服を着ると本当に動かなくなる?
日頃どんなにやんちゃで暴れん坊なワンちゃんも、なぜか服を着るとおとなしくなるなんて話をよく聞きます。これは小型犬、大型犬問わずに耳にする話なので、性格的なものではなさそうです。
常に室内で生活する小型犬で、比較的幼いころから服を着なれている場合はそれほどではないようですが、たまに着せる場合や大人になってから着せるなどした場合は、着る途中まで暴れていても着せられたとたんにぴたりと動かなくなってしまうなんてこともあるようです。
何で犬は服が嫌い?
そもそも「衣服」の用途は防寒であったり、皮膚を守るものだったりというように、服というのは私たち人間が生活する上で生み出された実用品です。犬にとっては被毛がその役割をもっています。
犬に服を着せるということは、衣服の上に衣服を重ねている状態であるといえますね。これは犬に限らず、我々人間以外の動物すべてに言えることです。人以外の動物は、自分の被毛や鱗ではないものを身にまとうという習慣がそもそもないのです。
犬にとって服は窮屈なもの
犬は衣服を着せられた際、温かさを喜んだりかわいい装いを楽しんだりすることもなく、ただ窮屈だったり、拘束されていると感じたり、自由がないと感じたりするなど、ある種の違和感を覚えて動くのをぴたりとやめてしまうのです。これはどのようなタイプの服でも同じことが言えます。
例えばTシャツタイプの胴体のみ覆うような服でも、背中やおなかに密着するふだんとは違う感触に違和感を覚えて犬は動かなくなってしまいますし、肘やひざの関節まで覆うタイプであればなおさら拘束されている感じが強くなるため動かなくなるでしょう。この違和感については、カラー(首輪)やリード(綱)につながれたときも同様だといわれています。「この体にくっつく感じ、何だろう、いやだな、困ったな」というのが犬の本音ではないでしょうか。
犬に服は必要?
結論から言えば、犬たちに衣服は不要です。衣服を着せることによって、犬たちの皮膚と被毛はその本来の働きを制限されてしまいます。被毛は単純に体を覆うものではなく、皮膚と同様に感覚器官でもあります。毛を立てたり寝かせたりすることで、体表の微妙な温度調節をしているのです。
ご存じの通り、犬たちは汗をかいて体温を調節することはできません。被毛の動きを制限してしまうことは、彼らの体温調節を制限してしまうことと同じことですので、季節によっては熱中症などを引き起こす危険につながるのです。そして、体温と皮膚機能のコントロールがしにくくなれば体内の恒常性が損なわれ、免疫系やホルモン系などの異常が発生する可能性もあります。犬にとっては寒さや暑さの調節のための衣服は必要ではなく、むしろ害になることもあるということですね。
どうしても着せたいときのために少しずつ慣らしておこう
しかし、衣服の用途はそれだけではありません。室内で飼育している場合は抜け毛のコントロールであったり、またケガや手術などの傷口カバーのためであったりすることもあるでしょう。外に散歩に出る際、蚊やダニに刺されるのを防いだり、おなか側の汚れを防止したりする役目もあり、飼い主側の都合もありますが、どうしても服を着てもらいたいときもありますよね。そういった際に暴れて服を着せられてくれない、着せたら全く動かなくなった、などの問題が起こらないよう、ふだんから少しずつ慣らしておいた方が良いでしょう。
まとめ
本来衣服を必要としないため、着なれない服を着せられた犬たちは困惑して動きをやめてしまいます。いざというときに着てもらうためには、ふだんから少しずつ慣れていてもらいたいものですね。
ただし、必要以上に長時間着せていることや、あまりに窮屈なぴったりしたタイプの服をきせるのはやめてあげましょう。
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20代 男性 匿名