過剰な暑さ対策は犬の体調不良の原因に
犬には、体温を下げる作用が優れているエクリン腺という汗腺が肉球にしかありません。そのため、犬は暑さを感じても、人のように全身に汗をかいて熱を発散することができません。その代わりにパンティング(舌を出して、ハァハァと浅く速い呼吸をすること)をして体の熱を外に逃がしますが、犬は人よりも体温調節が苦手で、暑さに弱いです。
ですから夏の間は、愛犬への暑さ対策が必須となり、それが熱中症予防にもつながります。とはいえ、暑さ対策が過剰になってしまうと体調不良を引き起こすこともあるので、注意が必要です。そこで今回は、過剰な暑さ対策としてどのようなことが挙げられるのか、ご紹介したいと思います。
過剰な暑さ対策①室温を下げすぎる
犬の暑さ対策にエアコンは必需品といえますが、キンキンに部屋を冷やすのはよくありません。室温を下げすぎると犬の体が冷えすぎて、体調を崩してしまうことがあります。
一般的に、犬が快適に過ごせる夏場の室温は26℃前後、湿度は50~60%が目安になっていますが、犬種や体格などによって犬それぞれ快適に感じる温度は異なります。愛犬の様子を観察して調整を。
冷気は下にたまる
見落としがちなのが、「冷気は下にたまる」という点です。犬は人よりも低い位置で生活しているため、飼い主さんは快適に感じていても愛犬は寒さを感じている場合があります。
愛犬の顔の高さで温度をこまめにチェックしたり、エアコンと扇風機を併用して空気を循環させたり、愛犬が寒さを感じたら暖を取れるように犬用ベッドやブランケットなどを用意したりするなどの対策を取りましょう。
過剰な暑さ対策②エアコンの風を直接当てる
犬は暑さに弱いからといって、愛犬にエアコンの風を直接当てるのはNGです。体が冷えて、下痢などの体調不良につながります。
愛犬が休むケージやクレート、犬用ベッドなどは、エアコンの風が直接当たる場所には置かないようにしましょう。もちろん、直射日光が当たる場所も避けます。
過剰な暑さ対策③冷たいものを与えすぎる
暑い日には、愛犬にも氷などの冷たいものをあげて、体の内側からも涼しくしてあげたくなりますね。氷のほかにも犬用アイスや、凍らせるとシャーベットになる犬用ゼリーなどもあります。これらのものを適量与える分には問題ありません。しかし、冷たいものは胃腸をはじめとする内臓を冷やすため、与えすぎると下痢や嘔吐を引き起こす可能性があります。
冷たいものの適量は、犬の体格や年齢、胃腸の丈夫さなどによって個体差があります。少しずつ与えていき、便の状態などを見ながら愛犬に合った量を飼い主さんが見極めてあげましょう。
犬用の冷たいおやつは、与えすぎると肥満の原因にもなるので、パッケージに記載された1日の給与量を超えないように注意を。言うまでもなく、人が食べるアイスを与えるのはNGです。
過剰な暑さ対策④極端なサマーカットにする
暑さ対策として、愛犬をサマーカットにする飼い主さんも少なくないでしょう。しかし、バリカンで丸刈りにするような極端に短いサマーカットは望ましくありません。丸刈りはとても涼しそうに見えますが、じつはその反対です。暑さを感じやすくなってしまいます。
犬の被毛にはさまざまな役割がありますが、直射日光の熱が皮膚に直接届かないようになっています。
ところが、極端に毛を短くカットしてしまうとこの役割が果たされず、直射日光の熱が皮膚に直接当たることになり、毛をカットする前よりも暑さを感じやすくなってしまうのです。場合によっては、熱中症を引き起こしてしまいます。また、極端に毛が短いと、冷房で体が冷えやすくなり、それが体調不良につながることもあります。
愛犬をサマーカットにする場合、バリカンで丸刈りにするではなく、生え際から2~3センチ被毛を残してハサミでカットすることで、被毛が持つ機能を損なわずに済むと考えらえます。このような適度なサマーカットであれば、体に熱がこもるのを防ぎつつ、皮膚の衛生を保つ効果も期待できます。
まとめ
愛犬が舌を出してハァハァと暑そうにしている姿を見ると、少しでも涼しく過ごせるように、何らかの対策をしてあげたくなりますよね。でも、何事もやりすぎは禁物です。ご紹介したような過剰な暑さ対策は、愛犬の体調不良を招いてしまうことがあるので注意しましょう。
皆さんの愛犬が、これからやってくる暑い夏を快適に、そして元気に過ごせますように。