犬は吠える動物
犬の「吠え」は、人と生活する上で欠かせないものとして重宝されてきました。獲物の存在を飼い主に知らせたり、牧羊犬として羊をまとめたり、不審者に対しては吠えて追っ払う番犬として活躍していました。
しかし、「犬は吠える動物」といっても、人間と共生している現代において犬の吠えによる悩みが尽きないのも事実。特に、たくさんの犬と出会う散歩のときなんかはそうでしょう。
例えば、
- 他の犬に吠えてびっくりさせてしまう
- 他の犬に飛びかかってしまう
- 他の犬とケンカしてしまう
- 吠え続けて近所迷惑になる
など。このような「ガウガウ犬」が他の犬に吠える原因は、主に3つ挙げられます。
他の犬に吠える原因①嬉しくて
テンションが上がって吠えてしまうこともあります。飼い主さんと散歩に出かけること自体が嬉しく、さらに他の犬を見かけて「遊び相手見つけた!」「遊んで遊んで!」と興奮して吠えてしまうのです。
他の犬に吠える原因②怖くて
嬉しいのとは逆に、他の犬が怖くて吠えてしまうことがあります。愛犬の様子を見てどちらが原因なのか見極めましょう。怖くて吠えてしまう場合は、「犬の社会化の不足」が考えられます。
犬の社会化とは、生後2~3か月のころに親犬や兄弟犬と過ごすことで、愛情表現やコミュニケーションの取り方、ケンカやじゃれ方、甘噛みの仕方や他の犬や人との触れ合い方などを学ぶ時期のことをいいます。子犬にとって、精神的にも体力的にも成長できる大事な時期です。
この社会化が不足している犬は、他の犬に慣れていない、どう触れ合っていいか分からない、異常に怖がるなどといった「犬見知り」になってしまい、恐怖のあまり吠えてしまうのです。
特に、ペットショップで売られている犬は社会化を学ぶべき大事な時期に親犬や兄弟犬と離され、狭いショーケースの中で一人で過ごしているため、社会化が不足しているといわれています。
対策
①嬉しくて吠える場合の対策
他の犬と会う前に、ボール遊びやフリスビーなどで遊んで適度に疲れさせることが効果的です。また、年齢を重ねて性格が落ち着いてくると直ることがあります。
②怖くて吠える場合の対策
改善には、時間がかかることを覚悟しなければなりません。特に社会化をきちんと学ぶことができずに成長した犬は、習慣や性格が固まっているため、なかなか直すことができません。飼い主さんの心構えや根気が必要となります。
ここで大事なのは、「吠えることをやめさせる」のではなく、「気持ちを落ち着かせる」ということ。ガウガウ犬が吠えるのは他の犬が接近してくることが怖いからです。
前方に犬が接近してくるのが見えたら、「マテ」や「フセ」、「オスワリ」などのコマンドを出し、通り過ぎるのを待ちます。このときにオヤツを与えるのも良いでしょう。「犬が来ても大人しく待つ=オヤツがもらえる」と学習してくれます。
吠えてからでは制御がきかなくなる可能性があるので、接近してくる前にコマンドを出すのがポイントです。
監修ドッグトレーナーによる補足
「マテ」「フセ」などが難しい場合は、「オイデ」「コイ」から始めてみましょう。
愛犬が好きなおやつを手に持ち、自分の方に寄ってきたらご褒美をあげましょう。それができたら次のステップへと、焦らず少しずつレベルアップしていきましょう。
まとめ
犬が吠えることには、必ず何かしらの原因があります。「どういう理由で吠えているのかな?」「何を伝えようとしているのかな?」と考えてみましょう。
また犬同士のケンカはヒートアップしやすく、咬傷事故が起きかねない状況でもあります。飼い主さんの手で、犬の健康や幸せを守ってあげましょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬が吠えるのは本能なので、吠えぐせはかなり根強く残る行動の一つです。
しつけの中でもかなりの時間が必要になることもあります。なかなか改善されないからと愛犬を叱っているのは逆効果。試しても改善が見られないようであれば、頑張りすぎずに訓練所やしつけ教室などプロに相談してみましょう。