食糞とは
食糞とは読んで字のごとく糞を食べる行為の事です。これは自分の糞のみに限らず、他の犬の糞だという場合もあります。
また、犬だけの現象ではなく豚やウサギ、猫などにもみられる行為です。猫の場合は、家庭で一緒に生活している猫が自分の糞やほかの生き物の糞を食べてしまう事はあまりありません。しかし、子育て中の母猫が子猫の糞を舐めて寝床の環境を清潔に保つために行うことがあります。
食糞の原因や心理
では食糞をする時の犬の心理や食糞の原因はいったいどのような事が考えられるのでしょうか。
一般的に食糞は子犬に多く、子犬の成長に伴いだんだんと減っていくと言われています。それは子犬はまだ社会勉強が不十分な上に好奇心が旺盛で、目の前に転がっている自分の糞に興味を持って遊びがてらいじっている間についつい食べてしまうという事です。また、母犬が自分のおしりを舐めてきれいにしてくれることから糞を口に入れるということを学んでいるのかもしれないと考えられています。
糞で遊ぶ・・・人間にとっては考えただけでもとても不快なことですが、子犬と一緒に生活をしたことがある飼い主さんは思い当たる方も多いのではないでしょうか?
また食事の量が少ないことや、病気や栄養不足が原因の食糞も考えられるのですが、特にそのような兆候は見られず成犬になった後でも時々食べてしまっている子は実際には少なくありません。
実はどんな子でも
子犬の時期に好奇心から食糞をしてしまうという事は何となく理解はできますが、成犬になった後でも食糞をしてしまうのはなぜなのでしょうか。
この困った食糞についてはカリフォルニア州立大学デイビス校獣医学部の研究者たちが、研究成果を発表しています。(Benjamin L. Hart, Lynette A. Hart, Abigail P. Thigpen et al. The paradox of canine conspecific coprophagy Veterinary Medicine and Science. 2018, 4(2), p106-114, doi: 10.1002/vms3.92.)
その研究結果によりますと、食糞に関連した異常行動や病気は特定されなかったそうです。この研究とは別に、食糞は母犬が子犬を世話する中で行われる自然な行動であり、そこから糞を食べるという行為を学ぶ犬もいる、と言っている人もいます。
そんな結果を出されてしまうと食糞に悩む飼い主にとってはショックなのですが、年齢や性別、避妊去勢の有り無し、や出産経験など、様々な視点で研究された結果であり、現在のところこれと言った原因は特定できていないということです。
食糞をしているのは可愛い我が子だけではなく、実はあの子もこの子も・・・という事なのかもしれないですね。
食糞をやめさせるには
食糞は犬にとって、特別異常な行動ではない事がお分かりいただけたと思います。可愛い我が子が糞を食べるなんて何としてでもやめさせたい飼い主さんが多いと思いますが、病気が潜んでいる可能性が考えられない場合は、糞をしたらすぐに片付けることが最善の方法かもしれません。食糞をやめさせるための製品も売られていますが、前述の論文ではアメリカで発売されている11個の製品についてどれもほとんど効果がなかったことが示されています。
そして糞を片付ける時にも、なるべく静かに何事もなかったかのように淡々と黙って片付けた方が、犬が糞に対して興味を持たないようになるでしょう。またサークルなどの狭い囲いの中では食糞率が上がるので、少し余裕を持ったスペースで生活させることが必要なこともあります。
我が家のわんこは、サークル時代に食糞がありましたが、少し行動スペースを広げたことで、なくなりました。また子犬の時期には、糞をした瞬間に手をパチンと叩いて、名前を呼ぶと嬉しくて寄ってくるので、食糞はさせずに済みました。
まとめ
飼い主にとっては非常に不快な愛犬の食糞ですが、特別異常な行動ではないということです。しかし、糞をしたらできる限り早めに片付けて、清潔に保つことが大切です。