犬が人から敵意を感じたときの行動
犬の何気ない仕草には、様々な感情や理由が隠されています。仕草の理由を少しでも理解してあげることができれば、飼い主として正しい行動を選択することができるかもしれません。
今回は、犬が人から敵意を感じているときに起こす行動や仕草をご紹介します。愛犬にこのような行動が見られたら落ち着かせるようにしてあげましょう。
1.鼻や口を必要以上に舐め回す
犬が自分の鼻や口の周りを執拗にペロペロと舐めるのは、緊張や不安からくる行動です。人をじっと見つめた状態で舐めている場合は、その人に対し何らかの原因で不安を感じている可能性が高いです。
不安を感じている理由の1つに、その人から自分に対して敵意を感じたという理由が挙げられます。「そんなことはないの」と思うかもしれませんが、犬の敵意を示すときのカーミングシグナルを無意識の内に行ってしまったのかもしれません。
他にも「僕に敵意を向けている」と勘違いされてしまうこともあります。完全に勘違いされないようにすることは難しいため、「怒ってないよ」「大丈夫だよ」といったアフターケアが重要です。
監修ドッグトレーナーによる補足
大切なのは、その人がとった行動のどれに敵意を感じてしまったのかを理解することです。 すぐに気づくのは難しいかもしれませんが、愛犬を観察することで、いつもと違うと気づくことができるようになります。
何に対して敵意を感じているか分かったら、相手の方にその行動をやめてもらうように伝えましょう。また、飼い主さんや家族なら、嫌がる行動はしないようにしましょう。
もしも不安を感じさせてしまったら、安心させるようにすることも大切です。
2.相手のことをじーっと見つめる
犬にとって相手をじっと見つめる行為には様々な理由があります。何もない方向を見ている、あるいは遠くの方を見ている時なら何か興味を引くものがあることが多いです。
人のことをじっと見つめる時は、警戒心を持っているか、愛情を伝えているときです。飼い主をじっと見つめているなら愛情を伝えてくれていますが、知らない人やあまり会ったことのない人を見つめているときは、警戒心を持っていることがあります。
犬が警戒心を持つ理由はさまざまですが、知らない人だから警戒している他にも、何らかの敵意を感じたから警戒している場合もあります。
3.すっと目線をそらす
目を合わせようとしたら、犬がすっと目線をそらすという行動を見たことがありますか?実は、この小さな仕草も相手から敵意を感じたときに犬が起こす行動のひとつ。
犬が見つめる理由には、警戒心や敵意の意味があります。これはカーミングシグナルといって犬同士で行われる意思疎通方法で、人間に対しても同じようにカーミングシグナルを行うため、こちらがコミュニケーションのつもりでも「じっと見られてる…この人、僕に敵意があるんだ」と誤解されてしまうことがあるのです。
すっと目をそらすのは、「僕には敵意はないよ。だから落ち着いて」という意味を伝えてくれています。戦う意思がないことを表すカーミングシグナルです。この行動をするときは何らかの理由によって、相手から敵意を感じ取ってしまったために落ち着くよう諭しているのです。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬が目をそらす意味を理解せずに、目が合うまで強引に迫ってしまっては、嫌われるだけです。
無理やり続けていると、犬は恐怖から攻撃してくる可能性もあります。目をそらす理由をしっかりと理解しましょう。
4.あくびをする
あくびも相手から敵意を感じたときに見せることのある仕草。人間は眠いときや暇なときにあくびをしますが、犬は不安や緊張を感じているときにもあくびをします。
「怖いからやめて欲しいな」「お願いだから落ち着いて」と、相手に示すカーミングシグナルとは少々異なりますが、心理があくびという仕草で表しているのです。状況によって人から敵意を感じたときに、不安や緊張などを感じてあくびをする犬は珍しくありません。
5.頭を低くしながらゆっくり近付いてくる
こちらに近付いてはくるものの、いつもと様子が違うということはありませんか?頭をいつもより低くしながらゆっくりと近付いてくるなら、少し不安を感じているのかもしれません。
これは、飼い主に対してすることが多く、いたたずらをして叱られた後に名前を呼ばれたけど頭を低くしてゆっくりした足取りで近付いてくるといった状況です。「呼ばれたけど飼い主さん怒ってるよね。不安だな」といった心理が働いています。
怒る=敵意ではありませんが、犬にとっては同じ感情なのでこのような行動を取ってしまいます。
監修ドッグトレーナーによる補足
これは、敵意を感じているものの、それ以上に親愛を強く表しています。
飼い主さんが穏やかに明るい声で接することで、安心していつものように近づいてくれるでしょう。
まとめ
いかがでしょうか。愛犬が自分や来客などにこのような行動をしているところを見たことがある方は少なくないでしょう。
このようなときは、相手に敵意がないことを伝えるために、飼い主さんと仲が良いところを見せたり、愛犬を撫でたり声をかけて落ち着かせてあげましょう。