犬は感受性が豊かな動物
感受性とは、外的の刺激や印象、感情を受け入れ、ものを感じ取る能力のことをいいます。つまり、飼い主の表情や行動を観察することで、嬉しさや悲しさを瞬時に察知し、自らの行動や意思をも影響を受ける犬は、「感受性が豊かな動物」といえるのでしょう。
簡単にいうと、イイコトをして褒められるととても喜んだり、イタズラをして怒られるとシュンとしたりする、などです。それに伴って、飼い主の笑顔や怒っている顔を見ると、嬉しくなったり落ち込んだりします。もしかすると犬は人間より感受性が豊かで、素直で純粋な生き物なのかもしれません。
実験で分かる犬の感受性の豊かさ
では、犬は飼い主の表情や行動をどこまで観察し、指示に従うのでしょうか?犬の感受性の豊かさを証明する実験がいくつかあるのでご紹介します。
実験1
① オヤツが入っている容器Aと、中身が空っぽの容器Bを準備し、合図とともに選ばせます。
→結果:中身が見えなくても、鋭い嗅覚によってオヤツが入っている容器Aを選択しました。
② ①と同じ容器を準備し、飼い主が容器Bを指さしたあと、合図とともに選ばせます。
→結果:飼い主が指さした容器Bを選択しました。
ほとんどの犬が、中身が空っぽと分かっていながらも、容器Bを選択しました。中には、飼い主のわずかな目線や表情を読み取って、容器Bを選択した犬もいたそうです。このことから、犬はオヤツというイイコトが得ることができないと認識しながらも、素直に飼い主の指示に従うことが分かりました。
実験2
「犬は飼い主の感情を読み取り、自らの行動や意思をも影響を受ける」といわれていますが、果たして本当なのでしょうか?それを証明する実験をご紹介します。
① 飼い主を中心として、3人で椅子に座ります。テープが入った透明の容器を準備し、飼い主はフタを開けることができない素振りをしたあと、右隣の人にフタを開けてもらいます。飼い主は喜ぶ仕草とともに笑顔を犬に向けます。そのあと、右隣の人と左隣の人がオヤツを与えます。
→結果:飼い主を助けた右隣の人、何もしていない左隣の人、両方からオヤツをもらいました。
② 次に左隣の人に助けを求めますが、無視されてしまい、フタを開けることができません。そのあと、右隣の人と左隣の人がオヤツを与えます。
→結果:右隣の人からはオヤツを受け取りましたが、飼い主を無視した左隣の人からは、オヤツを受け取りませんでした。
例えば人間社会でも、親切にしている人を見ると「いい人」と好意を持ち、冷たい人を見ると「嫌な人」と否定的になる傾向があります。これは、自分の利害とは関係なくとも、人の行動や表情によって評価をしているのです。
これは犬も同じで、オヤツをもらう・もらわないなどの自分の損得とは関係なしに、大好きな飼い主が嫌なことをされたことで、「この人は飼い主に嫌なことをする人だ」と認識したのかもしれません。
ペットを飼うと子供の感受性が強くなる?
犬の感受性についてご紹介してきましたが、私たち人間の感受性にも影響を与えることをご存じですか?その影響は子供に特にみられ、ペットとの暮らしは子供の成長に良い影響を与えるといわれています。
アイペット損害保険株式会社は、「ペットは子供にどのような影響を与えたか?」というアンケート調査を行い、下記のようなランキングが発表されました。
- 1位:感受性が豊かになった(45.0%)
- 2位:命の大切さを理解できるようになった(42.2%)
- 3位:動物が好きになった(42.0%)
- 4位:相手への気遣いができるようになった(32.5%)
- 5位:責任感を持つようになった(27.5%)
ペットと暮らすことで、子供の感受性が豊かになったと実感するご家庭が多いようです。ペットの表情や仕草から、「お腹空いてるのかな?」「眠いのかな?」などを推測することで、何をしてほしいのか、何を求めているのかを想像する力を育むことができるのでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。犬の感受性は、私たちが思っている以上のものかもしれません。
犬はポーカーフェイスを苦手とするというより、する必要がないので、嬉しいときは嬉しい、悲しいときは悲しい、と素直に伝えてくれます。私たち人間も見習いたいものですね。