理想的な犬のお散歩とは
理想的な犬のお散歩は、愛犬が自発的に飼い主さんの横に寄り添い歩く「リーダーウォーク」。「リーダーウォーク」はしつけの一環であり、トレーニングすることで愛犬が少しずつ覚えていくべきことのひとつとなります。ちなみに「リーダーウォーク」が推奨される理由は、「愛犬自身と周囲の安全を守るため」であり、飼い主さんがしっかりリードすることで、愛犬とのお散歩中のマナーを守ることができます。
犬のお散歩で理想的な歩く速度はあるの?
一般的な成人の歩行速度は時速4キロ程度と言われています。この平均速度は、例えば、通勤や通学、買い物に行くときなど、特に歩くスピードを意識していない状態になります。不動産情報などで「○○駅から徒歩〇分」などと表記がありますが、こちらは4.8キロの時速で歩いたケースになるようです。4キロの歩行スピードは少しゆっくりめに感じる方が多いかもしれません。対して、犬の平均時速は小型犬が3.6キロ、中型犬と大型犬は4.6キロとなっています。
犬と人間の平均的な歩行スピードは極端に大きな差はないようですね。毎日のお散歩は愛犬はもちろんですが、飼い主さんにも良い運動。「リーダーウォーク」をしながら、軽く息が上がるくらいの速度でお散歩すると有酸素運動にもなるのでとてもオススメ。
もちろん個体ごとに体力に差があり、年齢や持病により運動が負担になってしまう子もいます。そんなワンちゃんは、体に負担がかからない範囲のお散歩でとどめておきましょう。老犬や持病がある場合、獣医さんと相談して最適なお散歩の方法を見つけてください。
犬も「平常心」でいるときは、飼い主さんが指示を出さな限り、極端に速く歩く必要はないはず。「お散歩中に突然速く歩きだす」また「お散歩中は常に速く歩いている」などの行動は、愛犬なりの理由があるようです。
監修ドッグトレーナーによる補足
愛犬の普通に歩く速度を見極めたい時は、左前足と左後ろ足に注目してみましょう。その足がナンバ歩きの様に同じ動きをしていたら遅い可能性があります。
逆に左前足と左後ろ足の動きがバラバラなら適正なスピードと言えるでしょう。もちろん、右側の足で確認しても大丈夫ですよ。
犬が散歩で速く歩くときの心理3つ
1.前方に強い興味の対象が見えている
犬には優れた五感が多いのですが、実は視覚はあまり優れていないのです。視力自体は0.2~0.3程度しかなく、焦点を合わせる能力が弱いため、犬の目に映る世界はぼやけているそうです。しかし、視野が非常に広く250度~270度ほどは一気に見渡すことが出来ています。そして動体視力が非常に優れているため「遠くに見える動くもの」を認識することができるのです。
例えば800メートルほど前をお散歩しているワンちゃんに気づき、追いつきたくて速く歩くこともあるとか。800メートルと言えば、私たち人間からすると、見えなくはないものの、気になる距離ではないと思います。
しかし、犬は「遠くに見える動くもの」を認識する能力と、さらに優れた嗅覚や聴覚もいかし、気づくことが出来るようです。愛犬が急に速く歩きだしたとき、もしかすると前方に気になる何かが存在しているのかもしれません。
2.楽しさからくる興奮
犬は散歩が楽しいもの。運動のために必要なのはもちろんですが、犬は外に出ることで、いろいろな情報を集め、気持ちをリフレッシュさせます。ストレス発散のひとつにもなっているのです。ましてや大好きな飼い主さんと一緒のお散歩は、嬉しくてしょうがなく興奮してしまう子もいます。
犬は興奮しているときも速く歩くことがあります。よく言われる、飼い主さんが引っ張られている状態ですね。好奇心が強いタイプのワンちゃんは、お散歩のたびに速く歩くのではないでしょうか。特に初めて歩く道や、初めて行く公園では興奮が強く「この先に何があるのか知りたい!」という気持ちから速く歩くことが多いでしょう。
3.早く帰りたい
犬はお散歩が大好きな子がほとんどですが、疲れがたまっている時や、その日の天気などで「今日はお散歩行きたくない…」と感じることがあるのも事実だと思います。愛犬の「行きたくない」のサインに気がつくことができれば、たまにはお散歩をお休みするのも良いと思いますが、なかなか気づいてあげられず、お散歩に行ってしまうことも多々あると思います。
我が家の愛犬の場合、いつものお散歩コースで、この角を曲がればもうすく自宅、という所まで来ると、曲がったとたん急に歩くスピードが上がるときがあります。住んでいる地域が雪が降る、寒い地域なんですが、冬にはたまに見られる光景で、「あぁ、寒かったんだね、ごめん」と思う瞬間です。どこのお家のワンちゃんでも、何らかの理由で、早く帰りたくて速く歩くこともあると思います。
まとめ
犬がとる行動の多くには、しっかりとした理由や原因があります。愛犬がお散歩で速く歩くとき、何らかの心理が働いているはず。飼い主さんにとって、特別困る行動でなければ、小走りするように一緒にお散歩を続けても良いかもしれませんが、愛犬はどんどん加速してしまうかも…。まずは理由だけでも探っておくと良いかもしれませんね。
監修ドッグトレーナーによる補足
他にも「飼い主さんが怖い」という理由が隠されているかもしれません。散歩で叱ることが多いと、犬に「飼い主さんは散歩に行くと怖い人になる」と誤解を与えてしまうのです。
その結果「飼い主さんから逃げようとして走る」という心理が働くことも。今一度、愛犬との関わり合いを見つめていい方向に進めてみましょう。