1.見つめてくる
犬は、特に飼い主さんの表情を読み取る能力に長けています。犬が笑顔になっているように見えたり悲しそうな目をするのも、太古の昔から人間と共生してきた歴史の中で表情筋を進化させたのではと言われています。
様子を観察したり目でコミュニケーションを取るために見つめる
犬は飼い主さんの様子をよく観察しています。何か異変があると「どうしたんだろう?」と言わんばかりに顔をじっと見つめてくることも。犬は飼い主とアイコンタクトを取る習性があるので目線で通じ合う能力にも長けているのです。
2.近くをウロウロする
飼い主さんが泣いていたり風邪を引いて元気がないなどの異変を察知すると、飼い主さんの近くをウロウロすることがあります。
この場合は「どうしたんだろう?」「どうすれば良いのだろう?」とソワソワ心配してしまっていることが考えられます。犬は飼い主さんの異変にとても敏感なので、どうしていいのか分からず自分も不安な気持ちになってしまうこともあります。
監修ドッグトレーナーによる補足
愛犬が不安そうな様子を見せていたら、「おいで」などと優しく声をかけて側に寄せましょう。そうすることで「一緒にいていいんだ、側にいられるんだ」と安心してくれますよ。
3.匂いを嗅ぐ
犬は、視覚よりも嗅覚に頼って生きているので飼い主さんの異変を察知すると、情報収集しようとして匂いを嗅いでくることがあります。
犬には人間の病気のニオイが分かる能力があるという研究もあり、実際に「愛犬がしきりにお腹の匂いを嗅いできたので検査したら早期のガンが見つかった」という報告もあります。飼い主さんが体調不良の時には、匂いからも異変が分かるのかもしれません。
監修ドッグトレーナーによる補足
日本で最も有名なガン探知犬「マリーン」は、ラブラドールレトリバーのメスで、訓練の後、2008年11月から2009年6月にかけて行われた実験では、大腸がん患者の呼気からは91.6%(33/36)の確率で、そして便からは97.3%(37/38)の確率でガンの有無を当てたといいます。その後もマリーンは子宮がん、卵巣がん、乳がん、胃がんなど、がんの種類や進行度に関わらず、驚異的な確率でがんを診断出来ることがわかったのだそう。
特殊能力は犬種によっても違いがありますが、犬の嗅覚には人間の想像を超える神秘がかくされているのかもしれませんね。
4.あご乗せしてくる
飼い主さんのことを心配している時、膝や腕に「あご乗せ」をして見つめてくることがあります。
あご乗せは「あごを乗っけるとラクだなぁ」と単純に思っていることもありますが、飼い主さんにアピールの目的で行うことがあります。例えば、飼い主さんが食べているごはんが欲しくて箸を持つ方の腕にあご乗せして気を引くことなどもあります。
「大丈夫?」とうったえている
飼い主さんの様子を気にかけている時も、あごを乗せて見つめてくることで「大丈夫?」と気にかけていることが考えられます。犬は、仲間同士で身を寄せ合って身を守る習性があるため、飼い主さんを守ろうとして身を寄せてくれていることも考えられます。
5.遊びに誘ってくる
飼い主さんが落ち込んでいたり元気がないときに、お気に入りのおもちゃを持ってきて「遊ぼう!」と誘ってくることがあります。なんでこんなときに…と思ってしまうかもしれませんが、これは犬が飼い主さんを気遣っているときの行動です。
「おもちゃ」を見ると「楽しい」を思い出す
犬にとって、遊ぶことはごはんやお散歩と同じくらい大事で楽しい時間です。そのため、元気がない飼い主さんを遊びに誘うことで「元気を取り戻して楽しい気持ちになってもらいたい」という考えによるものと思われます。
また、犬は物事を関連付けて記憶するため、「おもちゃ」を見ると「楽しい」という感情を思い出します。飼い主さんにおもちゃを見せることで「楽しい」という気持ちになってほしいのかもしれません。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬は、自分が楽しかった記憶だけでなく、飼い主さんが喜んでいたことも明確に記憶していることから、「こうすれば飼い主さんが喜ぶ、元気になる」と考えて行動しているのです。
犬が信頼している人に向ける愛情はとても深いですよ。
まとめ
今回は「犬が飼い主さんを心配している時」の行動について解説いたしました。
- 見つめてくる
- 近くをウロウロする
- 匂いを嗅いでくる
- あご乗せしてくる
- 遊びに誘ってくる
以上の5つの行動は、いつもと様子が違う飼い主さんに対して「どうしたんだろう?」「元気になってほしい」という気持ちによるものと考えられます。
犬は、飼い主さんの表情や様子をよく見ています。飼い主さんが楽しければ犬も楽しくなりますし、元気がなければ犬も不安な気持ちになってしまいます。言葉が通じなくとも、犬はこのような行動で飼い主さんのことを気遣ってくれているのです。