犬に芸を教えるのに大切なこと
基本的なしつけ
難しい芸を覚えるには、まず「オスワリ」や「マテ」、「フセ」などの基本的な芸を覚えなければなりません。これらに至っては、芸というよりもしつけですね。
これらは日常のさまざまな場所で役立ち、危険な状況から身を守ることもできます。例えば、「フセ」ができるとカフェでお茶をしているときに側で待つことできたり、「マテ」ができると散歩中にもしリードが外れてしまってもコマンドを発することで留まることができます。
適格な指示とタイミング
芸を教える上で大切なことは、飼い主の指示とタイミングです。指示のことを「コマンド」といいますが、犬が飼い主の言葉を聞き取るためには、はっきりと大きな声でコマンドを言い、いいタイミングで行わなければ意味がありません。
芸を教えるのに要する時間
犬の集中力は10~15分といわれています。飽きたような仕草や、集中力が切れてきたなと思ったら、すぐにトレーニングをやめましょう。無理やり続けると、犬が芸自体を嫌いになってしまうかもしれないからです。
またトレーニングがうまくいかず、なかなか芸を覚えてもらえない場合もあるでしょう。そんなときは、「なんで覚えないの!」と怒るのは禁物です。「芸を覚えるのは時間がかかるもの」と覚悟をし、温和な気持ちを持って根気よく続けなければなりません。
何より、楽しんでやること!
愛犬とのコミュニケーションはとても大切です。一緒に遊んだり、触れ合ったり、話したり、愛犬にとってもとても幸せな時間でしょう。何より、犬は飼い主が楽しそうにしている顔や雰囲気が大好きな動物です。「芸を覚えること」を最終目標に、この過程であるトレーニングを楽しく過ごしましょうね。
難しい犬の芸①もってきて
投げたボールを飼い主のもとまで持ってこさせる芸です。
ボールを投げても興味を持たずに追いかけない子や、ボールを追いかけてもそのまま突っ走っていったり、ボールにたどり着いても持ってこなかったり…。簡単そうな芸ですが、実は難易度が高い芸なんです。
①まずは、ボールに興味をもってもらう
そもそも、犬は動くものを追いかける習性を持っているのでボールが好きな子が多いですが、興味を持たない子もいますよね。そのような子の場合は、少しでもボールに近づいたときやボールのニオイを嗅いだときなど、興味を示すような仕草をしたら思いっきり褒めてあげましょう。オヤツをあげるのも効果的です。
「ボールに触る=オヤツがもらえる」と学習させます。
②ボールを転がす
ボールに興味を持ち、目で追いかけるようになったら、ボールを転がしてみましょう。最初は軽く転がし、追いかけてボールを咥えたら、オヤツをあげてたくさん褒めます。慣れてきたら1m、2m、3m…とどんどん距離を伸ばしていきましょう。
「ボールを追いかけて咥える=オヤツがもらえる」と学習させます。
③コマンド「もってきて」を覚えさせる
犬がボールを追いかけて咥えた瞬間に、「もってきて!」と大きな声ではっきりと指示を出します。飼い主のもとへ持ってきたら、無理やり取り上げず、オヤツを見せて「ハナセ」と声をかけることで、咥えたボールを離す訓練をします。
そうすることで、「飼い主にボールを持っていって離す=オヤツがもらえる」と犬は学習してくれます。
難しい犬の芸②おやすみ
毛布の端を咥えたまま横に転がり、自ら毛布に包まる芸です。難易度が高いですが、これを覚えれば、落ち着きがない子や、なかなか寝てくれない子などに効果的かもしれません。
①毛布に興味を持たせる
まずは、犬に毛布の端を咥えることを教えなければなりません。犬を毛布の上にフセをさせた状態で、毛布の端を犬の口元にもっていきます。犬がそれを咥えようとしたら、オヤツをあげ、褒めてあげましょう。
「毛布の端を咥える=オヤツがもらえる」と学習させます。
②毛布を長い時間咥えることに慣れる
徐々に、毛布を咥えている時間を延ばします。咥えた状態を1秒キープすることができたらオヤツをあげましょう。その後2秒、3秒、4秒…と少しずつ延ばしていきます。
「毛布を長い時間咥える=オヤツがもらえる」と学習させます。
③コマンド「毛布」を覚えさせる
犬が毛布の端を咥える直前に、はっきりとした口調で「毛布」とコマンドを言いましょう。コマンドだけで毛布を咥えることができたら、オヤツをあげます。
「毛布というコマンド=毛布の端を咥える=オヤツがもらえる」と学習させます。
④毛布の上で寝転がる
③までで「毛布」というコマンドを覚えたら、ここからは違う動作を覚えさせます。
犬を毛布の上にフセをさせた状態で、犬の芸「バーン!」と同じ要領で犬を横に倒します。(※「バーン!」については、「とってもキュート♡犬に教えられる可愛い芸4選」をご参照ください。)
「バーン!」をさせた状態で、オヤツを犬の鼻先に近づけ、くるくると回します。そうすると、犬はオヤツにつられてゴロンと転がります。これらを繰り返し、2回転がることができた直後にオヤツをあげましょう。
「毛布の上で2回転がる=オヤツがもらえる」と学習させます。
⑤コマンド「おやすみ」を覚えさせる
犬が寝転がる直前に、はっきりとした口調で「おやすみ」とコマンドを言いましょう。今まで通り、2回転がることができたら、オヤツをあげます。
「おやすみというコマンド=毛布の上で2回転がる=オヤツがもらえる」と学習させます。
⑥「毛布」と「おやすみ」を組み合わせる
「毛布」とコマンドを出し、指示通り毛布の端を咥え続けることができたら、「おやすみ」と指示を出しましょう。そのときに、2回転がることができたら成功です。
⑦コマンドを「おやすみ」に統一する
⑥の動作に慣れてきたら、コマンドを統一させます。
犬の口元に毛布の端を持っていき、「おやすみ」とコマンドを出します。最初のうちは、毛布を咥えないままゴロンゴロンと2回寝転がるでしょう。しかしここで諦めず、根気よく続けることがとても大切です。「おやすみ」とコマンドを出して、偶然だとしても犬が毛布の端を咥えたら成功です。その後2回転がることができれば、大成功です。オヤツをあげ、思いっきり褒めてあげましょう。
「毛布」のコマンドを最初から「おやすみ」にすればいいのでは?と感じるかもしれませんが、それをすると「おやすみ」のコマンドで2つの動作をしなければならないということになってしまいます。基本的に、「1つのコマンドで1つの動作」です。犬が混乱してしまうのを防ぐためにも、根気よくトレーニングをする必要があります。
まとめ
芸を覚えることは、犬も飼い主も楽しい時間を過ごすことができ、愛犬の可愛い姿を見ることができるだけでなく、コミュニケーションにつながります。
難しい芸を覚えることは根気のいる作業です。飼い主の温和な気持ちと、小さな達成感の積み重ねが重要になるでしょう。
例えば、
- ボールに少しでも興味をもってくれた
- 指示に耳を傾けてくれた
- 毛布の上に乗ってくれた
など。
犬も人間と同じで、達成感を得ると嬉しい動物です。さらに飼い主の喜ぶ顔が見れると、尚更ですね。犬の「できること」「できたこと」を見つけて、たくさん褒めてあげましょう。愛犬との有意義な時間、あなたも作ってみませんか?