「ハナセ」をしつけるときの基本①「快を与えること」
「ハナセ」の命令によって、犬がくわえているものを離すことができたら、よく褒めて、おやつなどのご褒美をあげることは良いことです。
「行動」と「快」を結びつけるためです。
「ハナセ」をしつけるときの基本②「環境を整える」
「ハナセ」をしつけるトレーニングを行う前に準備しなければならないことがあります。
- 集中できる場所を作ってあげること
- トレーニング用のおもちゃを用意する
- ご褒美を用意する
1.集中できる場所を作ってあげること
室内で行い、窓を閉めて外からの音を遮断します。テレビや音楽は消しましょう。余計なおもちゃは片付けておきましょう。犬の集中力が持つのは10分から15分程度です。集中力が切れたら、その日のトレーニングは終了しましょう。
2.トレーニング用のおもちゃを用意する
犬がくわえたくなるおもちゃを用意します。あえて、くわえてはいけないものを用意しても良いと思います。飼い主さんのスリッパを噛んで遊んでしまうクセをやめさせたいのであれば、そのスリッパを用意します。
3.ご褒美を用意する
基本的にはおやつを用意します。犬がくわえているものよりも、もっと犬の興味を惹くおやつを用意しましょう。「ハナセ」の命令で犬がくわえているものを離すことができたとき、ご褒美として与えます。
4.言葉を統一する
「ハナセ」ではなくても良いです。「返せ」「出せ」「離しなさい」「出しなさい」どんな言葉でも良いですが、必ずひとつの言葉を決めてください。そして、家族で統一しましょう。
命令される度に言葉が違うのでは、犬が混乱してしまいます。
「ハナセ」のしつけ方
まず、犬がおもちゃをくわえたまま、どこかへ行ってしまわないようにします。リードを着けても良いです。それからトレーニングを始めます。
犬におもちゃをくわえさせます。飼い主さんは、おもちゃを離さず、手で持ちます。このとき、おもちゃを持った手を引いたり押したりせず、ジッと動かないようにします。
犬もジッと動かなくなるのを待ち、動きが止まったらおやつを見せます。おやつを食べようとおもちゃを離したら褒めてあげ、ご褒美のおやつをあげます。
「くわえる」→「離す」→「ご褒美」を、おもちゃ以外のものでも試してみましょう。
ご褒美のおやつを与える回数を少しずつ減らし、最終的にはおやつを見せなくても、飼い主さんの「ハナセ」の命令によって、犬がくわえているものを離すことができるようになるまでトレーニングしましょう。
「ハナセ」をしつけるタイミング
子犬の頃からしつけておく方が覚えやすいですし、乳歯の生え変わりのムズムズ感を解消するために物を噛むことや誤飲を予防することができます。
成犬になってからもしつけは可能ですし、この頃までにしつけなければならない、このタイミングを逃したらしつけられない、などということはありません。
犬に「ハナセ」をしつけることの必要性について
「ハナセ」とは、犬が口にくわえているものを飼い主の命令によって素早く離すことです。誤食による事故を防ぐためにとても重要なしつけです。
犬は、ついつい何でもくわえてみたくなります。とくに子犬の場合、興味を持った瞬間、口の中に入れてしまいます。
誤食してしまったものによって食道や胃や腸が傷つけられたり、腸閉塞になってしまったり、中毒になってしまうことがあります。
また、誤食による死亡事故もあります。「ハナセ」をしっかりしつけてさえあれば、このようなことは防げていたかもしれません。
犬が誤食してしまったもの
- 2014年には、オレゴン州で暮らすグレートデンが靴下43個を誤食。
- 2015年には、オハイオ州で暮らすドーベルマンがゴルフボール26個を誤食。
- 2016年には、ワシントン州で暮らすヨークシャーテリアがクレートの金具を誤食。
- 2017年には、マサチューセッツ州で暮らすリブボーンを丸呑み。(リブボーンとは犬のおやつですが、噛まずにそのまま丸呑みしてしまったようです。)
まとめ
みなさんは愛犬に「ハナセ」しつけていますか?
私は「ちょうだい」という言葉でしつけました。おもちゃなどの物はすぐに離すことを覚えてくれたのですが、難しかったのは「食べ物」を離すことです。
大好きなビスケットを食べている途中でも、私が「ちょうだい」と命令したら、口から出さなければなりません。
今では大好きなビスケットやジャーキーも私が「ちょうだい」と命令したら口から出すことができます。
しかし、やはり「何で?」と不満そうな顔をするのでちょっと笑っちゃいますが、危険なものを口の中に入れてしまったとき、誤食や中毒、死亡事故などを防ぐために、しつけておいて良かったなと心から思います。