「犬は家族に順位づけをしている」は古い考え!?
同じ屋根の下に暮らす家族なのに、愛犬が人ごとに態度を変えていると感じたことはありませんか?
犬の祖先といわれているオオカミは社会的な動物であり、群れの中で順位づけをして、トップのリーダーに従って生活をします。その名残で犬は飼い主の家族の中で順位をつけ、その順位が一番高い人をリーダーとして服従し、自分より順位が低い人には吠えたり、うなったりするなど、強気な態度を取ると考えられてきました。この考えは広く浸透しているため、愛犬が自分の言うことを聞かないと、「下に見られている」と思う人は少なくないでしょう。
しかし最近は、犬が家族に順位づけをしているという考えに否定的な専門家が多くなってきています。では、家族に順位づけをしていないのなら、どうして犬は人ごとに態度を変えるのでしょうか?今回は、その理由について迫ってみたいと思います。
犬が人ごとに態度を変える理由①信頼できる人を見極めているから
犬は家族に順位をつけるのではなく、家族それぞれが自分にとってどういう人なのかを判断しているというのが最近の考えです。家族のふだんの自分に対する役割や態度から、「食事をくれる人」「散歩へ連れて行ってくれる人」「遊んでくれる人」「ちょっと怖い人」というふうに判断しているのです。
そして、「信頼できる人」と判断した家族に対しては、ほかの家族とは違った態度を見せることがあります。例えば、家族の中でお母さんを信頼できる人と判断した場合、ほかの家族が呼んでも知らんぷりしているのに、お母さんに呼ばれると素早く反応してそばに来たり、ほかの家族には足先や口周りなどを触られると嫌がって怒るのに、お母さんにはどこを触られても平気だったりします。
犬が人ごとに態度を変える理由②自分の言うことを聞く人を見極めているから
愛犬が家族の中で自分にだけワンワン吠えて催促したり、触ろうとするとうなったりするということはありませんか?もしそうなら、「吠えれば(うなれば)自分の言うことを聞く人」と愛犬に思われているのかもしれません。食事中に愛犬がワンワン吠えておねだりしてきたので、ちょっとおすそ分けしてしまったとか、愛犬の苦手なお手入れ中にうなったので、怖くてやめてしまったという覚えはないでしょうか?
犬は吠えたりうなったりして要求が通った経験があると、その相手を自分の言うことを聞く人と判断し、自分の要求を通したいときや気に入らないことがあるときに吠えたりうなったりして、言うことを聞かせようとすることがあります。「ダメなものはダメ」という一貫性のある態度で接する人には、こうしたわがままな態度は取りません。
犬が人ごとに態度を変える理由③どうすれば得か考えて行動しているから
犬は、誰にどのような態度を取ったら得するかを考えて行動することがあります。例えば、お母さんの言うことを聞くといつもごほうびがもらえるけれど、お父さんの言うことを聞いてもごほうびをもらえないという場合は、お母さんの言うことを聞いた方が得なので、お母さんの言うことは聞いて、お父さんの言うことは聞かないというパターンになりがちです。
犬が人ごとに態度を変える理由④好きな人と苦手な人を区別しているから
私たちが家族に対し、「お母さんは優しいから好き。でも、お父さんは怖いから苦手」と思うように、犬も家族それぞれに好きとか苦手といった思いがあります。そして、それは態度にも表れて、好きな人には甘えたりしますが、苦手な人にはあまり関わりたがりません。
犬は、コミュニケーションを取るのが上手な人、穏やかな人、自分の気持ちを読み取ってくれる人がなどが好きです。反対に苦手なのは、予測できない行動を取る人、嫌なことをしてくる人、怒ってばかりいる人、しつこい人などです。
まとめ
愛犬が人ごとに態度を変えるのは、家族を順位づけしているからだと思いがちですが、じつはご紹介したような理由から態度を変えていると考えられます。犬はとても観察力が高く、どの人にどういう態度を取るべきかを心得ているようです。
愛犬には「自分の言うことを聞く人」ではなく「信頼できる人」と思われたいものですが、そのためには毅然とした一貫性のある態度で愛犬と接することが大切です。
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20代 男性 宇野直人