犬を飼うのに向いていない理由①しつけができない
犬と一緒に暮らすためにはしつけをする必要があります。家庭犬で言えば高度な訓練は必要ありませんが、おすわりや待てなどある程度犬をコントロールしてお互い快適に、安全に暮らすためには全くしつけをしないというわけにはいきません。
犬のしつけは根気が必要です。言葉の通じない相手に対して何かを教えこと自体にも根気が必要ですが、一度教えたからと言ってそれで終わりではないのが犬のしつけ。何度も同じことを反復練習しなければすぐに忘れしまうこともありますし、困った問題が起きた時は放っておくと悪化していく一方なので常に犬の行動を観察して正していくことが大切です。飽きっぽい性格の人にとっては、地味な反復練習やすぐに結果の出ない犬のしつけはおもしろいと感じられないかもしれません。
犬を飼うのに向いていない理由②散歩など世話が続けられない
犬を飼う場合、他のペットとは大きく異なるのが散歩の必要があるということです。一部のペットショップなどでは「小型犬は散歩しなくていい」「この犬種は運動量が少ないから家の中で十分」などと言う売り文句で犬が販売されていたこともありますが、そのようなことは絶対にありません。それは完全に人間側に都合に無理やり合わせているだけで、どんなに小さくても外への散歩は犬にとって必要不可欠。それは運動量だけの問題ではなく、社会性を見つけるためや自然の香りや感触楽しむためなど精神的にも大きな影響を与えることだからです。外に出ない犬はたまに散歩に連れ出されても、不安や恐怖ばかりが強く楽しむことができないか、めったにないことだからとテンションが上がりすぎて落ち着いていられない傾向にあります。
毎日の散歩は確かに大変です。暑い日も寒い日も忙しい日も疲れている日も、犬のために外に出なければいけないのはいくら犬好きでも「めんどうだなぁ」と感じてしまうもの。それが飽きっぽい性格の人であれば尚のことだと思います。それ以外にも、食事や健康の管理についても犬の場合は一筋縄ではいかないことや手がかかることも多いと思います。そういった毎日行わなければならない体調管理については、飽きたからといって手を抜いていいことではありません。
犬を飼うのに向いていない理由③愛情に波がある
飽きっぽい人は犬に向ける愛情についても波があるようです。「かわいい!」と思っている時はたくさんかまったりあれこれ手をかけたりするのに、ふいに飽きてしまうとほとんど見向きもしなくなることはめずらしくないと思います。しかしそのような不安定な愛情をかけられた犬は、決して幸せではなく、犬自身の性格も不安定になりがち。いつ、何をすれば飼い主が振り向いてくれるのかがわからず、自分に自信が持てないでいる犬はとても幸せだとは思えません。
過剰な愛情は必要ありませんが、いつでもフラットな姿勢で犬に接することができるというのもとても大切です。犬は安心感を得るために精神的に落ち着いた人を好み、従い、信頼する傾向にあるので、その逆を行ってしまう飽きっぽい性格の人は飼い主になるにはあまり向いていないと言えるでしょう。
ペットを飼う時は慎重に考えることが鉄則!
犬が好きで、犬との生活を楽しんでくれる人が増えて日本における犬の地位が少しでも上がってほしいと考えている筆者ですが、犬を飼うことはそう簡単にはおすすめできません。
しつけや散歩、飼育スペースの確保、飼育費用などを考えると、犬はとても手のかかるペットだと思います。「かわいい」「犬がいたら楽しそう!」と思う気持ちだけでは飼い続けることはむずかしいかもしれません。実際、「思っていたより手がかかる」「しつけが大変」「介護ができない」などという非常に身勝手な理由から捨てられ、殺処分になってしまっている犬がこの日本にはたくさんいます。本当に今後10~20年間、犬を大切に飼い続けることができるのか、さまざまな側面から検討し覚悟を決めてから飼わなければ、いつか後悔する日が来るかもしれません。それは犬だけでなく、飼い主にとってもとてもとても不幸で悲しいことです。犬を飼うことはすばらしいこと。しかし、飼いたくても安易には飼わない判断をすることもすばらしいことだと思います。
犬を飼うことのすばらしさと責任の重さ、適正な飼育について描かれた漫画が東京都保健福祉局から発行されているのをご存じでしょうか。犬を飼いたいと考えている人、お子さんが犬を飼いたいと言っている時などにはぜひ読んでほしいものとなっています。簡単に読めるものなのでぜひ一度目を通していただけるとうれしいです。
『犬を飼うってすてきですーか?』http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kankyo/aigo/yomimono/dokuhon.html
出典:東京都保健福祉局HP(動物愛護読本)