ブリーダーの資格
ブリーダーになるためには何か資格が必要だと思っている人も多いかもしれませんが、ブリーダーになるために必要な公的な資格はありません。実際にお客さまと取引をするとなると、動物取扱業の登録が必要にはなってきますが、それさえクリアし、「自分はブリーダーだ!」と自称してしまえば、誰でもブリーダーになることができてしまうわけです。そのため、良いブリーダーを見極める力が買い手には求められるのです。
①セールスブリーダー
ブリーダーと聞いて多くの人が想像し、また、買い手にとって最も身近でとっつきやすいのが、セールスブリーダーではないでしょうか。数としてはブリーダー全体の半数以上を占め、最も一般的といえます。
「セールス」と聞くと何となく「子犬の命を商品扱いしている」と悪いイメージを抱いてしまうかもしれませんが、商品は商品でも「大事な商品」と捉えているので、経営状況や接客態度も良好な業者さんがほとんどです。
ただし、「規格外の商品」についてはオークションを通じてペットショップなどに流通されてしまうこともあります。
②ホビーブリーダー
ホビーブリーダーとは、その名の通り、趣味の延長で販売も行っているブリーダーのことをいいます。要は、子犬を売ることで生計を立てようとは思っていない人たちです。多くは家庭で繁殖活動をしており、自分たちの世話ができる範囲までしか繁殖をさせません。子犬を見に行きたいとなると、個人の自宅に見学に行かせてもらうことになる形が多いでしょう。
ほぼほぼ個人間のやりとりとなるうえ、出産のタイミングを狙わないと取引ができないなど、販売ルートとしては安心感・安定感に欠けるかもしれませんが、本当に犬に愛情を持って育てている人も多く、自分の好みや性格に合う子を見つけるには適しているかもしれません。
③バックヤードブリーダー
ブリーダーの原点ともいえるのが、バックヤードブリーダーです。大々的な事業としてではなく、趣味の延長でやっているという点ではホビーブリーダーと同じですが、ホビーブリーダーよりもやや「商売」に寄っているイメージでしょうか。これから成長を狙っている、駆け出しの素人ブリーダーといえるかもしれません。ブリーダーのうち10%ほどがこのバックヤードブリーダーだといわれています。
④シリアスブリーダー
一方、ブリーダー界のトップに君臨するのが、シリアスブリーダーと呼ばれる人たちです。ブリーダーと名前はついていますが、その目的は子犬の販売で収益を上げることではなく、犬種の保存や研究のためです。品評会やコンテストに出場させるために、優良な血統の両親から良質な子犬を産ませて育てています。
繁殖や販売が目的ではないので、シリアスブリーダーから子犬を買いたいと思ったら、何らかのコネを頼るか、子犬が生まれたタイミングに上手く巡り合うしかありません。
⑤パピーミル
近年、テレビやネットで話題となっている「悪質ブリーダー」と呼ばれる多くが、このパピーミルです。「子犬工場」の名前のとおり、子犬をただの金儲けの手段としてしか考えておらず、「産めよ増やせよ」で犬の健康や品質には全く関心がありません。劣悪な環境の中で飼育されていることも多く、繁殖犬の中には一度も外に出て遊んだことがないといった子もいるのが現実です。
もちろん犬の生命を軽視していること自体も大きな問題ではありますが、セールスブリーダーとは違って「商品」の質を高めようという経営努力もないので経営破綻することも多く、破綻後に残された子犬たちのその後が大きな問題としてクローズアップされることも多くあります。
ブリーダーの見分け方とは
まず動物取扱業の確認
冒頭でブリーダーに必要な資格はなく、動物取扱業の登録が必要だと述べましたが、この動物取扱業の登録をしていない業者はまちがいなく正規ブリーダーではありません。何はともあれ、登録を確認しましょう。
自分の目で子犬を確認する
最近はインターネットなどで子犬を販売しているブリーダーも増えていますが、できる限り、ネットの情報だけで子犬を選ぶのはやめましょう。実際に子犬や親犬、そしてブリーダーの飼育環境を自分の目で確認することが大切です。見学を断ってくるようであれば、その理由をしっかり聞いてください。
購入後のフォローを確認する
購入後のしつけや病気など、気になったことがあったときに相談できるかどうかを確認しましょう。良いブリーダーであれば、自分のところで産まれた子犬のその後はいつまでも気にかけてくれるものです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ペットショップで子犬を買うのは日本だけともいわれ、最近ではブリーダーから直接買いたいという意識の高い飼い主さんも増えてきています。ですが、正しい知識を持っていないと、そのせっかくの高い意識を悪質ブリーダーに利用されてしまいかねません。ぜひ一度、しっかりと勉強しておくことをおすすめします。