犬は飼い主を喜ばせようとします
犬と共に暮らしていると、いかに犬が感情豊かであるかがよく分かりますよね。すすり泣いたり、げらげら笑うことはない犬たちですが、表情や鳴き声、ボディランゲージで喜び、恐怖、怒り、嫌悪、愛情といった感情を私たちに伝えてくれています。
豊かなのは感情だけではありません。犬は感受性も豊かで、人の感情を読み取ることができると言われています。犬は人の表情や声のトーンなどから感情を読み取ることができると、研究でも明らかになってきています。
そして、人の感情を読み取ることができる犬たちは、飼い主さんを喜ばせようとする傾向があります。指示にきちんと従ったり、トレーニングを頑張ったり、飼い主さんが喜ぶ仕草をしたりと、喜ばせ方はさまざまですが、犬たちはどのような心理から飼い主さんを喜ばせようとするのでしょうか?以下からご紹介します。
犬が飼い主を喜ばせようとする心理とは?
心理①ごほうびが欲しい
犬は自分の経験を通して、どう行動したらよいかを学んでいきます。そして、自分にとって得になることは繰り返し、損になることは繰り返さないようにします。
ですから、何かをして飼い主さんを喜ばせたら、ほめられてごほうびがもらえたという経験があると、犬は飼い主さんを喜ばせれば自分に得があると考え、またごほうびをもらうために飼い主さんを喜ばせようとする可能性があります。
「ごほうび目当て」と考えると、ちょっと残念な気持ちになるかもしれませんが、犬にとってのごほうびはおやつだけではありません。大好きな飼い主さんに撫でてもらったり、声をかけてもらったり、一緒に遊んでもらったり、散歩に連れて行ってもらったりすることがごほうびになる犬もいます。
愛犬が飼い主さんとのコミュニケーションやスキンシップを求めて、飼い主さんを喜ばせようとするのだとしたら、さらに愛犬への愛おしさが増しますね。
心理②飼い主の笑顔が見たい
愛情深く忠実な犬たちは、飼い主さんの笑顔が大好き。飼い主さんの笑顔を見ると、自分も幸せな気持ちになり、もっと飼い主さんの笑顔を見たくなります。そして、飼い主さんの笑顔を見るために、飼い主さんを喜ばせようとするのです。
飼い主さんが笑顔を失い元気がないと、犬はそれを感じ取り、心配そうな表情で飼い主さんの顔をのぞき込んできたりすることがあります。中には、飼い主さんと同じように元気をなくしてしまう犬もいるようです。
愛犬にたくさんの笑顔を見せられるように、そして愛犬が幸せな気持ちでいられるように、私たち飼い主はなるべくポジティブな気持ちで毎日を過ごしたいものです。
飼い主が喜んでいないのに、喜んでいると勘違いすることも!?
犬が人の感情を読み取ることができるとは言え、飼い主さんが喜んでいないのに、喜んでいると勘違いしてしまうこともあります。
例えば、犬が飛びついてきたときに「やめて~!」などと言って手で振り払ったり、騒いだりすると、犬は「飼い主さんが大騒ぎして喜んでくれた!」「反応してくれた!」と勘違いしてしまうことがあります。その結果、飛びつき癖がひどくなってしまうことも…。
つまり、飼い主さんは犬のよくない行動を制しているつもりでも、犬は飼い主さんの言動を「喜んでいる」「反応してくれている」と勘違いして、その行動を繰り返してしまうことがあるのです。
犬にこうした勘違いをさせないためには、犬のよくない行動には毅然とした態度で対応することが大切です。
イタズラなどをやめさせるときは、その場で低い声で「ダメ!」と厳しい口調で言い、飛びつきや要求吠えなど飼い主さんの注意を引くための行動をやめさせるときは、その行動に対して反応しない(無視をする)ようにするといいでしょう。
まとめ
犬は、飼い主さんを喜ばせようとする傾向があります。「おやつが目当てで…」という可能性もありますが、犬の愛情深さや忠実さを考えると「飼い主さんにほめてもらいたい」「飼い主さんの笑顔が見たい」という心理から、飼い主さんを喜ばせようとすることが多いのではないでしょうか。
飼い主さんは愛犬の行動を制しているつもりでも、飼い主さんの声のトーンや振る舞いなどから、喜んでいると犬が勘違いしてしまうこともあります。愛犬が勘違いしないように、愛犬のよくない行動には毅然とした態度で対応しましょう。