地震前に見せる異常な行動1:異常に吠える
犬が地震前に見せることがある異常行動で、よく言われているのが異常に吠えることだそうです。実際に阪神淡路大震災や東日本大震災が起こった際も、数日前からいつもと違う声の出し方や、普段はあまり吠えない時間帯に何度も異常に吠え出したりした犬がいたそうです。
どんな異常行動でも、犬が地震前に異常行動を見せるタイミングは地震発生の数秒から数分前が大半だそうですが、数時間前や数日前、中には6日以上前に犬が異常行動を見せていた、と報告する飼い主さんもいるそうです。
地震前に見せる異常な行動2:外に出たがる
地震前に見せる行動として、しきりに外に出たがることもあるようです。
行動パターンとして、外に出ようとソワソワしたり、どうにかして抜け出せないかいろいろ模索したりすることもあるそうです。そして、何かの拍子に外に出られたらそのままどこかに行ってしまい帰ってこない、散歩から帰って来ても家に入りたがらない、ということもあるようです。また、飼い主さんなど家族を連れて家の外に出ようとすることもあるそうです。
そのような場合には、リードなどのお散歩グッズを持って来たり、しきりに外に行きたいアピールをしたりして、どうにかしてでも外に連れ出そうとするそうです。特に、日頃、散歩に行きたいアピールをしないのに突然行きたいアピールをしつこくしてきた場合、もしかしたら地震が来る前触れを飼い主さんに教えているのかもしれません。
地震前に見せる異常な行動3:体調が悪くなる
地震前に見せる変化として、犬の体調が突然悪くなることもあるそうです。あまり動かなくなったり、下痢をしたり吐いたり、ご飯をあまり口にしなくなるなどの変化が報告されています。このような異常行動の原因として、地震が起こる前に生じる電磁波異常が影響している可能性が考えられています。
電磁波は、人間でも何も感じない人から電磁波が原因かもしれない体調不良を訴える人まで、感じ方は人それぞれですが、犬は人間よりも電磁波の感度が高い可能性が考えられています。もちろん犬の中にも電磁波を敏感に感じ取る犬からあまり感じない犬までいると考えられますが、敏感に電磁波を感じ取る犬では、地震前に発生する電磁波異常の影響により嘔吐したり食欲不振になったりと元気がなくなってしまうのではないかという説があります。
地震前に見せる異常な行動4:興奮する
地震前に見せる行動として、普段よりも興奮することもあるそうです。
何もしていないのに暴れ出したり、落ち着かない様子が続いたりして、飼い主さんがなだめようとしてもなかなか平静にならない場合、地震の前触れで犬が落ち着かない状態になることもあるかもしれません。
また、暴れだす以外にも怯え出したり震えだしたりすることや、遠吠えをすることもあるそうです。日頃おとなしい犬が突然吠え出したり、滅多に遠吠えをしないのに遠吠えをしたり、普段は怯えるようなことがない元気なワンちゃんが部屋の隅に行って怯えだすなど、今までの愛犬の行動からは考えられないことをしたら、地震の前触れを感じ取っている可能性があるかもしれません。
これらの行動の原因としては、先ほどと同様に地震前に電磁波異常が発生して、犬が今までに感じたことがないことに対して驚き、どうしたら良いか分からず不安になるため、などと考えられています。
また、電磁波の変化の感じ方には個体差の他に犬種による差もあるそうで、オオカミに近い原始的な犬種の方が感度が良いという実験結果が出ています。
参考(外部サイト):犬が持つ4つのDNA情報を分析し犬種ごとに分類するとこんな感じになる
まとめ
地震とは関係なく、病気の場合や飼い主さんが気づいていないだけで犬に何かあった場合もあるかもしれませんが、普段とは異なる行動をしていたら地震が来ることを飼い主さんに教えているのかもしれません。
もし何かいつもと違うと思ったら、地震の前触れかもしれないということを頭に入れておくと、万が一の場合早く避難することができるきっかけになると思います。
犬が地震の前に異常行動を見せる原因には、電磁波異常の他に帯電エアロゲルやイオン濃度、発光現象、P波感知によるものなどが考えられています。動物の地震予知についての研究からは、電磁波への反応には犬の個体差が大きいこと、室内で生活し多くのことが人間によって管理されている環境にある犬よりも外で生活し人からの干渉が少ない環境にある犬の方が、また人の手によって改良が重ねられてきた犬種よりもオオカミに近い原始的な犬種の方がよく電磁波に反応することなどが分かっているそうです。
原始的な犬種とはどの犬種か、に関して記事内で紹介されている参考サイトの内容は、ナショナルジオグラフィック2012年2月号の特集記事「犬の遺伝子を科学する」から引用したものです。ナショナルジオグラフィックのサイトではその記事の紹介文しか読むことができず、DNA解析の結果から犬種を大きく4つのグループに分けた図も紙面でしか見ることができませんが、その記事と図は多くの論文を基に書かれています。米国国立衛生研究所(NIH)傘下の国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)が犬ゲノムプロジェクトを進めており、そちらのホームページ(https://research.nhgri.nih.gov/dog_genome/index.shtml)にそのような犬の遺伝子に関する研究や論文が分かりやすくまとめられています。
《参考文献》
Yamauchi, H.; Uchiyama, H.; Ohtani, N.; Ohta, M. Unusual Animal Behavior Preceding the 2011 Earthquake off the Pacific Coast of Tohoku, Japan: A Way to Predict the Approach of Large Earthquakes. Animals 2014, 4, 131-145.
https://doi.org/10.3390/ani4020131
太田 光明,江口 祐輔,大木 茂:“The ability of animals to anticipate coming earthquakes : Allele frequency distribution of the canine CRH gene in 33 breeds”,麻布大学雑誌,13/14巻,pp.183-192,(2006)
https://az.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=5143&item_no=1&page_id=13&block_id=17
太田 光明,江口 祐輔,大木 茂,大谷 伸代:“The ability of animals to anticipate coming earthquakes : a possibility for dogs to predict an earthquake”,麻布大学雑誌,17/18巻,pp.167-172,(2009)
https://az.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=3913&item_no=1&page_id=13&block_id=17