しつけをすることはとても大切
犬にしつけをすることは、人間社会で一緒に生活していくうえでとても大切なことです。他人に迷惑をかけないようにしたり、自分の身を守るためにもしっかりと、しつけをしてあげてくださいね。
ですがしつけはコツを知らないとなかなか上手くいかないことが多くあります。なぜしつけを覚えてくれないのでしょうか、またどんな点に注意すれば上手くしつけをすることができるのでしょうか?
監修ドッグトレーナーによる補足
しつけのもう一つの効果として「愛犬と飼い主さんの心の距離が縮まる」ということが確認されています。しつけを介することで、飼い主さんがどんな考えや気持ちを持っているか愛犬へと伝える事ができます。つまり、しつけを進めればおのずと愛犬は飼い主さんの考えや気持ちを汲み取れるようになってくれますよね。
これは人間にたとえても同じことが言えます。相手の性格が分からないと不安や緊張が走ります。「どんな発言をしたら喜んでくれるのか?」はたまた「怒らせてしまわないか?」相手の気持ちや考えが分からないと緊張してしまいそうですね。しつけを介して自分の考えや気持ち、キャラクターを伝えていきましょう。そして愛犬を安心させてあげましょう。
しつけをするときの注意点
犬にしつけをするときには、いくつか気を付けなければいけない事があります。犬がしつけを覚えてくれないのは、よくないしつけの仕方をしているからかも知れませんよ。
時間がたってから叱らない
犬にしつけをするときは、基本的に現行犯で叱る必要があります。いたずらや問題行動をしているのを見つけたらその場ですぐに叱り、しつけをするのが効果的ですよ。時間がたってから「こんなことしちゃいけない!」と叱ったところで、犬は何のことについて言われているのか理解できません。
突然怒り出した飼い主に怯えてしまったり、別のことで叱られたんだと勘違いさせてしまう恐れがあるので、あまりにも時間がたってから発覚した事に関しては、むやみに叱らないようにした方がいいですよ。
監修ドッグトレーナーによる補足
悪いことは叱らないと直らない。そう思って叱っていませんか?じつは時間が経ってから叱ると逆効果になる場合があります。
例えば留守時にカーペットをかじられたとしましょう。帰宅してみると無残な姿のカーペット。ここで叱るとどうなるでしょうか? なんと犬の頭の中では複数の可能性を推測するんです。「床にカーペットの破片が落ちてたから?」「機嫌が悪いのかな?」「カーペットが嫌いで怒ってる?」犬は過去に自分が何をしたかを思い出しにくいんですね。今現在の状況から飼い主さんの気持ちを推測していきます。過去の出来事を思い返すことは犬の特性上しにくいのです。
「過去の失敗を叱る」ことを繰り返してしまうと、留守から帰ってくる飼い主さんを怖がるようになってしまい、問題行動は更に悪化していきます。対処は簡単。時間が経てば時効成立としてあげましょう。要するに「見逃してあげる」ということですね。
しつけに一貫性をもたせる
しつけをするときは、常に一貫性をもってしつけをする必要があります。飼い主さんの気分次第で叱らないときと叱るときがあったりすると、犬はどうしたらいいのか混乱してしまいます。しつけをすると決めたら毅然とした態度で、ダメなものはダメだと教える必要がありますよ。
家族内で対応を統一する
家族で犬を飼っているときにしつけをする際には、あらかじめ家族みんなでルールやしつけの内容を決めて、全員が同じようにしつけを行うことが大切です。お母さんはだめだと叱るけど、お父さんは叱らないで甘やかすなんて状況があると、犬は賢い動物なので叱る人がいないところでは問題行動を起こすようになってしまいます。
犬になめられる原因にもなってしまうので、しつけの際には必ず家族内で対応を統一するようにしてくださいね。
叱るときに名前を呼ばない
犬を叱るときに「コラ!○○おいで!」なんて叱るのは止めてください。叱られるときに毎回自分の名前を呼ばれていると、自分の名前呼が呼ばれる=叱られると学習してしまい、犬を呼んでも来なくなったり逆に隠れるようになってしまいます。
「おいで」も同じで、本当に来てほしいときに来なくなってしまう恐れがあるので、しつけをする際には名前を呼んだりおいでと言ったりしないように気を付けてくださいね。
失敗しても怒らない
教えたことがなかなか上手くできなかったとしても、むやみにイライラしたり怒らないようにしてあげてください。特にトイレのしつけでは、粗相してしまったとしても怒って叱ることはしないように注意が必要です。
排泄行為自体を怒られていると勘違いしてしまい、トイレを我慢したり隠れて排泄してしまうようになってしまう危険があります。しつけの際は、叱ってしつけるより成功させて褒めて覚えさせるようにしていくことが大切ですよ。
監修ドッグトレーナーによる補足
ストレスコミュニケーションは大敵です。愛犬にストレスを与えてしまうコミュニケーションを繰り返してしまうと様々な弊害が考えられます。
- 問題行動が悪化する可能性
- 信頼度の低下
- ごほうびが無効になる
例えば何かをするたびに怒ってくる、叱ってくる上司がいたとしましょう。そんな上司の元で働きたいですか?いくら自分に非があったとはいえ、働きたくなくなりそうですね。それよりも問題の解決策を考えてくれたり、一緒になって成功できるように導いてくれる上司と共に働きたいと思う人が多いのではないでしょうか。
叱りたい気持ちは分かりますが、そこを堪えて正解に導く指導をすれば、結果的には望む未来が手に入りやすくなるでしょう。
しつけをする際のコツ
しつけをする際にはいくつかポイントとなるコツがあります。注意点を踏まえながらチェックしてみてくださいね。
短くはっきりと叱る
犬を叱るときには「ダメ」「コラ」など、短くはっきりと叱るようにしてください。だらだらとお説教したり「こんなことしちゃだめよ~」なんて優しく言っても犬には全く通じません。犬は声色でも人間の感情を読み取るので、少し低めの声で叱ると効果的ですよ。
ルールを決めたら人間も守る
しつけは犬と人間が共同生活を送る際の、ルールや約束事を決めることです。まず人間のほうがしっかりとルールを守るようにしてくださいね。例えば、ご飯の前は必ずマテとお座りをさせていたのに今日はいくら言っても座らなかったとします。その際に、まぁいいかとマテとお座りをさせずにご飯をあげてしまったりすると、犬は次からいうことを聞かなくなってしまうことがあります。
やらなくても飼い主は言うことを聞いてくれるんだ!と学習してしまうと、次からしつけるときに苦労してしまいます。常に飼い主さんのほうがリーダーとして主導権を握り、しつけをするときには一貫性を持つことが大切ですよ。
犬を無視する
群れで行動する犬にとって、無視することは効果的なしつけ方法です。問題行動を起こしたときに叱って無視をすることによって、そんなことをしてもいいことは起きないし構ってはもらえないということを教えることができます。
しつけは犬との根気比べなので、犬のほうが折れて飼い主さんに従うそぶりをしたり、大人しくなるまで無視して待ちましょう。犬のほうが折れて大人しくなったときはすぐに褒めてあげると効果的で、繰り返すことによって、飼い主さんがリーダーだということを学習していき、しつけのしやすい犬になりますよ。
効果的にほめる
しつけにはメリハリが必要で、叱ってばかりでも甘やかしてばかりでもいけません。成功した際には褒めたりご褒美のおやつをあげたりして、良いことをした時と悪いことをした時の区別がしっかりとつくようにしてあげてください。
まとめ
犬にしつけをする際には、様々な注意点とコツがあります。常に飼い主さんがリーダーとして主導権を握ることが大切なので、根気よくコツコツと愛犬に教えてあげてくださいね。
監修ドッグトレーナーによる補足
リーダーの役割とは、上から目線で叱ったりほめたりすることではありません。自らの考えを提案して、愛犬が望む行動をしてくれるように導いてあげる役割こそがリーダーなのです。
ですから「失敗は愛犬のミス」とするのではなく、リーダーである飼い主さんが違う方法を試したり違う経験をさせるなど、教育してあげる事が重要です。これが「リーダーの主導権」という内容です。
愛犬から慕われる素晴らしいリーダーになるれるかどうかは皆様次第。愛犬としっかりコミュニケーションを取って素晴らしいリーダーを目指しましょう。