犬の抱っこっはただの甘やかし?
僕はご依頼人のご自宅に訪問する時、先ず最初に飼い主さんをチェックします。
「ピンポーン♪こんにちは〜」
「ワン!ワン!ワン!」
「はーい。ちょっとお待ちくださ〜い♪」
と、奥様がガチャっと犬を抱っこして玄関ドアを開けてくださいます。
僕はこの時の犬の抱き方や、飼い主さんの様子を観察させて頂きます。その様子で「この子はかなり甘やかされてるなぁ」と解るからです。
率直に言って僕は犬を抱っこすることを、良いと思うか悪いと思うかと聞かれれば答えは「悪い!」と答えます。
歩けないなら仕方ありませんが、歩けるのなら歩かせるべきです。
犬は後頭部下の首元を咥えられる概念はありますが、抱っこされるという概念がありません。何より基本的に犬は抱っこされることを嫌います。
まぁそれは後ほど話すとして、犬を抱っこしているそんな奥さんに、
「いつも来訪者のお出迎えは抱っこされてるんですか?」
と聞くと、大体の方が、
「はい。いつも吠えたり飛びついたりするので仕方なく抱っこしているんです〜♪」
とおっしゃいます。
非常事態、緊急事態の時は回避するために抱っこすることは仕方ないと思いますが、日常生活で犬を抱っこするのは極力避けた方が良いと僕は思うのです。
大型犬はそう簡単に抱っこ出来ませんが小型犬はひょいっと抱けるので厄介なんです。
「可愛いうちの子を抱っこして何がいけないのよ!」
と仰る方もおられるかも知れませんが、これは飼い主さんが主導権を持って抱っこしてるのか、それとも犬の要求通り抱っこしてるのかで大きく意味が変わってきます。
教訓
犬を必要以上に抱っこするのは良くないが、犬を抱っこ出来るようにちゃんと犬に教えてあげないと行けない!犬の本質から考えよう
中には抱っこが好きなわんちゃんもいますが、ほとんどの犬は抱っこされることを基本的に嫌がります。これは自分の体や足が地面から離れる、拘束され自由を奪われるなどを危険と判断するからです。だから抱っこされたくなくてヴルゥーっと唸ったり、咬む仕草をして「触らないで!」と威嚇するのです。
抱っこしているのと抱っこさせて頂いているの違い!
先ほど言いましたが、小型犬は、軽々と持ち上げて抱っこできてしまうので厄介なんですね。それと可愛らしい仕草でぴょんぴょん跳ねて「ねぇ♪抱っこして抱っこして♪」とやられると、飼い主さんは「あら〜♪抱っこちてほちーの〜♬」となってしまいます。
僕も飼い主としてその気持ちは痛いほど解ります。しかし大きな落とし穴があるんです!つまりリーダーとして抱き抱えているのか、犬の要求を聞き入れて抱き上げさせて頂いているのか。前者はリーダーとしての威厳ある行為で後者は下位者の行為だからです。
抱っこが必要になるシーン
抱っこが必要になるシーンとはやはり犬や人の危険回避の場合ですよね。
①歩道が無く交通量が多い道路
これは様々な住宅事情等で散歩に出るとき、どうしても交通量が多い道路を横断したり歩道が無くて横をビュンビュン車が行き交う場合は安全な場所まで抱っこすることをお薦めします。
②犬とやむを得ず公共施設に入る時
これは大型ショッピング施設や公共施設や動物病院に犬を連れて入らないといけない時、抱っこするかカートに乗せる必要がありますね。最近こういった施設内に動物病院やペットショップや犬のしつけ教室などがありますよねぇ。
③犬や人に過剰に反応した時
これも愛犬家なら経験のある方は多いと思います。犬が散歩中に犬や人と遭遇して興奮がMAXに上がった時。これは事故に繋がる可能性があるので回避した方が良いかなと思います。(厳密に言えば興奮させないしつけをしておくとこのケースは必要ありませんね)
④犬が迷惑行為をした時、危険な状態の時
たたみかける様に吠えたり、相手を威嚇して噛み付きそうな時など。
⑤犬が苦手な人が居る時
犬が苦手な人、嫌いな人も結構おられます。そういう方たちは犬が抱かれていることで安心されます。面白がって「ほら♪可愛でしょ〜見て見て♪」なんて言って近くに行くような真似はやめましょうね。マジギレされますよ!
抱っこトレーニング
抱っこができる飼い主さんも、できない飼い主さんもお読み頂きたいのですが、抱っこトレーニングのポイントは「穏やかにゆっくり」とです!犬が触られることや抱かれることを拒否する場合、ほとんど飼い主さんのやり方が間違っているからなんです。
現場で見ていると皆さん結構動きが早いんですね。
例えばパピーを迎え入れたとしましょう。
軽いのでついついひょいひょいと持ち上げてしまいます。この行為だけで犬は危険だと脳に刷り込まれることが多いのです。考えてみてください。
あなたがなんの前触れもなくアトラクションの逆バンジーに乗せられて、いきなりビョーンとすごい勢いでかなりの高さまで上げられたとしたら。
普通の方なら「ヒェ〜!」と恐怖を覚えるでしょう。
もしかしたら慣れればどうってことないかもしれませんが、最初に危機感と恐怖を覚えるとなかなか払拭できないんです。犬もある程度は我慢してくれているんですよ。でも我慢の限界が来たら全力で拒否ります!
トレーニングのやり方
犬を触れる前提でお話します。
①必ず後ろから、そして下から胸を持ちゆっくり水平になるように持ち上げてください。
よく前から犬の両脇に手を入れて持ち上げる方がおられますがこれは「赤ちゃん抱き」ですが犬は基本的に正面から近づかれるのが苦手な性質があるのであまりお勧めできません。更に言うと「目が合う」事も嫌います。更に更に言うと顔が近づくのも苦手なのです。慣れればどうってことないことなんですが犬にしてみると目が合って顔が近づいてくると緊張するんです。悪い意味で。犬は「自分から近づくのはいいけど、近づかれるのは苦手」なわがままなやつなんです♪
②持ち上げたらそのまま小脇に抱えます。
利き手があるので左右どちらでも構いません。これが本来の犬の抱き方です!必ず進行方向に顔が向くようにしましょう。
この2点を穏やかにゆっくり繰り返して下さい。
お薦めできない抱っこ(赤ちゃん抱き)
ルックスマイル法
僕は必ずトレーニングのプログラムに取り入れているルックスマイル法をご紹介します。空いた時間やテレビを見ながらできますよ。まず下の写真をご覧下さい。
- 飼い主さんがL字型に座り太腿の上に犬を仰向けに寝かせてください。
- そして両前足をしっかり持ちます。
- 犬が拒否し暴れだしても負けずに手を離さないで下さい。
- 時間制限はありません。犬が脱力するか寝ればクリアです!
たったこれだけのことであなたと犬の信頼関係が計れます。要するに「あなたにどれだけ信頼し身体を委ねてくれるか」が解るのです。
やってみるとわかりますが数秒ももたない方が多いです。すぐに窮屈がってガリガリ手を噛んできたり、身体を捻ったりして脱出しようとします。犬と根比べです!負けないで!他には「これはうちの子は大丈夫です!うちの子はいつも私のここで寝ていますから♪」と始めてみると凄く拒否したりします。これは犬が勝手に膝の上に乗ることを許している、つまりそこはベッドかクッションと認識しているだけで手を持たれる拘束感に耐えられなくなるのです。
このルックスマイル法には絶対にやってはいけないことが3点ありますので守って下さいね。
- 飼い主さんは冷静に穏やかでいる事。
- 力技で犬を抑圧するのではなく、また声を出さず、心で「大丈夫だよ」と犬と対話するイメージを持って下さい。
- 必ず笑顔で行って下さい!
では頑張らずに頑張って下さい!
まとめ
一言で言ってしまえば抱っこというのは信頼関係以外の何ものでもありません。しかし抱っこできるから信頼関係があるとは限らないことも解って頂けたでしょうか。
僕もあなたと同じ飼い主の一人として、時には犬に甘えさせてあげたいと思う気持ちはあります。しかし犬を甘えさせて良いタイミングを間違えると、せっかく築いた主従関係を台無しにする可能性もあるのです。
最後に犬を甘えさせてもいいタイミングをお教えしましょう。
それは犬が従順な時です!覚えておいて下さいね♪
ユーザーのコメント
30代 女性 西やん
うちは、ここは歩かせたくないと思う所は抱っこします。胴長なので、できるだけ背中を通常の体勢になるように、すくい上げる感じで抱っこしています。抱っこしていたら、知らない人に「歩かないのかな?」「歩かせなさい」と、言われたこともあります。そんな時は、「うち、目が見えないんですよー」とあっけらかんと話しています。
20代 女性 パッチェ
20代 女性 ルイディナ
30代 女性 ちいやん
20代 女性 ジニー
40代 女性 ここ
女性 雀3号
抱っこをして甘やかすのは悪いと言われていますが、老犬になったら少しのわがままは許してあげてもいいのではないかと思います。「犬」も「家族」なので、抱っこすることでコミュニケーションを取れると思います。
我が家の愛犬は抱っこ慣れしてしまっているので、特に嫌がることはありませんでした。動物病院などでは他の人や犬にも考慮して飼い主が抱っこしていなくてはならない時があります。抱っこすることで愛犬の安心感にも繋がります。
ただ、記事にもあるように抱き方だけは気を付けています。胴長の小型犬なので、変な持ち方をすると背中や腰に負担を掛けてしまいます。そうならないよう犬にとって苦しくない体勢で抱っこするようにしています。
私は犬を抱っこすることはしつけの一環ではなくコミュニケーションの一環として良いことだと思います。
もちろん、しつけは別物としてしっかり行うようにしています。
女性 まきた
女性 コロ
犬を抱っこしなくてはならない場所は意外に多いと思います。そういう場所で抱っこ苦手な犬が暴れて車道に飛び出してしまった、なんてことも聞いたことがあります。
抱っこ癖が付かない程度に慣れさせておくといざという時安心だと思います。
40代 女性 匿名
10代 男性 リク
30代 女性 訓練士見習い
でも、なるべく自分の足で歩かせることと、体重30キロの大型犬だと思って接するようにしています
それだけ心がけるだけでみるみるうちに愛犬の仕草や態度が変化しました
抱っこは必要最低限に心がけています