1.飼い主さんは今日も元気かな?
犬は人間の感情を察知できる
犬の脳と人間の脳とはつくりが違うため、犬は人間のように複雑な気持ちや考えを持ちません。しかし、犬は人間のその時の感情に同調することができるのです。「悲しくて泣いていたら、愛犬が寄り添ってくれた」なんて経験がある方も多いことと思います。
犬は輪の中で生きていく動物
犬はもともと群れを成して生きていく習性がありますので、輪の中で社会性を持って生きていくことを重要視します。自分が群れから嫌われてしまったら輪から外されてしまいますし、誰かが輪を乱すような行いをすると群れのみんなの命も危険になるためです。
そのため、今や人間の輪の中で暮らす犬も飼い主さんやご家族などの感情や体調を敏感に察知します。
- 「今日も元気かな?」
- 「なんだか機嫌が悪そうだ…」
- 「体調が悪いのかな?」
犬は毎日こんなふうに飼い主さんやご家族に異変がないかどうかを考えているかもしれません。
2.ごはんの時間だ!散歩の時間だ!
犬の体内時計は不思議なくらいとても正確です。私たちのように時計が読めるわけではないのに、彼らはごはんの時間や散歩の時間をしっかり覚えています。中には、飼い主さんのお仕事の日と休日を理解している子も!
日々のルーティンは作らない方が良い?
ドッグトレーナーによっては、日々の決まったルーティンを作らない方が犬のストレスにならないとしている意見もあります。なぜかというと、決まった時間にごはんが食べられなかったり散歩に行けなかった場合にストレスを感じるようになるためです。
また、犬は飼い主さんが家を出る前の身支度もよく覚えています。
- スーツを着ること
- カバンのチャックを閉める音
- 鍵を持ったチャリンと言う音
このような一連のルーティンを犬は覚えていますので、「これをしたら飼い主さんは出かけてしまう」というネガティブな気持ちになってしまいます。
甘えん坊の子や、分離不安になってしまった子は「お留守番=嫌なこと」と考えてしまうので、飼い主さんが出かける前のルーティンに気付くと落ち着いていられなくなってしまうこともあります。
わざとルーティンを崩してみる
いつも同じ時間に散歩をしてごはんを食べていると、その時間になるとソワソワしてくるワンちゃんも多いですよね。おねだりで吠えてしまう「要求吠え」のクセがついている子もいます。そういった子の場合は特に、時々違った時間にお散歩に行ったりごはんを与えてみましょう。
また、お留守番が苦手な子の場合は、飼い主さんが出かける支度をした後に遊んであげたりおやつを与えるのもオススメです。飼い主さんが出かける前のルーティンを「楽しいこと」と結びつけることで、愛犬が持つお留守番へのネガティブな気持ちを和らげることができます。
お散歩の新鮮味が増す
犬の脳と心にとって、ドキドキワクワクするお散歩の時間はとっても重要です。お散歩の時間やコースが毎日同じだと、その新鮮味は徐々に薄れて行ってしまいます。同じコースであっても時間帯を変えると全然違った印象になりますし、コースを変えてみるとより新鮮味が増すでしょう。
正常な関係性のために
ごはんについても、日によって少しずつ時間帯を変えることで犬のおねだり攻撃が軽減することもあります。「犬が要求するからごはんが出てくる」ではなく「飼い主さんが主導でごはんを与えている」という立場を犬が理解することは、飼い主さんとの正常な関係性を保つのに大変重要なことです。ごはんだけでなく、これはお散歩でも同じです。
愛犬を預けなければいけない場合にも安心
ペットホテルやシッターさんに預けなくてはいけない日など、日々のルーティン通りにならない日もあるでしょう。そんな場合にも、時間帯を決めていない方が犬がストレスを受けにくくなります。
3.この人は良い人かな?
犬は飼い主さんと他の人の関係性をよく観察しており、飼い主さんに対して「良い人」か「悪い人」かを見極めているのだそうです。
飼い主との関係性を犬に見せる実験
ある学術誌に発表された論文では「犬の人間観察」についての実験が記載されています。
実験部屋には飼い主と第二の人物、そして中立な立場をとる第三の人物を配置します。
その中で「飼い主がコンテナからテープを取り出す作業に苦戦している」というシチュエーションをつくりました。
実験対象の54匹の犬を3つのグループに分けて、
- 飼い主に第二の人物が協力した
- 飼い主に第二の人物が協力しなかった
- 飼い主が他人に助けを求めなかった
という飼い主と他人の関係性をそれぞれのグループに見せました。
飼い主に協力したかどうかを犬は理解していた
飼い主と他の人との様子を見せた後で、第二の人物と第三の中立な人物が犬におやつを与えました。
その様子を観察してみると「第二の人物が飼い主に協力した」のを見ていたグループの犬は、第二の人物と第三の人物に好みの差は見られませんでした。
それに対して「第二の人物が飼い主に協力しなかった」という場面を見たグループの犬は、第二の人物よりも第三の中立な人物のことを好んだという様子が見られました。
この実験の結果から、犬は飼い主と関わる人との関係性をよく観察しており、その人物が飼い主にとって良い人かどうかを見極めた上で自分の態度を変えるということが分かりました。
このように、犬は自分に対してだけではなく、飼い主に対しても良い人かどうかということを考える動物なのです。犬の人間観察はとても興味深いですね!
まとめ
犬は人間の2~3歳児程度の知能指数があると言われています。2~3歳児といえば幼稚園に入るか入らないかくらい幼い頃ですが、それでも日々いろいろなことを考えています。今回ご紹介した3つの「犬が日々考えていること」は犬自身のことというよりも、飼い主さんやご家族、飼い主さんに関わる人や場の雰囲気など、自分の周囲のことについてというところが共通しています。
犬が空気を読むことができる動物であることがわかりますね。特に「飼い主さんにとってその人物が良い人かどうかを観察している」という実験結果は大変興味深いものです。犬の世界の中心は愛する飼い主さんなのですね!