1.正しい叱り方をする
しつけにおいて「叱る」ことはとても重要です。しかし、しつけに力が入ってしまうあまり間違った叱り方をしてしまうことがあります。正しい叱り方でないと大切なことが犬に伝わりにくくなってしまいますので注意しましょう。
正しい叱り方とは?
- 現行犯で叱る
- 短い言葉で叱る
- 叱る時の言葉を統一する
- 普段の声の大きさ高さと区別する
- 無視をする
以上が正しい犬の叱り方です。
現行犯で叱る
時間が経ってから犬を叱っても、犬には何のことで叱られているのかが理解できません。いけないことをしている最中に叱りましょう。
短い言葉で叱る・言葉を統一する
「それは××で××だからダメでしょ~?」というような長い文章は犬には理解できません。「ダメ」「いけない」「ノー」などの短い言葉でメリハリをつけて叱りましょう。また、叱る時の言葉をご家族内で1つに決めておくことも犬が理解しやすくなるポイントです。
普段の声の大きさ・高さと区別する
これには目的が2つあります。1つは普段の飼い主さんの喋り声と大きさや音程を変化させることでメリハリがつき、犬が理解しやすくすることです。もう1つは犬の習性によるもので、犬にとって高い声は「嬉しい」などのポジティブな感情、低い声は「怒り」などのネガティブな感情と捉えやすいのです。特に飼い主さんが女性の場合、叱る時はいつもより低い声で短く叱ると効果的です。逆に褒める時にはいつもより高い声でハッキリと褒めましょう。
無視をする
「これをしたら飼い主さんに構ってもらえなくなった」=「これはしない方が良い」と犬に認識してもらうには無視をすることも効果的です。犬のしつけ上での無視とは
- (いけない行為をした後)今やっていた遊びを中断する
- 犬のわがままな要求に応えない
- 目を合わせない
- 声をかけない(構わない)
などがあります。
ただ、無視は
- 甘噛み
- 洋服を引っ張る
- 飛びつく
- おやつをねだって鳴く
というような「対飼い主さん」の行動に有効ですが、
- 玄関に向かって吠え続ける
- ゴミ箱をあさる
- コードを噛む
という時のしつけには効果的ではありませんので注意しましょう。
2.体罰をしない
叩いたり蹴ったりという体罰はしつけではなくただの暴力です。子犬の心にトラウマが残ってしまって心因的な問題行動の原因となったり、今後の飼い主さんとの信頼関係が壊れてしまうので絶対に手を上げてはいけません。子犬のうちはなかなか上手にできなくてイライラしてしまう気持ちも分かりますが、しつけは丁寧に、じっくりと行うのが鉄則です。犬は200個以上の単語を覚えられる大変コミュニケーション能力が高い動物ですので、冷静に「犬にルールを伝える」ということを1番に考えて行いましょう。
3.「ダブルスタンダード」にならないようにする
「ダブルスタンダード」とは「二重規範」という意味で、簡単に言うと「矛盾した叱り方をしてしまうこと」です。これは人間の子供への叱り方でも注意したいことであると言われています。
- 同じことをしても叱る時と叱らない時がある
- 同じことをしても褒められる時と褒められない時がある
- お父さんは叱らないのにお母さんは叱る
というように矛盾したしつけをしていると、犬にとってどちらが正解なのか分からなくなってしまいます。しつけには一貫性を持つことが大変重要なポイントなのです。
4.名前で叱ってはいけない
「ポチ!ダメ!」というように、犬の名前を呼んで叱ってはいけません。犬は「自分の名前を呼ばれる」=「嫌なことがある」と認識してしまい、これが染みつくと名前を呼んで自分の元に来させる「呼び戻し」が難しくなってしまいます。
5.マズルをギュッと掴んで叱らない
ひと昔前は「犬を叱る時はマズルを手で握って叱る」と提唱していた情報が多かったように記憶しています。マズルを触っても怒らない犬にしつける「マズルコントロール」という方法もありますがあくまで優しく触る方法であり、マズルをギュッと掴んで叱るのはあまり推奨されていません。
「服従」と「しつけ」はちょっと違う
確かに野生のオオカミの習性で、群れの中で上下関係を明白にして服従させるために「マズルを噛む(口で挟む)」という行為をすることがあります。噛まれた方はそれを許して噛まれたままにすると「服従します」のサインであるというボディランゲージなのです。しかし、私たちは犬をただ服従させたいのではなく「その行為はダメだよ」と伝えたいのです。
犬は言葉でちゃんと理解できる
言葉を話さない母犬は子犬に「ダメ」と伝える時に、マズルを挟んで子犬を制止することがあります。しかし犬は人間の言葉を覚えたり感情を読み取る能力が高い動物なので、わざわざマズルを掴んで叱らなくてもちゃんと伝わります。
トラウマになる可能性
犬にとって鼻から口にかけてのマズルは敏感な部分のため、マズルを掴まれることはとても不快度が高い行為です。子犬のトラウマの原因になる可能性を考えるとマズルを握って叱るのはおすすめできません。
6.トイレの失敗は叱らない
特に子犬のうちはトイレの失敗がつきものです。正しい場所でトイレをする「トイレトレーニング」をペットショップで既に済ませている子犬もいますが、生後間もなくおうちに迎え入れた場合やおうちで生まれた子の場合はトイレトレーニングからしつけを行う子がほとんどでしょう。
なぜトイレの失敗は叱ってはいけないの?
トイレの失敗を叱ることで
- おしっこ(うんち)をすること自体がいけないことだと勘違いする
- おしっこやうんちをしているところを見られると叱られると怖がる
といった間違った認識をされてしまう可能性があります。この勘違いが生まれると、飼い主さんのいない場所や時間でトイレをするようになったり、トイレを我慢してしまう恐れがあります。
トイレの失敗は無言ですみやかに掃除しよう
子犬がトイレを失敗してしまった時は声を上げず、すみやかに掃除をしましょう。カーペットやフローリングに臭いが残ってしまうとそこがトイレであると覚えてしまうため消臭をしっかり行いましょう。経験談ですが、この時トイレシーツに粗相してしまったおしっこを吸収させて正しいトイレの場所に置いておくと、自分のおしっこの臭いによってトイレまで行きやすくなります。
トイレのタイミングをチェックしよう
子犬のうちはトイレの回数が多いのですが、ごはんの後にトイレをすることが多いです。クルクル回り始めたり床のにおいをクンクン嗅ぎ始めたらトイレのサインなので、トイレに連れて行くか名前を呼んでトイレに来させるようにしましょう。
7.長時間のトレーニングはしない
犬がしっかり集中できるのは3分程度であると言われています。「マテ」や「オスワリ」などを覚えさせるしつけは長時間するのではなく、1回3分のトレーニングを1日の中で数回行う方が効果的です。
まとめ
犬は生後2ヶ月頃から社会のルールを学び始めますので、子犬を迎えたその日からしつけを始める必要があります。最初は完璧にできないことが多いのは仕方ありませんが、根気強くしつけを行ってあげれば「できた!」の喜びはひとしおです。子犬には「できて楽しい!できて嬉しい!」という経験をいっぱい与え、一緒にひとつひとつ乗り越えていってくださいね!