犬のテンションが上がるもの①褒められる
犬は、褒められることが大好きな動物です。褒められて嬉しい気持ちとともに、褒めているときの飼い主さんの顔や声、手、仕草、すべてが好きなのです。そして、「どうしたらまた褒めてくれるかな?」と考え、模索します。なんとも健気で、愛らしいですよね。
犬のテンションが上がるもの②なでられる
犬は、なでられるとテンションが上がるだけでなく、リラックス効果やマッサージ効果が加わり、コミュニケーションの構築にも有効です。
なでられて気持ちがいい場所
- アゴの下
- お腹
- 頭から首にかけて
触られると嫌がる場所
- 鼻先
- 耳
- しっぽ
犬のテンションが上がるもの③遊ぶ
犬は昔、人とともに狩猟犬や牧羊犬などとして活躍していたため、現代も人と一緒に活動することが好きです。ボール遊びやフリスビー、ヒモの引っ張り合いなどは、犬の狩猟本能を刺激するため、本能欲求を満たすだけでなく、ストレス発散にもなります。
犬のテンションが上がるもの④散歩
「散歩にいくよ」と声をかけたらテンションが上がるのは、犬の本能のはず。それは犬種や年齢問わず、どんな子もテンションが上がります。散歩の時間になるとソワソワしたり、飼い主の「散歩」という言葉に反応したり、自らリードを咥えて持ってくる子もいるでしょう。
犬のテンションが上がるもの⑤赤ちゃん言葉
「○○ちゃん、いい子でちゅね~」という赤ちゃん言葉、愛犬に使ったことがある方も多いのではないでしょうか?実際のところ赤ちゃん言葉は、犬からしてみればテンションが上がるものなのか、どんなふうに聞こえ、飼い主からどんな感情を受け取っているのでしょうか。
犬への赤ちゃん言葉に対する実験
犬に対する赤ちゃん言葉について、フランスの生物学者ニコラス・マッチェボン教授率いる研究チームが、ある実験を行いました。
30人の女性が、「いい子ね~!」「こっちにおいで~!」「かわいこちゃ~ん!」といった、犬に呼びかけるセリフを録音しました。犬の写真を見ながら、これらのセリフを「赤ちゃん言葉で高い調子で呼びかけるパターン」と、「普通の調子で呼びかけるパターン」の2種類を用意します。この録音を、動物保護センターにいる子犬10匹と成犬10匹に聴かせ、1匹ずつの反応を観察しました。
すると、「赤ちゃん言葉で高い調子で呼びかけるパターン」を聴かせたとき、10匹の子犬のうち9匹が興奮して吠え続け、録音機の周りを走り回っていたそうです。成犬に関しては、どちらのパターンの録音を聴かせても反応が薄く、行動に移しませんでした。
この研究結果について、マッチェボン教授は下記のように推測しています。
人間の親が子供に赤ちゃん言葉を使うのは、高い声や調子で興味を引かせることで言葉を覚えてもらおうとしているからです。それは子犬に対しても同じで、愛犬に人間の言葉を理解してほしいという思いから、赤ちゃん言葉を使っているのでしょう。子犬が赤ちゃん言葉に反応するのは、習性に基づくと考えられます。
狩猟犬や牧羊犬として、人間と密接に交流してきた犬にとって、「人の役に立ちたい」「人と遊びたい」「人を理解したい」という思いが、このような呼びかけに反応したと考えられます。好奇心旺盛な子犬では、なおさらでしょう。成犬が反応しなかったのは、声の主が誰か分からないこと、飼い主の声と違うことが理由と考えられます。
子犬は赤ちゃん言葉が好きというより、赤ちゃん言葉を使う飼い主さんの表情や仕草、高い声のトーン、ゆっくり喋る言葉が好きなのかもしれませんね。赤ちゃん言葉を使うことで、子犬のテンションを高く維持することができるので、トレーニングするときは有効と考えられます。
番外編~老犬~
「トイレの失敗が多くなった」「歩行が遅くなった」「白髪が増えた」など、犬の老化のサインは突如あらわれます。走り回ったり、ボール遊びをしたり、ドッグランでお友達とじゃれたりすることが大好きだった犬も、年をとると静かな生活を望むようになります。
老犬にとってテンションが上がるものとは、どんなものなのでしょうか?
老犬のテンションが上がるもの①散歩の継続
犬にとって散歩は一日の一大イベントであるため、老犬だからといって散歩の回数を減らそうとするのはやめましょう。土や草、空気などの外の世界に触れることで、リフレッシュするだけでなく、探索欲求が満たされることで頭の運動になり、全身の血液循環も改善されます。
しかし、老犬の散歩は工夫と注意が必要です。「散歩に行きたい!」と意欲的な日もあれば、「今日は行きたくない」と乗り気でない日もあります。愛犬の様子を観察して、散歩に行くかどうかの判断をしましょう。
老犬のテンションが上がるもの②コミュニケーションを密にとる
若い犬は、飼い主さんに構ってほしいとき、オヤツが欲しいときなどに、飼い主さんのもとへ駆け寄ります。しかし年をとった犬は、膝の関節や内臓の負担から、あまり動きたくないという気持ちが強く、寝ていることが多いでしょう。
そんなときは、飼い主さんから愛犬に寄り添ってあげましょう。若いころと比べて、目や耳が悪くなっている老犬にとって、飼い主さんの顔や声、手はとても心地のいいものといわれています。
犬の顔の近くで「○○いいこ」「○○グッド」と名前とともに褒め、飼い主さんの笑顔を見せてあげましょう。愛犬が好きな部位を優しく撫でることも効果的です。
また、「ありがとう」「大好きだよ」という言葉をかけてあげましょう。犬には言葉の意味は分からなくとも、気持ちは伝わっています。
老犬のテンションが上がるもの③飼い主さん
老化による体の不調があらわれる老犬は、とまどったり、不安になったり、ストレスが溜まりがちです。そんなとき飼い主さんが視界の中にいるだけで、老犬は安心し、落ち着けるのです。若いころと比べて甘えん坊になり、側にいたがるようになります。
まとめ
子犬であっても、成犬であっても、老犬であっても、テンションが上がるものとして共通して言えるのは、「飼い主さんの存在」「飼い主さんとの時間」です。
人と犬がコミュニケーションをとることで、幸福ホルモンとよばれる「オキシトシン」がお互いに分泌されます。これは医学的に証明されており、愛犬家の方なら知っている方も多いでしょう。
犬はふだんの生活の中で「寂しい」「悲しい」と感じる頻度が多いほど、寿命が短くなる可能性が高いといわれています。
逆に老犬であっても、活動的に散歩に出かけたり、お友達と遊んだり、飼い主さんとたくさん触れ合っている子は、寿命が延びる傾向にあるといわれています。
テンションが上がるものを与えることで、愛犬が長生きできる手助けができるなんて、飼い主にとって最大の喜びですよね。