犬には「危険」を察知する能力がある
愛犬が何かに対して、怖がったり、不安そうにしている姿を見たことはありませんか?犬はもともと、自分自身の身を守るために、安全なものと危険なものを判断する、本能的な能力があると言われています。
遠い昔、犬の先祖にあたる狼が、厳しい自然界の中で生きのびるために必要な能力だったのではないかと考えられています。そんな能力が現在の犬たちにも本能として残っているようです。
特に初めて見る物や、初めて会う犬、初めて会う人などはに対しては、しっかりとニオイを確認し、聞こえてくる声や小さな物音、また見た目で判断しているようです。その初めての対象が「危険である」と判断した場合、犬はどんな行動をとるのでしょうか。
監修ドッグトレーナーによる補足
「危険」という感情の中には「恐怖」が含まれていたりもします。
これを知らずに犬を叱ってしまうと、強い恐怖により更に危険を感じてしまい、行動の悪化に繋がりかねません。正しい知識と対処を学んでいきましょう。
犬が『危険』を感じたときにする仕草や行動5つ
1.逃げる
初対面の犬や人、初めて見るオモチャなど、初めての物に対しては、しきりにニオイを確認するかと思います。犬はあまり好みのニオイでないものに対しては「危険」と判断するようです。「危険」を感じると、やはりその対象からは遠ざかりたいもの。急に走って逃げだそうとすることもあるようです。
また、ご自宅での出来事だと、爪切りやお風呂が苦手なワンちゃんは、その気配を察知すると、とっさに逃げることがありますよね。これも、ちょっとした「危険」から逃げていることになるでしょう。
イタズラ好きなワンちゃんは、飼い主さんに見つかったイタズラを、叱られる前に涼しい顔で逃げることも。叱られる「危険」から逃げているのですね。
2.吠える
危険を感じている犬の心理は、警戒心や恐怖心、不安感などを伴うことが多くあります。初めて会った犬に対して危険と感じた場合は、警戒心や恐怖心から吠えて威嚇する犬も少なくありません。少しでも遠ざけたいという心理から激しく吠えてしまうこともあると思います。
また、もともと警戒心が強い性格のワンちゃんだと、室内でも危険を感じてしまうことも。テリトリー意識の強い犬は、外部からの音に対しても危険を感じ、吠えてしまうことが多々あると思います。インターフォンや電話の音に反応して吠えるのは警戒心から吠えていることが多いようです。
3.隠れる
犬は初めて行く場所にも不安を感じるもの。初めてのお散歩コースや、初めて足を踏み入れた公園などでは、より多くのニオイを嗅いで安全な場所なのか、危険な場所なのか判断しているはず。もし、「危険な場所」と判断した場合、飼い主さんの足元や物陰に隠れてしまうこともあます。
また雷や花火大会など、突然の大きな物音に危険を感じる犬は非常に多く存在します。恐怖心や不安感からベッドやソファの下に潜り込んで隠れてしまうことも多いのではないでしょか。
4.動けなくなる
犬が「危険」を感じたとき、まずは自身の身を守る行動をとるはず。「逃げる」という行動は危険な物から遠ざかることができますし、「吠える」という行動で、危険だと感じている対象を遠ざけようともしています。しかし、あまりにも恐怖心や不安感が強い場合は、緊張で体が動かなくなってしまうこともあるようです。
また、突然音が鳴ったときや、お散歩中に他の犬と出会ったときなど、警戒心が高まる状態の中、片足を上げたまま体の動きを止めることがあります。これは、犬にとって「すぐにその場から離れられる姿勢」をとっているようです。危険を察知しつつも、何か起きたときには、すぐに逃げられる体勢を保っているのです。
5.尻尾が下がる
犬がしっぽを下げる仕草は、恐怖心や不安感の表れのひとつ。しっぽがお腹にくっついてしまうほど巻き込んでいるときは、恐怖心や不安感が相当に強い時だと思います。
飼い主さんに強く叱られた、また犬がたくさんいる場所で緊張しているなどが考えられます。また、しっぱが下がっている時は、つねに危険を感じている状態でもあります。他の犬に対して「近寄らないでください」という意思表示のひとつでもあります。
まとめ
犬は危険を感じている時、様々な行動や仕草で伝えてくれます。基本的には恐怖心や不安感、警戒心などの負の感情になりますね。犬も多くのことを経験するのは良いことですが、「危険」を感じる機会が多いのは少し可哀想…。
音や初めての場所など、怯える必要がないものに対して、危険を感じている場合は「大丈夫なんだよ」と言うことを、飼い主さんがしっかり教えてあげましょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
気持ちを落ち着かすには「ホメオスタシス」という手段があります。犬に自然と備わっている性質で、昂った感情を元に戻そうとする働きです。時間が経てば気持ちは自然と落ち着きを取り戻します。そうして落ち着いた状態をほめて教えてあげましょう。
逆に落ち着いていない時になだめようとすると、余計に驚いてしまいパニックになるケースもあるので要注意です。