的に狂暴な性格の犬はいない?
犬は、人間の手によってさまざまに品種改良されて来ました。そのため、容姿、体格、体毛もその用途によって最も最適な犬となるように、改良されています。
例えば、嗅覚、視覚、足の速さを求められて作出された牧羊犬、猟犬、姿かたちの愛らしさ、性格の従順さを追求して作出された愛玩犬、そして犬同士を戦わせるために強靭な肉体と旺盛な戦闘意欲を高めて、生み出された闘犬などです。
確かに、温和な性格の犬と言えば挙げられる「ラブラドールリトリバー」と闘犬として生み出された「土佐犬」とを比較すれば、確かに性格に違いはあります。けれども、「闘犬」として生み出された犬種の犬が全て先天的に狂暴なのかというと、決してそうではないはずです。
確かに、「闘犬」として生み出された犬種は、一様に戦闘意欲の高く、一度その戦闘意欲に火が付き、攻撃し始めると制御出来なくなることはあります。ですから、そう言った状況にならないように細心の注意を払い、ストレスを溜めないように正しい知識を以て管理、飼育すれば、だれかれなく襲い掛かるようなことはありません。
例え「闘犬」として生み出された犬種であっても、先天的に「狂暴」という表現でなく、「戦闘意欲が旺盛で攻撃性がある」という表現が相応しいのではないでしょうか。言うなれば、人間が作り出した犬種であっても、生まれつき人間に反抗的だったり、やたらと攻撃的な犬はいないのです。人間が犬をどう扱うかによって、戦闘意欲の旺盛な犬は、人間の制御が効かなくなり、狂暴な犬へと変貌すると言えます。
愛犬を狂暴な性格にしないためにするべきこと
犬が安心して暮らせる環境を整える
十分な食事と睡眠が取れる場所にいると、人間でも安心して穏やかに過ごせて寛げます。犬も同じで、心穏やかに過ごせていれば、狂暴になることはありません。人間に対して警戒心を持っている犬を飼う場合、人間の気配を感じつつ、身を潜めて安心できる場所を与えます。そして、食事や散歩の時間に少しづつ信頼感を築いていきます。
犬の心身の健康について注意を払う
大人しく、温和だった犬が急に狂暴な様子を見せるようになったら、体の中になんらかの問題が起こっています。体のどこかが痛んだり、あるいは脳の中になにかの異常があることも考えられます。そう言った問題にもすぐに気付けるように、愛犬の心身の健康には常に注意を払いましょう。
犬の気持ちを理解するように努力する
犬と人間は、言葉で意思を交わすことは出来ません。犬は、人間の言葉を経験で覚えてその意味をある程度は理解してくれるけれど、逆に愛犬が私たち飼い主に対して向けてくる「言葉」は、愛犬のまなざしや行動から察してあげることしかできません。
だからこそ、愛犬の気持ちを理解するように出来るだけの努力をしましょう。愛犬の気持ちは、鳴き声、目の力、歩き方、尻尾の動き方などに表れています。その様子をしっかり観察し、愛犬の気持ちに寄り添える飼い主になりましょう。
まとめ
「犬は人間の最良の友」と言う言葉には、どれだけ長い時間犬と人間が共生し、犬に対して人間がどれだけ大きな影響を及ぼしてきたかを表しているような気がします。どんな大型犬でも、闘犬として作出された犬であっても、生まれた時は人間の掌に乗るほど小さく、狂暴性の欠片もありません。つまるところ、犬を狂暴な性格にしてしまうのは、成長していく過程であれ、動物としての品種改良の過程であれ、人間の影響が最も大きいと言えます。
そして、人間に害をなせば、例え飼い犬であっても殺処分の対象となることもあります。ですから、ご自身の愛犬を守るためにも、決して愛犬が狂暴な性格にならないように正しい知識と深い愛情を以て愛犬に向き合いましょう。