そもそも犬の社会化とは?
子犬を飼った時などに「社会化をしましょう」と聞いたことがある人もいると思います。このわんちゃんホンポにも社会化に関する多くの記事がありますし、ここ数年で犬の社会化について広まってきたと思いますが、実践できている人はどれくらいいるのでしょうか?
社会化というのは、簡単に言うと「これから一緒に暮らしていく人間社会や環境に慣らすこと」です。犬は人間と一緒に暮らすことで、家庭内でも外でもたくさんの人や物に出会い、触れ合っていくて行くことになります。新しく出会うものに対して恐怖心を感じることなく受け入れることができるようにするのが社会化ですが、特に生後4か月頃までは恐怖心自体が薄く、柔軟な心であらゆるものを受け入れることができると考えられているのです。
子犬以外は社会化することができない?
生後4か月頃までの最も社会化に適した「社会化期」を過ぎると、犬も少しずつ大人へと成長していき恐怖心や疑心を持つようになってきます。そういった気持ちが生まれると新たなものに出会ったときに簡単には近づけず、受け入れられないということが起こります。場合によっては逃げたり、吠えたり、攻撃したりという行動に出ることも。
そのため、子犬から飼い始めた人には「社会化期」を逃さないようにすることを強くおすすめしています。飼い始めたのが生後4か月を過ぎていたとしても、若ければ若いほど犬は柔軟性を持っているのでできるだけ早く社会化に取り組むようお願いしています。
成犬は社会化できない?
社会化期を過ぎていたとしても、成犬になったとしても社会化ができないというわけではありません。子犬にくらべれば少し時間がかかるかもしれませんが、決して社会化できないわけではないので「うちの子は犬嫌いのままだな…」「怖がりだから一緒にお出かけなんてできないな…」と諦めないでくださいね。
成犬の社会化をする方法
さて、成犬でも社会化できるとしましたが、具体的にはどのようにすればいいのでしょうか?
実は成犬の社会化も子犬の社会化も行うべきこととしては大きく変わりません。新しく出会うもの、もしくは苦手にしているものに少しずつ接触するように機会をつくります。そこで冷静にいられるようであればおやつをあげたりなでたりして「〇〇(今苦手なもの)=いいことがある」と印象づけます。それをくり返し徐々に距離や接触の強さを変えていきます。(音であれば小さい音から大きな音へ、人や物なら遠くから徐々に近くへ)
筆者の愛犬も推定年齢2~3歳で我が家にやってきたのですが、はじめは苦手なものだらけでした。子供が苦手だったのであえて小学校のまわりを散歩し、慣れてきたら下校時間に合わせて散歩したりしました。人混みでパニックになってしまったので近所の商店街を人が少ない時間を選んでお散歩。人がたくさん行き来する駅前なども散歩し、最終的には週末のアウトレットモールなども落ち着いて歩けるようになりました。
そういった取り組みの中で大切なのは、恐怖や緊張を乗り越えるためのモチベーションとなるものの存在。私の愛犬は食べることが何よりも好きだったので、おやつを「あれば食べる」「もらえたらうれしい」「飛びきり大好き!なんでも頑張る!」という3段階のレベルで分けて持ち歩き、状況によって使い分けるようにしました。
まとめ
このように犬の社会化というのは何歳になってもできるもの、また行うべきものなんです。犬は十数年間生きるので、その間に家族構成や周辺環境、犬を取り巻く事情などが変わることは多々あることでしょう。その中で新たに出会う人や物をスムーズに受け入れるためには子犬の頃の社会化がどれだけしっかりと行われたかが鍵を握りますが、たとえ時間がかかったとしても新しいものを受容するということは必ずできると思います。
成犬の社会化やしつけのし直しは、飼育放棄などされた保護犬の譲渡率を引き上げることにもつながると思います。「成犬はしつけられない」という印象から、保護犬の中でもやはり子犬が人気で、成犬にはなかなか貰い手がつかないのが実情です。
どうか、犬は何歳だって成長できるということを多くの人に知ってほしい。今、愛犬のしつけを諦めかけている飼い主さんも、保護犬の引き取りを検討している人も、根気よく時間をかけて社会化やしつけに取り組めば、さらに楽しいドッグライフが待っているということを知ってほしいと切に願います。