犬の「目」から分かる気持ち
「目は口ほどに物を言う」というように、目は様々な感情をあらわします。瞳孔の動きや、視線の向きに注目してご紹介します。
目の瞳孔が開き、キラキラしている
- おもしろそう!
- 楽しそう!
瞳孔が開き、キラキラしているような場合、好奇心が刺激されている状態です。ボールを咥えて飼い主のもとへ行くときや、散歩へ行こうとリードを持ったとき、オヤツを持ったときなどは、このように目をキラキラさせるでしょう。
相手の目を見つめる
- ケンカするか!
- 私の方が強いぞ!
まっすぐに相手の目を見る場合、ほとんどが敵対心や威嚇、優劣をあらわしています。大体の場合が、「私の方が強い!」と思ってケンカへと転じてしまうので、注意が必要です。
まばたきが多くなる
- 退屈だな~
- ケンカをする気はありません
寝そべるなど、だらけている状態のときに、まばたきを多くする場合は、退屈という気持ちをあらわしています。また、他の犬と対峙した状態でまばたきが多くなった場合は、多少の服従心をあらわしています。「降参!」という強い服従ではなく、「あなたの方が優位です」というような、優劣を譲るといった気持ちがあらわれています。
視線をそらす
- ケンカをする気はありません
- 巻き込まないでください
「相手の目を見つめる」とは真逆で、強い服従心や、ケンカしたくないという気持ちがあらわれています。
犬の「耳」から分かる気持ち
犬は、耳の動きや垂れ方、傾き方によって感情が異なります。ゴールデンレトリーバーや、ビーグルなどの耳が垂れている犬は、耳から感情を読み取るのは困難かもしれませんが、立ち耳の犬に関しては感情を読み取りやすいでしょう。
耳が直立している
- あれはなんだ?
- 気になる
興味を引く対象を見つけたときに、耳をピンと直立させます。興味の度合いによって、前方に傾ける場合もあります。対象の音を聞きたいという気持ちがあらわれています。
頭に付くまでに、耳を後ろに倒す
- 怖い
- ケンカする気はありません
服従心や恐怖心をあらわしています。耳を見えなくなるまで倒すことで、少しでも体を小さく見せ、相手に対して争う気持ちがないことを伝えています。口を閉じて歯が見えない状態の場合は、完全な服従心をあらわしていますが、少しでも歯を出している場合は、服従しつつも攻撃の機会をうかがっており、曖昧な感情をあらわしています。
犬の「口」から分かる気持ち
犬の表情で視覚的に分かりやすいのが、口でしょう。口の動き、開き方、大きさに注目してご紹介します。
口が開き、舌が見えている状態
- 幸せ
- のんびり
- リラックス
口の周りの筋肉が緩み、自然と口が開いている表情のときは、とてもリラックスしている状態です。口角が大きく引かれることで口角が上がっているように見え、微笑んでいるようにも見えるでしょう。
口を閉じ、舌も歯も見えない状態
- 真剣
- 狙っている
舌も歯も見えないように口を閉じていることに加え、視線が何かじっと見つめている場合は、とても真剣な気持ちをあらわしています。また、「あれはなんだ?」と興味津々であることもあらわしています。口を閉じているのは、その狙っている対象のニオイを嗅いでやろうと、その準備をしているのかもしれません。
口は閉じぎみのまま唇をめくりあげ、歯の一部を見せる
- むかつくな~
- イライラするな~
人間でいう、舌打ちをするような少しイラっとした状態です。低く小さなうなり声を出す場合もあります。
歯茎や犬歯が見えるほど唇がめくれ、鼻の上にシワがよる
- 向こうへ行け!
- 痛い目にあわせるぞ!
歯や歯茎を見せることで、相手に「私は怒っているぞ」と強いな敵対心をあらわしています。この段階ではケンカしようとしているのではなく、不要なケンカを避けるために相手を威嚇しています。
犬歯以外の全ての歯が見え、前歯の歯茎が見えるまで唇がめくれている
- 目の前からいなくなれ!
- 攻撃するぞ!
怒りの最上級で、まさに一触即発の状態です。犬と対面したときにこの表情があらわれた場合、背中を見せて逃げると追いかけてくる可能性があります。横を向いて、静かに立ち去りましょう。犬同士でこの状態になってしまった場合は、即座に引き離しましょう。
注意点
各部位による気持ちの違いについてご紹介しました。ここで注意が必要なのは、犬の気持ちを間違えてはいけないということです。
例えば「目から分かる気持ち」でご紹介した、「相手の目を見つめる」という行動。このときに見つめ返してしまうとケンカを買われたと認識され、お互いにケガをしてしまう可能性があります。また、同じ「相手の目を見つめる」でも、飼い主へのアイコンタクトとは異なるので、きちんと見極めなければなりません。
また、犬の「ストレススマイル」というものをご存じですか?犬はストレスや苦痛を感じているときにも、笑っているような表情をすることがあります。「笑っているような表情=リラックス、落ち着いている」とは限らないのです。
犬のストレススマイルのポイント
- いつも以上に目が見開いている
- 口角がひきつっている
- 舌が垂れ下がっている
まとめ
犬は言葉が話せない分、表情や体、仕草、しっぽなどによって気持ちを伝えます。表情はカーミングシグナルの重要な一つで、それぞれの動きや組合せによって感情が異なります。実は犬は表情が豊かで、驚く飼い主さんも多いそうですよ。分かりにくい表情もあるので、気持ちを間違えないよう、見逃さないよう、しっかりと観察してみましょう。