犬の寝相からはいろんなことが分かります
一般的に犬は1日に12〜14時間眠ると言われています。子犬や老犬では睡眠時間はもっと長くなります。人間よりも長い時間を睡眠に費やすので、私たちは犬が寝ている姿を頻繁に目にします。
犬によってどんなポジションで眠るのが好きかは様々ですし、同じ犬でもその時々で違う姿勢で眠ることもありますね。そんな犬の寝相にはそれぞれに意味があり、知っていると愛犬の快眠度をアップしてあげることもできます。
カナダのブリティッシュコロンビア大学の心理学教授で、犬の眠りに関する著作もあるスタンリー・コーレン博士と、アメリカのコーネル大学獣医学部教授で、シェルターの保護犬の眠りに関する研究をしているキャサリン・ハウプト教授による「犬の寝相解説」をご紹介します。
自分の前足に頭を乗せて眠る
犬がこういう姿勢で目を閉じているときは、本格的に深い眠りについているのではなくて、ちょっと休んでいるという状態なのだそうです。目を閉じて休んでいるうちに眠りに落ちていくこともあるので、睡眠の初期段階と言うこともできます。
脚を伸ばして横向きに眠る
この姿勢は犬の寝相として最も一般的なもので、こんなふうに寝ている犬は快適にリラックスしている状態です。また自分の周りの環境に安心している状態でもあります。
コーレン博士によると、前足に頭を乗せて休んでいるうちに眠りに落ちたときにこの横向き寝になることが多いということです。こういう姿勢で眠ることが多い犬は、しっかりと脚を伸ばせる大きめサイズのベッドが最適です。また、横向きに寝るときに体の一部だけが沈んだりしないメモリーフォームのベッドも適しています。
くるりと丸くなって眠る
これもよく目にする犬の寝相ですね。伸び伸びリラックスしている寝相とはまた違う可愛らしさがあります。
ハウプト博士によると、アニマルシェルターの犬が安心して眠るときには、ほとんどがこの姿勢なのだそうです。丸まって眠ることは体温の調節に好都合です。暑くなれば体を伸ばし、寒いときには丸まった内側に体温を保つことができます。またこの姿勢そのものが、犬自身に安心感を与えるものだそうです。
丸まって眠ることが多い犬には、柔らかめで眠る犬の体を包み込むようなベッドが最適です。またベッドの保温性も重視しましょう。
脚を伸ばしてスーパーマンの姿勢で眠る
前脚も後脚も伸ばして、空飛ぶスーパーマンのような姿勢の寝相、思わずクスリとしてしまいますね。実は研究者たちにとっても「どうしてこんな姿勢で眠るのだろう?」という疑問が残っているのだそうです。
コーレン博士によると「この姿勢は犬が横になっている表面が冷んやりしていて、犬が涼を求めているときに見られます。犬のお腹のあたりは毛の密度も少ないので、ここを冷たい表面にくっつけていると考えられます。」とのことです。
またハウプト博士は、この姿勢は小型犬や子犬によく見られると述べています。体が大きくなると構造的にこの姿勢は難しいのだと思われます。
この姿勢で眠るのが好きな犬には、鉄パイプとメッシュを組み合わせた高床式のペットコットが最適です。お腹の下に通気性が生まれるので、クッション性を保ちながら涼しく快適に眠れます。
いつも誰かに寄り添って眠る
眠るときには飼い主の隣にぴったりと寄り添ってきたり、多頭飼いの場合は必ず他の犬にくっついて眠ったり、そんな様子は最高に愛らしいですね。
こんなふうに眠るのは、子犬時代の名残だと考えられます。子犬は体温を保つために母犬や兄弟いぬにぴったり寄り添っている必要があるからです。犬は完全に成体になっても、幼い頃の性質を残す「ネオテニー」という現象を多く持っていますが、これもネオテニーのひとつかもしれません。
あなたが犬と一緒に寝ることができないときには、丸まって眠るタイプのように保温性が高く包み込むような柔らかめのベッドか、ベッド上部にカバーが付いた潜り込むタイプのベッドが犬に安心感を与えます。
まとめ
犬の寝相と、それが意味するところをご紹介しました。どんな姿勢であれ、犬が安心して眠っている姿は、見ているこちらも幸せになりますよね。
可愛い寝顔を見ていると、ついついチョンチョンしたり撫でたりしたくなるものですが、眠っているときに何かに突然触れられることは犬にとっては危険を意味します。
犬の安眠を脅かすことになるのはもちろん、危険を感じた犬はとっさに噛み付く場合もあるので、寝ている犬にちょっかいを出すことは絶対に止めましょう。
生活の長い時間を睡眠に充てる犬ですから、快適に眠ってほしいですものね。
《参考》
https://www.petmd.com/dog/wellness/5-dog-sleeping-positions-and-what-they-mean?