保護犬は多頭飼いしない方がいい?
先住の動物との相性をよく考慮する
信頼できる保護団体なら、保護犬が不幸になるような譲渡を薦めるようなことはしません。たとえ、譲渡会や保護団体のホームページなどで希望の保護犬と出会って譲渡を願い出ても、もともと飼っていた先住の犬との相性が悪ければ、譲渡を断られることすらあります。
犬の飼育に不慣れなら避けた方が良い
保護犬に限らず、初めて犬を飼うときにいきなり多頭飼いをするのは避けた方が良いと思います。単純に、食事や排せつの手間が倍になるだけでなく、犬たちの健康状態や精神状態をよく観察しなければならないことを見落とすリスクが高くなるからです。
例えば、元気な子犬を二頭、一度に家に向かえ入れたとします。当然、排泄のタイミングが違うので、トイレトレーニングのタイミングも違います。
片方がイタズラをしていることに気を取られているうちに、もう一頭が誤飲誤食で飲み込んではいけないものを食べてしまっていた…ということにもなりかねません。
また、犬の扱いに慣れていないと、犬同士が本気のケンカをしたときに対処できません。たとえ小型犬同士でも、本気のケンカに不用意に人間が手を出せば大出血するほど強く咬まれることもありますし、大型犬同士の喧嘩になると、犬も人間もとりかえしのつかない怪我を負うことになります。犬の扱いに不慣れで、犬の行動を制御できないのであれば、多頭飼いは避けるべきです。
多頭飼いの飼育環境を整えられるかどうか
それぞれの犬が安心できるスペースを作ることができるか、病気の予防のためのワクチン、避妊などの費用は出せるかなど、犬を多頭飼いできる環境を整えることができるかどうかを考えてみましょう。
家族全員が幸せに暮らすために最善の策を取れるか
先住の犬とどうしても相性が悪い、でも、どうしても家族として保護犬を引き取りたい、諦められない…ということもあるかも知れません。そんなときは、二階と一階で飼育場所を分ける、世話をする人を完全に分担制にするなど、できる限りの最善の策を講じましょう。
ストレスを感じるようなら専門家に相談する
日本には、「餅は餅屋」ということわざがあります。何事においても専門家に任せる方がよい、あるいは、どんなに上手でも素人は専門家には敵わない、という例えです。愛犬のことは飼い主さんが一番よく知っているかも知れませんが、「犬」という動物に関する知識は、経験豊富なドッグトレーナーさんや犬の訓練士さんには敵いません。先住犬と新しく迎える犬に関して、不安があるのならドッグトレーナーさんや訓練士に相談してみましょう。
多頭飼いに向かない犬とは?
興奮しやすい
興奮しやすく、攻撃性のある性格の犬は、ケンカになりやすく、多頭飼いには向きません。
甘えん坊で飼い主さんに依存しやすい
飼い主さんの愛情が分散してしまうことを感じ取って、ストレスを抱えることになります。
臆病
先住の犬で飼い主さんから一番愛情を注がれていても、臆病な犬は他の犬の立てる物音などにも敏感でいつもびくびくして生活しなければいけなくなります。それは、その犬にとっては非常に大きなストレスで、病気の原因にもなりかねません。
まとめ
「保護犬だから多頭飼いに向かない」あるいは、「保護犬だからこそ、多頭飼いをして寂しくないようにしてあげたい」と「保護犬だから」と特別に考える必要はないと思います。「保護犬は多頭飼いをしないほうがいいのか?」という疑問に対する結論としては、保護犬の性格や年齢、体格などの条件によって多頭飼いを避けた方がいい場合もありますが、多頭飼いをするかしないか、向いているか向いていないかは、保護犬だからという理由で考えるのではなく、犬の個性によって考えるべき、ということです。