犬が嘘をつくって本当?
嘘と言うと“騙す”“欺く”といった悪いイメージがつきまとうもの。人間のつく嘘にはいくつかの種類があると言われており、自分をよく見せるための嘘やその場を取り繕うための嘘、相手を貶めるための嘘、相手を傷つけないための配慮としての嘘など非常にさまざまです。そんな嘘を犬が本当につくの?と不思議に思う人も多いと思いますが、犬のつく嘘はこれほど複雑なものではなく、簡単に言うと“自分が得するための嘘”です。
ちなみに、野生動物の世界でも自分の身を守るため“擬態”をして姿を隠したり、鳥が卵を上手に育てる他の種類の鳥の巣に卵を隠して孵化させる“托卵”など、巧みな嘘が多く見られます。それらは生き残るため、そして後世にできるだけ多くの種を残すためにつく嘘で、その動物の『進化』にもつながる重要なものなのです。
犬が嘘をつくとき①もっとおいしいものが食べたい!
犬が嘘をつく理由には“ちょっといい思いをしたい”という気持ちが隠れています。そしてそれはこれまでの経験から学習したことを犬なりに考えて起こす行動とも考えられています。
たとえば犬が出された食事を軽い腹痛などで残したとき、飼い主さんは理由がわからずもっと食べさせようと思って他の食べ物を持ってきたとしましょう。それがその犬にとってこれまで食べていたものよりもおいしく、魅力的なものだった。
すると、次の食事でもそのおいしいものを持って来てもらうため、これまでの食事を残すようになるのです。はじめに残したときは腹痛や食欲不振などが理由であったのが、同じように具合がよくないふりをして残すことでよりおいしい食べ物を手に入れるのです。ここで犬の“嘘”に負けて犬の好きなものばかりを食べさせると、ご飯は食べないのにおやは食べるなど偏食や肥満にさせてしまうこともあるので十分注意しましょう。
犬が嘘をつくとき②優しくして欲しい
犬が嘘をつく「もっとおいしいものを食べたい」という気持ちから嘘をつくのと同様に、「もっと優しくして欲しい」という気持ちから、“痛いふり”“疲れたふり”などをすることがあります。散歩の途中でまだ疲れていないのに抱っこして欲しいからと座り込んで動かなくなってしまったり、病気のときにいつもより優しくしてもらえたからと具合が悪いふりをしたりすることもあります。
また、それほど痛みを感じていないのにちょっとぶつけた程度でも「キャンキャン」と泣きわめいて注目を集めることも。稀なケースですが過去に怪我をして優しくされた経験がある犬が、足を引きずってびっこをひくような真似をすることもあるようです。しかし、これは実際に検査を受けないと嘘か本当かわからないことなので、そのような様子が見られたら念のため動物病院で診察してもらうようにしましょう。
<まとめ>犬が嘘をつくことについて
スイス・チューリッヒ大学の研究者による実験でも、自分にとっての利益が最大になるよう考えて嘘をつくということが証明され学術サイト『Animal Cognition』で発表されています。犬は認知能力や状況判断能力に優れた動物のため、相手の反応を見て戦略的に嘘をつくことができるのではないかと考えられています。
ただ、戦略的とは言っても犬が嘘をつく理由は単純に「自分がちょっといい思いをしたい」というかわいい希望、期待によるです。愛犬の嘘に気がついたときは決して甘やかしすぎないよう毅然とした態度を取ることが大切です。でも、ほんの時々は愛犬の嘘に騙されてあげるのもいいかもしれませんね。