初めての場所やモノが苦手な犬は多い
私たち人間も初めて行く場所や初めて会う人、初めて見るものに対して緊張したり不安を感じたりすることがあると思います。それは犬も同じで初めて出会う場所や人、ものに対して不安や恐怖を感じることがあります。
ただ、初めて出会うものを苦手とすることは決して悪いこととは限りません。慣れていないものに距離を置こうとすることは動物として大切な危機感や予測能力をしっかりと持ち合わせているということ。これは人間を含めた動物が自分の命や家族、仲間を守るために必要な能力なので犬の多くも初めての場所やものを苦手と感じやすいのです。不安や緊張がありながらも好奇心や探求心からそのものに近づいたり観察したりして徐々に順化、順応していきますが、この時感じている不安感や恐怖心が強すぎるとちょっと困ったことになってしまうのです。
犬がストレスを感じた時の行動
初めての場所に行った時などに感じる不安や緊張は犬にとって大きなストレスとなりますが、時間の経過や経験を重ねることで徐々に慣れ、ストレスも感じなるものです。しかし、初めて出会うもの、慣れていないものに対する不安や緊張が強すぎるといつまで経っても慣れることができないばかりかストレスが増加してしまうこともあるのです。
こうして不安や恐怖、ストレスを感じた時犬はどのような行動に出るのでしょうか?
それは犬それぞれの気質やタイプで異なりますが、多くの場合
- 逃走
- 固まる
- 震える
- 失禁
- 攻撃(吠え、噛みつき)
- 自傷行為(自分の足や尻尾を噛む)
- 攻撃の転移行動(対象物以外の人やものへの攻撃)
などが見られます。程度の差もそれぞれですが、無理に慣れさせようとするほどストレスやそれに伴う行動が高まってしまう可能性があるのでしっかりと観察して適切な対応を取ることが大切です。
犬のストレスを減らすためには「社会化」が大切
初めての場所や人、ものが苦手なのは犬として当然のこと。ですが、それをそのままにしていいわけではありません。
苦手なものを克服するのは少し時間がかかり犬にとっても大きなストレスとなるため、根本的に苦手なものを減らすということが大切です。そのために飼い主さんができるのが「社会化トレーニング」。これは子犬のトレーニングとして有名で、子犬から犬を飼った人であればどこかで見聞きしたことがあると思います。
社会化とは?
犬の「社会化」とは簡単に言ってしまうと色々なものに慣らすということ。生後4か月頃までは恐怖心が少なく好奇心の方が勝っているため、初めて出会うものに対しても抵抗感なく受け入れることができるとされています。そのためその「社会化期」にこれから人間と一緒に生活していく中で行くであろう場所や出会うであろう人、触れ合う可能性のあるものなどに慣らしておくと成犬になった時にストレスを感じる機会が少なくて済むのです。
社会化のポイント
社会化トレーニングではあらゆるものを細分化してひとつずつ丁寧に慣らしていくことが大切。「人」に慣らすと言っても、性別、年齢、髪の長さ、メガネの有無、声の高さ、服装など人はそれぞれ異なる要素を持つためあらゆるタイプの人に出会わせておくといいでしょう。そのほかにも日常的に出会うであろう自転車やバイクなどの乗り物、商店街などの人混み、踏切、大きな音がするドライヤーや掃除機、チャイムや電話の音など人間社会の中にあるありとあらゆるものを紹介し、慣らしてあげるのです。
まとめ
犬は初めてのものが苦手。これは何度も言いましたしそれによるストレスを防ぐためには子犬の時期の社会化トレーニングが大切だと説明しました。
しかしすでに社会化期をとっくに過ぎてしまい、苦手なものがたくさんある場合はどうすればいいのか困っている飼い主さんもいることでしょう。生後4か月頃までの社会化期は恐怖心が少ないために初めてのものに対する抵抗が少ないものですが、成犬になっても初めてのものに対して全く慣れることができないというわけではありません。子犬に比べれば少し時間がかかるかもしれませんが、何歳になっても社会化というものはできるのです。犬がとびきり大好きなおやつやおもちゃを持って、いつもと違う公園や街に出て社会化をしてみましょう。ただし、すでに苦手意識を持っているものに対して無理強いは禁物!愛犬のペースの合わせてじっくりゆっくり克服するよう寄り添ってあげましょう。
また、多くのものと出会い、慣れ、乗り越える経験をしてきた犬は自信を持って行動することができるため、大人になってから初めての場所に行ったり、初めての人に出会っても臆することなく平常心で過ごし接することができる傾向にあります。犬に自信をつけることは不安や緊張によるストレスを減らすことにもなります。愛犬の毎日を穏やかで楽しいものにするために、ぜひ社会化などを通して多くの経験をさせてあげましょう。