1.あいさつしなきゃ!
犬の祖先であるオオカミは、家族や仲間など自分と親しい存在に再開した時、特に自分より地位の高い相手だった場合には体勢を低くして相手の顔や口元を舐める習性があります。
これはオオカミの世界の再会のあいさつです。現在の家庭犬にもこの習性が残っているため、自分のリーダーである飼い主さんと再会した時には顔を舐めたり床に転がったりと賑やかに飼い主さんに接します。
2.どこにいたの?何してたの?ねぇ教えて!!!
どんな食べ物を獲得してきたの?
再会した相手の口元や顔を舐めるのは、単に再会を喜んでいるからだけではありません。
犬の祖先であるオオカミはもともと巣穴で暮らしていました。狩りから戻った仲間がどんな食べ物を獲得してきたのかを確認するために、仲間が帰ってきた際には相手の顔を舐めたり匂いを嗅いだりしてあいさつをします。
知らない匂いの情報収集
犬は好奇心旺盛なので、知らない匂いを嗅ぐとワクワクしてしまうのかもしれません。
大はしゃぎしながらも飼い主さんの匂いを嗅ぐのは、自分の知らない匂いをまとっている飼い主さんに「どこ行ってきたの?何食べたの?」というかのように匂いの情報収集をしているのです。
顔を舐めたりはしゃいだり匂いを嗅いだり…再会の儀式はとっても忙しいですね。
3.また会えて嬉しいよ!
飼い主さん命!
犬という動物はとにかく人間が大好きです。自分のリーダーである飼い主さんならなおさら「飼い主さん命!」の子は多いと思います。
大好きな人とまた会えたのですから、純粋に再会を嬉しく思って喜んでいるのでしょう。
「いない」から「いる」へ
犬はその人がいない期間のことを「どこに行ったのかなぁ」「元気でやっているかなぁ」などと深く考えることはありません。犬にとっては「いない」状態ということだけ認識します。
ところが、飼い主さんと再会すると「いない」状態から一気に「いる」状態にスイッチします。いきなり切り替わるわけなので、嬉しさが爆発してしまうのでしょう。
脳が活性化する
犬は親しい人間の顔を見た時に脳が活性化すること、特に匂いを嗅いだ時に強く反応することが分かっています。しかも、その反応する脳の部分は食べることや繁殖することとは違う部分であることが分かっています。
犬は昔の飼い主を思い出すことができる
匂いと記憶
犬にとって匂いの情報はとても重要です。視覚や聴覚の情報よりも、匂いの情報は特に記憶と強く結びついていると言われています。
どんなに会っていない飼い主でも、匂いを嗅ぐことによって記憶が蘇るのかもしれません。
引退した盲導犬とパピーウォーカーのお話
盲導犬になる犬は、生後10ヶ月ごろになるまで「パピーウォーカー」というボランティアのもとで過ごします。子犬はパピーウォーカーのもとで、人間と暮らす上で重要な社会性を学びながら愛情いっぱい育ちます。
生後10ヶ月頃になるとパピーウォーカーのもとを離れ、いよいよ本格的に盲導犬になるための訓練が始まります。晴れて盲導犬に認定されると目の見えない方のパートナーとなり、二人三脚での生活を始めます。
盲導犬は10歳前後になると引退となり、パートナーと別れます。盲導犬を引退した後は引退犬のための施設や、新たな飼育ボランティアの家族のもとで余生を過ごします。中には育ての親であるパピーウォーカーのもとに帰ることもあります。
パピーウォーカーのご家族とは何年も会っていませんし、一緒にいたのも子犬の頃のほんの10ヶ月程度です。しかし、パピーウォーカーのお父さんお母さんに再開した時にはハッキリと「覚えている」かのように、大喜びしてはしゃぐことも多くあります。過去のテレビで放映された番組では、子犬の頃に遊んでいたおもちゃを見せると当時を思い出したかのように遊び始めたシーンに感動した方も多いのではないでしょうか。
このように、犬は何年も会っていない人のことも覚えている可能性が非常に高いのです。
長期記憶とエピソード記憶
長期記憶とは何年にもわたり覚えていられる記憶のことです。犬はこの長期記憶を持っているとされ、特に大事な人のことはよく覚えています。
エピソード記憶とは、経験した出来事だけではなくその時の感情も含まれる記憶のことです。犬は特定の時間や場所、その時の感情などの記憶に紐づいてその人が誰なのかについても覚えていると言われています。
飼い主と再会すると幸せホルモンが上昇する
犬は飼い主と再会すると、オキシトシンという幸福感を司るホルモンの分泌が上昇することが分かっています。そして、オキシトシンの量が増えると「もっと触れ合いたい」という欲求が生まれ、密な接触を続けることでオキシトシンの量が高いまま保たれます。
狂ったかのように再会を喜んでくれるのは、本当に幸せを感じてくれているからなのでしょう。とにかく、犬はあなたと再会できて幸せなのです。
まとめ
犬と飼い主の再会を収めた動画は、涙なしでは見られません。どんなに離れていても、どんなに長期間会えなくても、犬はちゃんと飼い主さんのことを覚えているのですね。
顔を舐めたり体勢を低くしたりといった再会の挨拶は犬の祖先であるオオカミの習性でもあり、オオカミだった頃から仲間意識が高い動物だったことがわかります。
また、犬には飼い主さんがどこで何をしていたのか、どんなものを食べたのかなど自分の知らない匂いの情報収集をするために匂いを嗅ぐ習性もあります。知らない匂いを嗅いでさらに楽しくなってしまって、飼い主さんとの再会の喜びが倍増して大はしゃぎしている可能性もあります。
なにより、犬は飼い主と再会すると幸せホルモン「オキシトシン」の数値が上昇することも分かっていますので、犬は飼い主との再会を本当に喜んでいるのでしょう。
自分の帰りを待ってくれていたり、自分のことを忘れないでいてくれることは飼い主さんにとってなにより嬉しいことですね。