なぜ犬は表情が豊かなのか?
実は犬にも、人間と同じように表情筋があります。人間ほど頻繁に動かないものの、動物界の中では、犬は表情筋を使う動物だといわれています。
犬はもともと群れで生活していたため、仲間とコミュニケーションをとるのに、気持ちを伝えるツールとして発達したのでしょう。猫はよく「無表情」といわれますが、そもそも猫は表情筋が少ないからと考えられます。その無表情さが、猫の魅力でもありますね。
ここでは、犬の「表情」に着目して、隠された気持ちをご紹介します。
目を細め、口が開き、舌が見えている表情
口の筋肉が緩むことで、自然と口が開き、笑顔のように見えるこの表情は、犬の気持ちも「喜び、嬉しい、リラックス」が正解です。飼い主さんに抱っこされているとき、家族でのんびりしているとき、撫でられているときなど、犬にとって幸せで満足している状況に、よくみられる表情です。
また、飼い主さんの表情を真似て、笑顔になっていることがあります。これは、「飼い主さんは楽しいときこういう顔をする」と学習し、「私も楽しいよ!」と同じ表情をするのです。
しかし、注意が1点あります。実は、犬はストレスを感じたときにも、上記でご紹介した「リラックススマイル」と同じような表情をするのです。これを「ストレススマイル」といい、恐怖や不安を感じているときにする表情です。
- 口角が上がっているというより、引っ張られている
- 目がふだんより見開いている
- 舌がふだんより垂れている
上記3点は、ストレススマイルをあらわす表情で、いわゆる「引きつった笑顔」をしています。「犬が笑っているような表情をしている=楽しい、リラックスしている」と安易に結びつけるのではなく、これらを区別することがとても大切になります。
目の瞳孔が開き、キラキラしている表情
好奇心が刺激され、興奮している状態です。人間と同じで、好きなもの、好きなことをするときに目を輝かせます。例えば、「散歩に行くよ」と声をかけたときや、オヤツを持ったとき、ボールを追いかけているとき、好奇心が湧くものを見つけたときなど、犬としての本能が、掻き立てられているときにみられる表情です。
口を閉じ、耳をピンと立て、何かをじっと見つめている表情
興味を引く対象を見つめて、「あれは何だろう?」と正体を見破ろうとしています。口を閉じることで、耳や鼻に神経を集中させ、その対象の音を聞いたり、ニオイを嗅いだりする準備をしています。
口を閉じ、耳が垂れ、伏し目がちな表情
人間と同じく、犬も落ち込みます。イタズラをして、飼い主さんに怒られたときなどによくみられる表情です。しかし犬の落ち込みは一時的なもので、ズルズルと気持ちを引きずったりしません。数分後にはケロッとした表情をしているでしょう。
歯が見えるほど唇がめくれ、鼻の上にシワがよる
相手に対して敵対心を持っており、この段階では、「怒っているから、それ以上近寄るな」と相手に警告をしている状態です。しかし、全ての歯が見え、前歯の歯茎が見えるまで唇がめくれている表情にまで発展すると、怒りの最上級となります。ケガを伴うほどのケンカになる恐れがあるので、犬や人に対して、この状況になった場合はすぐに退避しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
笑顔に見える表情は、本当に笑っていて、困っているように見える表情は本当に困っている、怒っているような表情は、本当に怒っていることが分かりました。
犬は本当に表情豊かな動物で、喋れないからこそ表情で、喜怒哀楽を伝えてくれます。その気持ちを読み取ることができれば、犬との間に「言葉」というコミュニケーションはいらないのかもしれませんね。