犬のしつけに音を使うメリット
まず、犬のしつけに音を使うことで最も大きなメリットとして考えられるのが「犬にわかりやすい」ということです。犬をしつける時、言葉では正確な意思疎通が取りにくく、かといって体罰を使うわけにもいかない。どうやって叱ればいいのか、どのように指示や指導を行えばいいのかわからない…という飼い主はとても多いと思います。特にワンワン大きな声で吠えていたり、テンションが上がって走り回っている犬に対して「静かにしなさい!」「落ち着きなさい!」などと言ったところで耳に届くはずがなく、さらに興奮を加速させてしまう可能性すらあるのです。
特に飼い主の声というのは日々聞き慣れているもので、いくら怒っていてもあまり危機感を感じないことが多いのです。そのため、犬をハッとさせて注目を集めるような音を利用するという方法がしつけの中で広く使われています。特にガシャン!という金属音やパンッ!という発砲音に犬は敏感に反応しやすいとされており、一般家庭でも比較的簡単に取り入れやすい金属音でのしつけが特にすすめられています。
音を使った犬のしつけ①トレーニングディスク
ガチャガチャ、ガシャン!というような金属音をさせることで犬をびっくりさせたり興奮状態から冷まさせたりするしつけは、とても効果的なため多くのドッグトレーナーが利用している方法です。では、何を使ってそのような金属音をさせるかということですが最も手軽なものとしては空き缶にコインを数枚入れたものです。強く振るとかなり大きな音がするため、犬の耳にも届きやすいものとなるでしょう。
また、この空き缶と同様の役割をしてくれるトレーニンググッズとして「ドッグトレーニングディスク(ドッグトレーナーディスク)」というものがあります。これは直径5cm程度の金属の円盤が4~5枚束ねられたもので、振ったり地面に落とすことでガシャン!と響く金属音がします。円盤はややカーブがついており、意図的に鳴らそうとしていない時はしっかり重なり合っていて音がしにくく持ち運びやすいというメリットがあります。さらに普段犬が耳にすることがない特殊な金属音を発するように作られているので、より効果的だとされています。
音を使った犬のしつけ②クリッカートレーニング
音を使ったしつけは犬を叱る時に使うことが多く見られますが、実は褒める時にも音を使うと効果的です。音を使って犬を褒めながらしつけを行う方法を「クリッカートレーニング」と言います。「クリッカー」とは手のひらに収まる程小さなトレーニンググッズで、ボタンや板を指で押すと内部の金属がカチンと鳴る仕組みになっています。犬の行動をこのクリック音を鳴らすことで評価していき、正しい行動へ導いていくものです。
叱ることが簡単でないのと同様に犬を褒めることも実はむずかしいもの。特にタイミングがむずかしく、少しでも遅れると犬はどの行動を褒められているのかわからなくなってしまうのです。また、飼い主の言葉は聞き慣れていることもあって褒め言葉に対してうれしいと思わない、評価されていると感じないという犬は山程いるでしょう。そのため褒めたい行動を起こした瞬間に即座に鳴らしてしっかりと評価することの出来るクリッカーは、世界中で使われておりかなり細かい行動でも教えることが出来るとされています。
犬のしつけで音を使う時に注意点
さまざまな音を聞き分けることのできる素晴らしい耳を持つ犬のしつけにおいて、音の利用はとても有効です。しかし、音の使い方には気をつけなくてはならない点もあります。音を使って犬を叱ったり、注目を集めて正しい行動へと導く方法はとても効果的なものですが、決してを脅したり過度に驚かせるような使い方はしないでください。また、音に対して敏感なタイプの犬のしつけでも十分注意が必要。音の大きさや種類によっては怖すぎてパニックになってしまったり、その後の指示が聞こえなくなってしまうということもあります。犬のしつけ、特に叱るしつけで音を使う時はそれぞれの犬の個性や特性を見極めて使うことが大切です。
また、犬は音に順応していくことも多く見られるため叱る時に小さい音から始めて少しずつ大きくしていく方法では効果が見られない場合もあります。犬がびっくりする適切な大きさ、タイミングの音を出すにはある程度の経験やテクニックが必要となるので、出来ることならドッグトレーナーなどしつけのプロに相談することをおすすめします。