犬の吠えてしまう心理①警戒・恐怖
犬が散歩中にすれ違う他の犬に向かって吠えてしまう心理として、まず考えられるのが警戒心や恐怖心です。怖いと思っている相手に対して「近寄らないで!」という意思表示をするために、吠えて警戒心をあらわにしているのです。
どんな犬に対しても吠えるという場合や、自分よりも大きな犬に対してだけ吠える、初めて会った犬に対してだけ吠えるなど、それぞれ状況は異なると思います。飼い主が気が付かないうちに他の犬との間で怖い思いや不快な思いをさせられて、それがトラウマになって同じようなタイプの犬に対して警戒心や恐怖心を持ってしまうということがあるのです。
恐怖心で吠えているときの仕草
「近寄らないで」という意味を持った吠えや恐怖心による吠えの場合、腰が引けていたり相手の犬から離れるようにして動いたりする傾向にあります。尻尾が下がっていたり後ろ足の間に入っていたりするときなどは、特に恐怖心を強く感じていると思います。
警戒の意味で吠えているときの仕草
縄張り意識などから強い警告の意思で吠えている場合には、尻尾や耳を立ててやや体を高く見せることがあります。姿勢も前のめりになることが多く、相手の犬を凝視するように目を大きく開くような表情をしていると思います。
吠えているときの表情やボディランゲージ・動き方などをしっかりと観察することで、犬が吠えているときの心理もより理解しやすくなると思います。その心理によって飼い主が取るべき対応も異なってくるので、ぜひ犬が吠えているときの様子をチェックしてみましょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
愛犬に「同じ犬種ならお友達になれるよ!」と考える方もいらっしゃいます。しかし、犬はその感覚はほぼ持ち合わせていません。私たち日本人が外で日本人に出会ったら「みな友達!」と感じるでしょうか?感じない方が多いと思います。
犬も同じでどんな犬種であってもすぐ友達に感じるとは限りません。大丈夫な相手かどうかを判断します。それが分かるまで警戒や恐怖もしてしまうのです。決して攻撃的になっているのではなく、慎重に考えているということです。
警戒や恐怖に包まれて大変な気持ちになっている愛犬に叱ろうとは思いにくいですよね。犬の心理を理解出来れば、自分自身の行動を変えて対応が出来るように変化していけます。
犬が吠えてしまう心理②関わり方がわからない
散歩中に他の犬に対して吠えてしまう犬の中には、他の犬との関わり方がわからずに吠えてしまうという犬も少なくありません。特に子犬の頃に十分な社会化ができていなかったり、普段他の犬と接する機会がほとんどなかったりする場合などに多く見られます。
他の犬に対して明確な恐怖心はなく、どちらかというと興味があるもののどのようにコミュニケーションを取ればいいのかわからず吠えてしまうのです。戸惑いの気持ちで無意識に吠えてしまったり、遊びに誘っているつもりで吠えてしまったりと様々ですが、この場合は正しいコミュニケーションの取り方を教えてあげることで、改善することが多いとされています。
犬が吠えてしまうときの対処法
他の犬(吠える相手)から気をそらす
強い恐怖心を持っている場合や吠えて興奮しすぎてしまう場合などには、無理にすれ違うことはせず相手の犬に気づかせないように気をそらしたり、散歩コースを変えたりすることも一つの方法です。また、他の犬に気が向かないようにおもちゃやおやつを持って気を引いたり、アイコンタクトを取って話しかけたりしながら歩くのもいいと思います。
他の犬(吠える相手)に慣らす
警戒心や恐怖心から他の犬に吠えてしまうときは、相手の犬に慣らすことが必要です。ただし恐怖心を持っている相手に強引に近づけてしまうと、より恐怖心を悪化させてしまう可能性が高いので、じっくり時間をかけて徐々に慣らすことが必要です。
まずは相手の犬が視界に入った段階で吠えてしまう前にほめてあげましょう。吠えずに近づくことができる距離を少しずつ縮めていき、吠えないまますれ違えるように段階を踏んで慣らしていきましょう。
吠える前に指示を出す
すれ違う犬に対して吠えてしまう場合、他の犬が来たらおすわりなどの指示を出しておくのもいいと思います。犬は立っている状態よりも座ったり伏せたりしている方が吠えにくいので、飼い主さんに注目させながら座らせておくといいと思います。
特に他の犬が近づいてきたときにどうしたらいいかわからず吠えてしまう場合などには、”やるべきこと”を与えて集中させてあげると落ち着いていられるということも考えられます。
まとめ
愛犬が散歩中にすれ違う犬に吠えてしまう場合には、まず「どのような心理で吠えているか」ということを理解するために、愛犬の表情や姿勢などをしっかり観察するようにしましょう。そして、「どんな犬に対して吠えるか」ということも把握すると、より的確な対応をしやすくなると思います。
他の犬に対して恐怖心を持っている場合や社会化不足で他の犬との関わり方がわからない場合などは、改善するまでにある程度時間がかかってしまうと思います。
ですが、吠えを放置しておいて自然と改善することはほとんどなく、特別なきっかけがなければ悪化する傾向が強いので時間をかけてでも改善するためのしつけや対処をしていくことをおすすめします。少しずつでも必ず状況はよくなっていくと思うので、あきらめずにじっくり向き合っていきましょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
「愛犬を守る気持ち」。吠えることを止めさせたいなら必ず覚えて欲しい考えになります。犬が吠えるという行動心理は警戒や不安、混乱によってもたらされます。犬にとってはネガティブな心理状況にあるわけです。犬は辛い心理状況に陥っているので飼い主さんは愛犬を守ってあげるという考えが必要になってきます。
守るという大きな目的があれば大きく間違えることはないでしょう。逆に吠えることを叱ったりしてしまうと、愛犬をよりネガティブな心理にさせてしまい、吠えることがひどくなる可能性が考えられます。愛犬の心理を読み解けば自然とするべき行動が見えてきます。ぜひとも愛犬を守るということを覚えておきましょう。