犬が水を嫌がる心理①本能・習性
犬が水やお湯を嫌がる理由として考えられるのが、その犬が生まれながらにして持っている本能や習性です。水やお湯が嫌いな犬は小さなうちから嫌いであることが多く、その場合は本能や習性が原因となっていると思います。
ラブラドールやゴールデンなどのレトリバー系、プードル、ニューファンドランドなどは元々水辺での狩りを行っていたり、水難救助犬として活躍したりしていた犬種です。このような犬種は水に抵抗感がなく、どちらかというと水を好み夏場の水遊びなどを喜んでするタイプだと思います。水辺または水中で活躍するためにつくり出された犬種のため、泳ぐのが得意で水に抵抗感を持たないのです。
その反対に、視覚や嗅覚を利用して地上での狩りを行っていた犬種や、地中にもぐって害獣駆除の仕事をしていた犬種などは水を苦手としていることがあります。
また、水やお湯が苦手な犬の多くは顔が濡れることを特に嫌がる傾向にあります。顔には目や口、鼻といった犬の繊細な感覚を司る部分が集合しているため、敏感に反応して不快感を抱きやすいのだと考えられます。
犬が水を嫌がる心理②トラウマ
犬が水やお湯を嫌がる理由として、過去の嫌な経験=トラウマが影響していることもあります。元々水やお湯にそれほど抵抗感がなかったにもかかわらず、突然嫌がるようになった場合などには水やお湯にまつわる過去の経験がトラウマになってしまっていることも。
急に冷たい水(または熱いお湯)をかけられてびっくりしたことや、心の準備ができていないうちに川や湖などに入れられたり、雷雨の中強引に散歩に連れ出されたりと、水に関わる怖い思いや嫌な体験を抱えていると水自体を嫌いになってしまうことがあるのです。
中には水に映った自分の姿に対して、恐怖心や警戒心を抱く犬もいるようです。これは鏡でも同様ですが、それらに映った犬の姿を自分自身であると認識することができないためだと考えられています。
犬に水やお湯を慣らす方法
犬が水やお湯を嫌がっている場合は、水に対して“いいイメージ”を持たせることが重要です。これは水やお湯を嫌がる理由が本能的なものであってもトラウマであっても同じで、まだ水に対して慣れていない子犬のトレーニングの基本的な考え方でもあります。
自宅の浴室や庭などで水を少しだけ出しながら、その場でおやつをあげたり、水の上を歩かせながら遊んだりして「水がそばにあるときにいいことが起きた!」という経験をくり返しさせることで水への恐怖心や抵抗感を減らしていくのです。少しずつ慣れてきたら水やお湯を犬の足にかけてみるなど試してみましょう。
ただし、絶対にしてはいけないのが無理強いをすることです。嫌がっている様子や警戒心があるうちに無理やり水をかけてしまうと、より水に対して嫌な思いが強まり新たなトラウマとなってしまうので注意してください。
また、飼い主さんが犬の前で水を触ったり水の中に手を入れたりすることで「水って面白いのかな?」と感じさせたり、水に興味を持たせたりすることができるのでぜひ試してみてください。
まとめ
水やお湯を嫌がる犬は多く見られますが、それは本能や習性によるものであったり、過去の嫌な経験によるものであったりします。いずれにしても水嫌いを克服するために大切なのは、水に対して“いいイメージ”をつけることです。そして嫌がる犬に対して水をかけたり水に入らせたりすることを無理強いしないこと。
水嫌いを克服するためには時間がかかると思います。1週間や1か月など短い時間ではなかなか水に慣れることはできないかもしれません。そうした場合でも決して焦らず、犬の気持ちやペースを尊重しながらじっくりと付き合ってあげてくださいね。