犬のしつけはやりすぎると逆効果!?
新しい家族として犬を迎え入れたら、どこのご家庭でも「しつけ」を行うことになると思います。しつけの際、愛犬が集中していないときは人間でいうところの、「聞く耳がない」状態。どんなに教えても、犬の集中力が低下しているときは、しつけ自体が成立しないのです。
また、犬にとってのしつけは「勉強」に近いもののように感じます。私たちも子供の頃、やる気のない時に親から「勉強しなさい!」と言われると、さらにやる気を失うことはありませんでしたか?犬のしつけに対する集中力が落ちてしまっている時、飼い主さんに何度もコマンドを連呼されると「しつけ」=「嫌なこと」と記憶してしまい、飼い主さんの頑張りが逆効果になることもあるようです。
監修ドッグトレーナーによる補足
新しい芸やトリックを教える際には集中力が大切になります。一方、日常生活のやり取りやルールを教える際には集中力はそれほど重要ではありません。どちらのしつけをしようとしているのかで分けてあげましょう。
犬の集中力は何分保てる?
新しい家族は、子犬から迎え入れることもあれば、成犬や老犬を迎え入れるご家庭だってありますよね。新しい環境に入った犬に対しては、何歳であってもしつけは必要です。しつけは「オスワリ」や「マテ」、またトイレトレーニングなど、日常生活の中で必要になる基本的なものから、無駄吠えや拾い食いなど、問題行動を起こさせないためのしつけなど、実に様々です。
犬は集中力が長くは続かない
犬の知能は人間の子供の2~3歳児程度と言われていますが、集中力も同じくらいで、どんなに頑張っても10分程度が限界でしょう。犬種、個体差、年齢、環境でも差が出てきますが、一般的には犬の集中力は何十分もは続きません。
子犬のしつけは何分?
好奇心旺盛な子犬は集中できる時間もまだ短いため、しつけは長くても1回あたり3分程度で終わらせるのが一番です。「キッチリとしつけをする」というよりは、しつけを楽しいものと感じてもらえるよう、遊びやおやつをごほうびとして上手に使い、犬も飼い主さんも楽しみながらしつけをすることが大切です。1回のしつけの時間は短く、一日に何回かに分けてしつけをすると良いでしょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
子犬のしつけをする時は、あらかじめ「集中力が切れたらどうするか」決めておきましょう。
無理に長時間しつけをすると、楽しくなくなってしまいかねません。子犬の負担を少なくするならば「集中が切れたらそこまで」とすると楽しくしつけに打ち込めます。
成犬のしつけは何分?
成犬になると集中力を維持する時間が少し伸びるので、愛犬の様子を見ながら5~10分程度しつけをすることもできるでしょう。まずは3分程度で終わりにしてみるしつけから開始して、集中力を維持できるようであれば、少しずつ時間を伸ばしていきましょう。
老犬のしつけは何分?
老犬になると様々な感覚器官も衰え、集中できる時間もまた短くなります。老犬のしつけでは、短時間のしつけを根気よく続けることがさらに重要になります。老犬になってから初めて「しつけ」の経験をする犬であれば、頭の中は未知の世界でいっぱいなはず。焦ることなく、ゆっくりと向き合ってください。
監修ドッグトレーナーによる補足
老犬でもしつけは脳にとっていい影響があります。新しい環境に適応しようとして脳細胞が活性化するからです。
しかし無理はさせないで下さいね。老犬は体も心も無理が効きにくいので、出来る範囲の時間で十分です。
短い時間のしつけを一日数回行いましょう
上記に書いたように、犬の集中力が保てる時間は数分程度です。集中力を保てる時間は短いですが、この短い時間を有効に生かして、しつけを一日に数回行うのが効率的でしょう。
例えば、成犬であれば数分~10分程度のしつけを一日に数回行ってください。集中力が途切れたり、飽きたりしてしまう前にしつけを終了するようにしましょう。失敗した状態でしつけを終了するより、成功して飼い主さんに褒めてもらい終わらせることで、「良い経験」として記憶に残るため、「しつけは楽しいこと」と学んでいってくれるはずです。
監修ドッグトレーナーによる補足
しつけのコツは「自分のやりたい事」ではなく「相手(犬)にどう感じてもらえるか」に着目してみましょう。そこを押さえておけば、いいしつけに繋がっていきます。
愛犬の集中力を高めてしつけをしやすくするコツ
愛犬にはしつけを通して、多くのことを学んでもらわなくてはいけません。そのとき、大切になってくるのが「犬の集中力」。愛犬の集中力を高める方法や、しつけの際に気を付けてもらいたいこともご紹介しておきます。
愛犬の健康状態に気を配る
日常生活でももちろんですが、しつけをする際にも、愛犬が健康な状態で過ごすことができているか確認しましょう。身体のどこかに痛みがあったり、ストレスでイライラしているときなどは、集中することができません。
これは飼い主さんも同じことで、飼い主さん自身も健康状態が悪いときや、ストレスで平常心が保てないときは、良い態度でしつけをすることができない可能性があります。互いに心身ともに穏やかなときにしつけを行うのが一番良いでしょう。避妊・去勢手術をしていない場合には、ホルモンによって変わる精神面も考慮する必要があります。
環境を整える
また、犬は周囲に知らない人や自分以外の動物がいる場所や、慣れない場所、大きな音がする場所では気が散ってしまい集中力を発揮することができません。しつけの最初の段階では、静かで落ち着けるなじみのある場所を選んであげてください。
タイミングを見計らう
犬には集中力を発揮しやすいタイミングがあるようです。例えば、オヤツを使ってしつけをする場合、食後だとあまりお腹が空いていないため、オヤツの魅力が半減し、集中力が高まらないとか。逆に食前だと、空腹なためオヤツにばかり集中してしまうこともあります。食後数時間たったころ、飼い主さんに「遊ぼー!」とオモチャを持って、誘いにくることがあると思います。この頃がお勧めのタイミングです。
楽しく行う
そして、愛犬に「しつけは楽しい」と感じてもらうことはとても大切なこと。楽しいからこそ集中力を高めることができるのです。そのためにも、愛犬が集中力を保てる時間をしっかり把握して、無駄に長い時間しつけを行うことを避けましょう。
そして、愛犬のモチベーションを高めて集中しやすくするため、愛犬の好きなごほうびは何かをきちんと把握し、好きな度合いが違うごほうびを数種類用意しておくと良いでしょう。
まとめ
家族として共に生活していく愛犬にとって、しつけはとても大切なもの。「早く覚えてもらいたい」「いい子に育ってほしい」などの思いがあると、ついつい力も入り気味になってしまうかもしれません。ここでは、しつけをする時間は何分程度、と書きましたが、しつけの入り具合や愛犬の様子によっては1回のしつけは数十秒で終わってもいいわけです。犬の性質を考慮して、集中力を発揮できるときに、効率的に覚えてもらうこと、また楽しみながらしつけができるよう心がけてみてください。
監修ドッグトレーナーによる補足
人も犬もお互いが楽しめるしつけが理想です。楽しいしつけは学習能力も上昇します。さらに、やる気も上昇するためいい循環が出来上がります。楽しめるように工夫を張り巡らせて「しつけ」に取り組んでみましょう。