子犬が甘噛みをする理由とは?
遊び、習性
子犬の甘噛みの多くは、ただ遊んでいる、または飼い主の反応を楽しんでいるなどの理由です。犬が動くものに反応して足や口でつかまえようとするのは、犬が持っている習性。
おもちゃで遊んでいるときなどに飼い主の手まで一緒に噛んでしまうことは、ある意味当たり前の行動でもあり、さらに「痛い!もうやめてよ!」と言われたりすると、飼い主も楽しんでると勘違いすることで甘噛みが助長していくこともあります。
歯がかゆい
犬は、生後6か月前後で乳歯から永久歯に生え変わりますが、新しい歯が生えてくるとき口の中がむずむずしたり不快感を感じることがあるようです。
そのため何かを噛みたいという欲求が出て、身近にあるものや飼い主の手、服などを噛んで不快感を解消しようとしています。
ストレスや不安
犬は、物を噛むことで気持ちが落ち着いたり、気がまぎれることが多くストレスや不安を感じた時に物を噛むことがよくあります。
この場合は甘噛みにとどまらずストレスを感じてしまうと、家具やクッション、飼い主の匂いがする服やスリッパなどを噛んでしまい破壊行動に繋がる恐れもあります。
監修ドッグトレーナーによる補足
人間も緊張やストレスから口数が増えてしまうことがあるかと思いますが、これは口を動かすことで緊張を和らげようとする行動の一つと言われています。犬が緊張やストレスを感じた時に噛むのはこれと似ています。
緊張やストレスを感じることは人間も他の動物も同じなんだと気がつけば、愛犬をよく観察することで気持ちが見えてくるようになりますよ。
子犬の甘噛みへの対処法<人の手足を噛む場合>
子犬の甘噛へのトレーニングとして最も有効なのは、原因となる「遊び」を利用することです。
手順1
引っ張りっこなどができるようなおもちゃを用意して犬と遊びましょう。始める前に、他のおもちゃやスリッパ、クッションなど遊んでしまうものがあれば片づけましょう。
手順2
おもちゃを噛ませたり追いかけさせたり引っ張りっこなどをして遊ばせ、手に歯が当たったら低くはっきりとした声で「痛い!」と言って遊びを止めます。声が小さいや、「なんで噛むの?」「だめよー」「いけない!」など、長い言葉や色々な言い方では犬には伝わりづらいため、「はっきり一言」がポイントです。
犬は大きな声に一瞬びっくりしておもちゃを口から放したら、おもちゃを取って立ち上がり、目も合わせず背中を向けて無視しましょう。
手順3
最初は数十秒程度そのまま無視をします。子犬が「あれ?なんで??」と思っているところで、また遊びを再開します。甘噛みをしなければそのまま遊び続け、また歯が当たったら「2」をくり返します。
手順4
「2」「3」をくり返すうちに、少しずつ犬が遊びのルールを理解して歯を当てないように遊ぶことができるようになります。もし、無視する程度では覚えてくれない時は、無視しながら部屋を出て、「さみしい」「つまらない」と犬に感じてもらうようにしましょう。
子犬にとって楽しいことはご褒美と同じです。遊びを利用して「歯が当たったら楽しいことはおしまい」「甘噛みしなければ楽しいことが続く」ことを覚えてもらえるようトレーニングしましょう。
トレーニングのポイント
最初はあまりテンションを上げすぎないようにすることがポイント!テンションが上がると犬自身も自分をコントロールするのがむずかしくなるため、冷静さを失わせない程度に飼い主がコントロールしてあげましょう。
徐々にテンションを上げてトレーニングすると、どんなときでも「噛んではいけない」と犬自身が考えられるようになります。
監修ドッグトレーナーによる補足
子犬と同じ空間にいると、甘噛をやめなかったり、続いてしまうことが多いです。
飼い主さんが別の部屋に移動する、サークルやケージの中で子犬が落ち着くのを待つようにすることでトレーニング効果がアップしますよ。ただし、興奮して暴れるようであればケージやサークルに無理に入れないようにしましょう。
子犬の甘噛みへのおすすめできない対処法
子犬が甘噛みをしてきたときに、マズル(口)を強くつかんで目をじっと見て「いけない!!」と叱ったり、鼻先を叩いたり体を仰向けにして抑えつけて飼い主がリーダーであることを教えるなど、子犬が甘噛みをしてきたときに体罰的なしつけを紹介されたり、実際指導をされたことがある方もいると思います。
この方法では、犬がただ恐怖心から甘噛みをしなくなることはあるかもしれませんが、なぜ「甘噛みをしてはいけない」のかが伝わらず、恐怖心からにさらに強く噛むようになってしまう恐れもあるので基本的には体罰を利用した甘噛みへの対処法はおすすめしません。
特に、子犬は悪気もなく習性や遊びの延長で甘噛をしているため、いきなり叱られてしまうことで飼い主さんに恐怖や不信感を感じてしまうと信頼関係を築けなくなってしまうので気をつけましょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
「噛む=叱られる」「人間の手=痛いことをするもの」と子犬が学習してしまうと、人間とのコミュニケーションが取れず、そのまま成犬になってしまえば本気で噛むような問題行動にも繋がってしまうことも。
人間の手が怖いと覚えてしまえば、コミュニケーションも取ることができず信頼関係を築くことが難しくなってしまいます。お手入れも病院で治療することさえ難しくなってしまうこともあるので、体罰でしつけることはおすすめしません。
まとめ
いかがでしたか。子犬が甘噛をした時に「どれくらいの強さで噛んできたらやめさせればいいですか」と聞かれることがありますが、少しでも歯が当たったり、歯を当てようとするだけでも止めるのがポイントです。
甘噛みのトレーニングは「人の体に歯を当ててはいけない」と教えることなので、噛まれて痛くなくても当たりそうなだけでも、「それはいけないよ」と伝えることが大切。「痛くないからOK」では犬には伝わりません。
少しなら噛んでもいいのかと勘違いしてしまえば、そのままエスカレートしてしまうこともすくなくありません。また、噛む力加減を人間が教えることは難しく、本来なら社会化期に親犬や兄弟犬たちと触れ合う中で噛む加減を身につけていくとされています。
子犬の時期のトレーニングは、私たち人間と一緒に暮らしていく上でのルールを「伝える」という気持ちで取り組むことが大切です。今後の犬の個性や家族との関係性をつくり上げる基礎となりますので、すぐに結果が出なくてついイライラしてしまったり、嫌になってしまうこともあると思いますが、焦らず諦めずにゆっくりと取り組んでいきましょう!
監修ドッグトレーナーによる補足
人間も初めてのことは覚えるまでに時間がかかりますよね。犬も同じです。
まして子犬ならなおさら、何もかもが初めてのことばかり。すぐに覚えられる子は稀です。何度も繰り返してイライラして諦めてしまいたくなるかもしれませんが、出来ないのが当たり前だと思いましょう。
どうしていけないのか、どうしてほしいのかを少しずつ伝えましょう。信頼関係が築けるようになれば、愛犬もしっかりと指示に従ってくれるようになりますよ。