1.うなり声を上げる
犬が低いうなり声を上げるのは、最もわかりやすい怒りの表現といえるでしょう。「俺は怒っているぞ。それ以上近づいたら攻撃するぞ」という警戒と威嚇でもあります。
うなり声を上げている場合には、むやみやたらに近づいてはいけません。
2.歯をむき出す
マズルにしわを寄せて、唇を持ち上げて歯をむき出す仕草は、うなり声を上げているときによく一緒に見られる仕草です。
犬にとって歯は最大の武器です。武器になる歯を相手にちらつかせ攻撃の意思を示しているということは、一触即発のかなり危険な状態といえるでしょう。
3.じっと見つめてくる
犬にジーッと目を見つめられたら、犬好きさんは嬉しくなってしまうかもしれません。ですが、愛犬やよく知っている犬友ではなく、知らないわんこに見つめられた場合には少し注意が必要です。
犬にとって目を見つめる行為は、もちろん親しい間柄であれば親愛の表現になりますが、警戒している相手に敵意を示すという意味もあるのです。犬にじっと見つめられたとき、じっと見つめ返してしまうのは一番危険です。
「その勝負、受けて立った」と勘違いされてしまうことがあるからです。明らかに好意的な視線である場合を除いては、じっと見つめられたからといって不用意に手を出したり近づいたりしてはいけません。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬が警戒して見つめているのは、ライオンやチーターなどの肉食動物が獲物を狙う時に相手の動きをジーッと見つめるのと同じ意味をもちます。
表情は緊張から固くこわばりがちで、険しい顔つきになるのは人も犬も同じです。
4.動きを止める
じっと見つめてくる場合と似ていますが、犬がピタリと体の動きを止めているときも、その背後には警戒や怒りの感情がある場合があります。
相手を攻撃対象と決め、次の一手で襲いかかろうとしているため、体に力が入って硬直していることが考えられるからです。うなり声をあげているなら判断は容易ですが、そうでない場合でも怒っていることはあるので注意が必要です。
監修ドッグトレーナーによる補足
何かしらの動作の途中で凍りついたように体を固くしてピタッと止まるのは、軽度のストレスを感じて緊張や恐怖のサインだとされています。
あまりにもストレスで耐えられなくなると、その場から逃げ出してしまったり、飼い主さんの後ろに隠れてしまう場合もありますが、中には相手に飛び掛かってしまうこともあるので、急に動きが止まるようであれば、原因がないか周りを確認しましょう。
5.飛びかかる姿勢をとる
動きを止めている場合も攻撃の直前と考えられますが、更にわかりやすく「次で飛びかかってやる!」と飛びかかる姿勢を取っていることもあります。
それなら誰でも簡単に見分けられると思うかもしれませんが、意外と勘違いしてしまいやすいのが、犬が相手に遊んでほしいときに頭を低くしてお尻をツンと突き上げる姿勢、いわゆるプレイバウとの違いです。姿勢だけ見ると、怒っているときの体勢とプレイバウの体勢はよく似ています。
ですが、やはりよく見てほしいのはわんこの表情です。プレイバウの場合には、相手への期待で目を輝かせていたり、ハッハッと笑うように息をしていたりしますが、攻撃姿勢の場合には睨みつけていたりうなり声を上げていたりします。
自分に対してだけでなく、ドッグランなどで愛犬が他のわんこと遊んでいるときなどにも、「これはプレイバウではないな」と判断したら、割って入って仲裁する必要があります。
6.しっぽを振る
犬がしっぽを振るときといえば、嬉しいときや楽しいときと思いがちですが、実はそれだけではないのです。
しっぽをピンと高く立てて振っていたり動きが速い場合、ゆらゆら蛇行して振っているときには怒っているサインです。これも攻撃態勢とプレイバウの見分け方のように、しっぽを振っているときの犬の表情やしっぽの振り方なども確認して判断するしかありません。
一番危険なのは、「しっぽを振っている=歓迎されている」という先入観で近づいてしまうことですから、正しい知識を持っておくことはとても大切です。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬のしっぽにはさまざまな役割がありますが、そのひとつが感情表現です。 基本的には、しっぽが上に向いているときは「うれしい、楽しい」などポジティブな感情、下がっているときは「不安、恐怖、怯え、警戒」といったネガティブな気持ちになっていると考えられます。
しかし、しっぽが上向きで振っている全てが喜びの感情であるとの先入観はとても危険。振り方などによって警戒や攻撃のサインであることも理解しましょう。
犬の感情を読み取るには尻尾のみならず、表情、耳の位置、姿勢や声のトーンなどを含めて考えることがとても大切です。
まとめ
いかがでしたか?犬にとって不審と思われる相手に警戒することや攻撃することは本能です。
そういった行動に出たからといって、決して、「キケンな犬」というわけではありません。ですが、こちらの認識不足で怒らせてしまい、咬傷事故などに発展してしまうとその犬は「人を咬んで怪我をさせたキケンな犬」というレッテルを貼られてしまうことになりかねません。それは、怪我をした人も犬にとっても幸せな結果とは言えませんよね。
犬好きであればあるほど犬を見かけるとつい近づいて触りたくなってしまうかもしれませんが、大好きな犬を悲しい目に遭わせないためにも、触る前には飼い主さんに一声かけることはもちろん、状況を判断できる正しい知識を持っておくことが必要です。